【新情報】トンボ論文写真No.74コシアキトンボ羽化 「早朝」「倒垂型」「ヤゴ殻にずっとぶら下がる」3つの特徴まるで無視
先に『悠仁さまのトンボ論文お次はコシアキトンボの写真74番 後ろの翅の画像を合成した疑いが』という記事を書いた。左後ろの翅の付け根付近が欠けていることを指摘したものだが、すると、このところ大変お世話になっているお二人の方から、その現象についての詳しい説明にご自身の考察も添えた、大変丁寧なメールを頂戴した。
皇室関連の話題で、amebloの『4コマ漫画「アメリカは今日もアレだった」』と『note』に素晴らしい考察を展開していらっしゃる、在米ブロガーの明子HSさん。そして『イネを熟知し、水田の生き物たちと毎日を過ごす農家さんが熱く語る! 「イネとトンボは日本の国柄です」』および、『「科学とは何か、論文は何のためにあるのか」 トンボ相論文の一連の問題を通して、みんなで考えてみませんか? もちろん論文著者も含めて』の記事で大変なご尽力をいただいた長野県在住のMKさんである。
おふたりから寄せられた説明や考察を、ほぼ原文のままお伝えしたいと思う。
◆AkikoHSさんの説明と考察
●羽化には「倒垂型」と「直立型」があります
トンボの羽化には「倒垂型」と「直立型」があり、『ヤゴペディア』さんによると、コシアキトンボは倒垂型だそうです。
『神戸のトンボ』さんには「倒垂型は翅が重力の方向に一様に伸びていく一つのタイプにまとめられます」「翅伸張期の姿勢 ぶらさがり」とあります。
コシアキトンボは、何かにぶらさがることで重力を利用して羽を伸ばす。『KONASUKEの部屋』さんの「早起きは三文の徳⑭コシアキトンボ羽化&産卵20190614」でも、わざわざオーバーハングな場所にぶらさがっている写真ばかりです。
一方の「直立型」は…。
●「ヤゴ殻」につかまっていたいのに…
『新・神戸の自然シリーズ』さんの説明にあるように、倒垂型のトンボの羽化については「つかまるものが必要です。飼育ケースの中に棒か何かを立てておきましょう」とあります。
自然(戸外)の状態だと、ロープや枝や硬い葉の先を使って羽化していますね。そして羽が伸び切り、飛べるようになるまでヤゴ殻にしっかりしがみついていないと、オーバーハングの崖下に落下して大ケガを負うようです。
トンボ論文の写真74番は、透き通った羽の様子を見ると羽化したばかりだと考えられるのに、ヤゴ殻をつかんでいません。オーバーハング不足と言えそうです。
●間違ったイメージ・知識を与えかねない
論文の写真No.74を「コシアキトンボの羽化」とすると、見た者に間違ったイメージ・知識を与えてしまいかねない。
フラットな空間に、陰も映らないほど腹をピタリとくっ付けて、これでは羽化してもぶら下がる場所がなく、重力を利用して羽をひろげることができない。
かといって、羽化直後の透き通ったはかなげな羽で飛び、そこに舞い降りたとも考えられない。というか、羽がしっかりして飛んだ後なら、「トンボの羽化」写真とは言えないでしょう。
●コシアキトンボを知らない人が関わった…?
ここからは私の個人的な想像と感情ですが…。
2022年6月1日、羽化したばかりのコシアキトンボを誰かが捕獲した際、左羽を傷つけ、トンボの知識がない人だったので、ヤゴ殻にしがみつかせることも忘れてしまった。そして、人間の作業がしやすい場所に薄茶色のパテで腹を貼り付け、筆頭著者を呼んで撮影をさせたという可能性はないでしょうか。
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以上が、AkikoHSさんから頂戴したメールの内容である。個人的な想像と感情との断り書きがあったが、筆者も「まさにその通りなのでは」と感じてしまった。
トンボの専門家である科博の清拓哉氏は、コシアキトンボのヤゴ~羽化が「倒垂型」であることを当然ご存じだ。一方、もしも悠仁さまがこの写真のキャプションに「羽化」と付けたのであれば、はっきり申し上げて、トンボ博士を名乗る資格などないということになってしまう。
清氏ではないが、悠仁さまでもない? では一体どなたがこうした写真やキャプションを? 剽窃行為が大きな話題になった、アノ小笠原諸島作文の顛末とどこか似ている気がする。
◆長野県在住のMKさんの説明と考察
右後翅の中央付近に隠れて、ヤゴ殻があります。頭部(眼)、胸部(気管を覆っていたクチクラ層(白い糸のようなもの)、そして腹部が見えます。
左後翅は展開しきっていません。翅全体が展開しなかったので、黒い部分(翅の幅の中央付近)がアコーディオンを折りたたんだように「まだ」重なっている可能性があります。
●翅が展開しきらないのは羽化の失敗か奇形か
『神戸のトンボ』さんの「4.羽化-2通りの羽化の形式」を拝見すると、トンボの羽化のしかたは「直立型」と「倒垂型」に分けられるとのこと。コシアキトンボは倒垂型で、頭部と胸部が出てきたところで、それらが「ぶら下がる」ようにして休止する、とあります。
そして、倒垂型のトンボは翅全体が均一に展開していくそうです。左後翅全体の長さが短いのは、均一になるはずが部分的に展開できていないため。あるいは、元々奇形なのかもしれません。
翅も含め、トンボは体の水分を抜きながら翅を展開させたり体の形を整えたりするのですが、翅から水分を体側に抜き取っていくときの経路が部分的に遮断されたりしていれば、乾かずに展開できなくなるものと思います。
だいぶ体色もついてきているのに羽化した場所(ヤゴがいる)から離れられないのは、この翅の変形により、飛びたてない(飛びにくい)ためではないかと考えられます。
●羽化直後の個体など、朝早くにしか見つからない
また、この画像は朝早くに撮影されたものではなく、日が高くなってからの撮影です。翅などの光の反射がそれを示しています。これは飛び立てない個体だからだと思います。
羽化直後の個体など、朝早く見に行かなければそうそう見つかるものではないはずです。うかうかしていると鳥に見つかって食べられてしまいますから、飛べるようになり次第、すぐに飛んでいくでしょう。
稲刈り時期にも水田を「湛水状態で維持」などと書いてしまうあたり、調査が不十分かつ怠惰な研究姿勢を公表しているかのようでしたが、それがこういうところにも現れているなぁ、と感心しているところです。
●壁面で羽化するとしても
No.74は垂直な壁での羽化でしょうか。傾垂型は、翅全体が均一な展開を実現するために、翅や腹を壁などに触れさせず、重力にしたがって翅を下方に「そっと」垂らしている必要があるとのことです。
羽化というのは、昆虫、とりわけトンボにとって、かなりリスクの高い段階となり、一定数の個体は水に落ちたり翅が展開せず、死んでしまいます。
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以上がMKさんから頂戴したメールの内容である。
ヤゴとの密着や羽化の型など、とても大切なことを教えてくださったお二人には、敬意とともに心から感謝申し上げたいと思う。
◆たくさん飛んで、たくさん撮影できたのでは?
そして筆者の頭のなかには、また新たな単純な疑問がわいてしまった。
先の記事でも紹介させていただいた『五島列島・福江島の博物誌~福江島の虫たち』さんでは、羽化したコシアキトンボの生態について「数匹から10匹ほどが群れをなして飛び回り、広大な池では数十匹の大群となることも」とあった。
そして悠仁さまのトンボ論文にも、本文中にこんな説明がある。
赤坂御用地に大きい池がいくつかある。ヤゴが一気に羽化すれば、確かにたくさんのコシアキトンボの飛翔を確認することができそうだ。
にもかかわらず論文に掲載された写真はーー。
「翅の形が左右で異なり、きちんと開いていない」
「早朝に羽化し、どこかに飛んで行くのが普通なのに、なぜこんな日中に “羽化” を撮影できるの?」
「倒垂型のトンボなのに、ヤゴ殻にぶら下がることができていない」
「腹が地に接触してしまっている」
コシアキトンボの羽化や飛翔の写真を大量に撮影されたであろうに、悠仁さまは、なぜそのような不具合な個体の写真を選んだのだろうか。
(朝比奈ゆかり/エトセトラ)
画像および参考:
・『新・神戸の自然シリーズ』トンボ羽化を観察しよう
・『東京大学』研究倫理
・『ameblo』4コマ漫画「アメリカは今日もアレだった」
・『note』AkikoHS
・『神戸のトンボ』4.羽化-2通りの羽化の形式
・『ヤゴペディア』コシアキトンボ
・『KONASUKEの部屋』早起きは三文の徳⑭コシアキトンボ羽化&産卵20190614
・『エトセトラ・ジャパン』悠仁さまのトンボ論文お次はコシアキトンボの写真74番 後ろの翅の画像を合成した疑いが
・『エトセトラ・ジャパン』トンボ論文写真No.66「本当に7月2日の撮影ですか? 穂ばらみ期に見えますが」と農業従事者さまより
・『エトセトラ・ジャパン』イネを熟知し、水田の生き物たちと毎日を過ごす農家さんが熱く語る! 「イネとトンボは日本の国柄です」
・『エトセトラ・ジャパン』「科学とは何か、論文は何のためにあるのか」 トンボ相論文の一連の問題を通して、みんなで考えてみませんか? もちろん論文著者も含めて