「広報」写真騒動から「焼畑手順書」まで なぜか京都の人が3人も協力しているという事実
このところネットで、宮崎県椎葉村の焼畑の話題がもちきりとなっている。こちらで2本目の記事を書いたその夜、京都市に暮らす身内から興味深い連絡が入った。
「執筆に関わった人たちのリスト、京都の人ばっかりなんだけど。話題になっている広報誌の件を広めた女性ライターも京都の人だし」。
嵐山鵜飼小屋の件といい、市民としてはちょっと複雑な気分だといい、そこから一緒に深掘りしてみることになった。
椎葉村の村役場・農林振興課が2018年3月に発行した、全55ページからなる『椎葉の焼畑 手順書 ~森を守り、未来へつなぐ循環型農法「焼畑」の全て~』。先にもご紹介していたが、そのなかに執筆に関わった協力者を紹介するリストがあった。その最下段の部分を拡大すると…。
椎葉村民以外で手順書作成に関わった人たちのなかで、宮崎大学・農学部の伊藤哲教授に関しては先の記事でご確認いただくとして、今回は他の方々についてとなる。
まずは、選ばれても不思議はないだろうと思われる方々から…。
◆「ロハス・ビジネス・アライアンス」の大和田順子氏
神奈川県茅ヶ崎市の社団法人「ロハス・ビジネス・アライアンス」の大和田順子氏は、2017年4月から総務省の地域力創造アドバイザーを務めている。消費生活アドバイザー、環境カウンセラーとしても活躍しておられるが、同志社大学・政策学部政策学科の教授でもあるそうだ。身内は「京都の人ばかり」と言っていたが、大和田氏がどちらにお住まいかはわからない。
地方創生、ロハス、サステナブル、地域復興などをテーマに多数の著書、論文を発表しており、論文「環境問題と消費生活」では経済企画庁長官賞を受賞。2022年08月には、宮崎日日新聞の「客論」に『焼畑文化深く学ぶ機会を』を寄稿されていた。
◆東京外国語大学フェロー 木俣美樹男氏
手順書では肩書が「東京外国語大学フェロー」として紹介されていた木俣美樹男氏。農業博士で、同大学の『アジア・アフリカ言語文化研究所』には2019年まで在籍され、「東京学芸大学名誉教授/インド亜大陸の雑穀農耕文化の起源と展開過程」と記されていた。
焼畑農法に関しても詳しく、椎葉村で研究会を開くこともあったようだ。
◆フィールドソサイエティー 久山喜久雄氏
フィールドソサイエティーという組織は京都市左京区鹿ヶ谷にある。“お寺と市民の二人三脚による環境学習活動” をスローガンとして、森のセンターと称する「法然院」を舞台に、自然環境教育についての活動を続けてきたそうだ。
そんな中で2017年10月、椎葉村では『第20回地球研地域連携セミナー/“つながり”を未来につなぐ 世界農業遺産 変えてはならないものと、変えなくてはならないもの』が開催された。久山氏はわざわざ京都から出向き、地元の小学校児童2名による活動発表の場で「コーディネーター」を務めたようだ。
この組織は、京都嵐山で廃墟になっている鵜飼小屋を建てて、7000万円を請求したとされる「植彌加藤造園」さんと活動を共にしたことが2度ほどあるようだ。
しかも、植彌加藤造園も京都市左京区鹿ヶ谷と同じ町にある。おそらく知らない仲ではなかったのだろう。嵐山鵜飼小屋に関して、ここでちょっと話は横道にそれるが…。
この画像を『婦人画報』に提供したのは、門川京都市長。植彌加藤造園さんと市長は、2017年に京都市動物園で開催された「第65回動物園技術者研究会」を通じて、秋篠宮さまと会われていたのだろう。
その後、鵜飼文化の振興という目的もあわせ、感染症対策を強化した新しい鵜小屋を建てようと2018年2月に立ち上がったのが、一般社団法人「嵐山鵜飼観光文化振興協会」だ。鵜飼小屋事件についておさらいしたいという方には、TBSによるこちらの動画をお薦めしてみたい。
こうしたことを調べていたなか、昨日ブログのメールに「フィールドソサイエティーさんは『自然保護大賞』を受賞していますよ」という情報も飛び込んできた。確かに『自然保護大賞2017』の教育普及部門を獲得しており、探したところこんな写真も見つかった。
この賞を主催する「自然保護協会」の代表理事の亀山章氏(上の写真では前列左端)は、ほかでもない、あの秋篠宮さまが(いまだに)名誉総裁を務めておられるWWFジャパンの顧問である。
京都のお寺を拠点に、市民を対象とした環境学習活動を地道に続けてこられたフィールドソサイエティーさん。代表の久山喜久雄氏は、何がきっかけで宮崎県東臼杵郡の椎葉村を訪れ、焼畑に関する発表イベントに関わることになったのだろうか…。
◆まとめ
すでにご存じの方も多いと思うが、椎葉村の広報『しいば』に秋篠宮ご夫妻と悠仁さまの写真が掲載されたという件は、アジアン・グルメに詳しい京都在住のライター、浜井幸子さんが6月17日に自身のFacebookに写真を投稿したことにより、一気に騒動と化した。
筆者の身内は「ほらまた京都だ…。嵐山鵜飼小屋の一件からして、何かこう、京都が秋篠宮家がらみで利用され、汚されているみたいで悔しい」と言っている。
筆者も似たようなものだ。秋篠宮さまに関する芳しくない噂や報道でみかけた個人名、法人名はどうしても記憶に残ってしまう。さらに、そういう人と接点がある(あった)とわかると、それだけで「利用されているのでは」と考えてしまう癖がついてしまったようにも思う。
■椎葉村に関するこれまでの記事(五木村の嶽本キクエさんについても)
・秋篠宮家の熊本・宮崎ご旅行 カピバラ騒動に悩む悠仁さまにイノシシ生贄の「神人共食」を教えたかったのでは…?
・秋篠宮ご夫妻と悠仁さまの熊本エコノミー旅行 2~3日目は研究者から論文の書き方を「教わった」のかも…
・『揺れる椎葉村の役場に電話した女性からご報告が 「本当に行ったのか、広報誌の写真はホンモノか」』
(朝比奈ゆかり/エトセトラ)
参考および画像:
・『宮崎大学』教育・学術 ― 伊藤哲教授が宮崎県文化賞(学術部門)を受賞
・『さとゆめ』平成29年度 第2回椎葉焼畑研究会
・『婦人画報』京都byきょうとあす
・『公益財団法人 日本自然保護協会』日本自然保護大賞2017
・『植彌加藤造園株式会社』フィールドソサイエティー
・『日本自然保護大賞』日本自然保護大賞2017(平成28年度)授賞式・活動発表報告
・『WWFジャパン』公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)役員等名簿
・『KAKEN』木俣 美樹男 KIMATA Mikio
・『総合地球環境学研究所』第20回地球研地域連携セミナー(椎葉村)
・『Facebook』浜井幸子 ― 2023年6月17日