「正確な日付を確認せず」「詳細な地名を記録せず」「撮影者表示なし」の学術論文を世に放った悠仁さまの未来は明るいのか
12月15日付の弊ブログの記事、『悠仁さまトンボ論文「前回の調査結果と比較し」で墓穴か 表町池は宮邸改修・増築の大工事で…』。そちらは、埼玉県にお住まいのSさんという方から寄せられた疑問の声を紹介した記事であった。
その記事中、筆者は「前回論文のトンボ目録では、誰がどのトンボを発見、採集したか明記されていました。なんと調査は7人体勢だったようです。ところが今回論文の調査では、それをはるかに上回る大調査団が結成されていたと思われるものの、そのあたりについてはまったく触れられていません」という部分がとても気になった。
◆具体的には?
このたびの『赤坂御用地のトンボ相』の論文中、データとしてあいまいに感じられるのは具体的にはこの部分だ。
4. オオアオイトトンボ Lestes temporalis Selys, 1883(図24, 25) 前回調査では未記録.本調査では,2014年9月9日に赤坂御用地内で確認しているが,詳細な地名を記録していなかった.
21. オニヤンマ Anotogaster sieboldii (Selys, 1854) (図55) 前回調査では未記録.本調査では,2015年に御膳水跡で本種の飛翔を目視で確認しているが,正確な日付を確認していなかった.
◆前回の論文は採集・撮影者を明記
一方、斉藤洋一氏、大和田守氏、加藤俊一氏らが2005年に論文を発表していた赤坂御用地のトンボ調査では、各写真について「いつ、誰が、どこで」を明記していた。本来、学術論文とはこれくらいはっきりとした記述を求められる世界なのであろう。
◆チョウの調査ではどうなのか
しかし、そもそも飛翔する生き物の生息状況を正しく捉えるのは難しい。飛んでいるチョウを最初に発見した研究者と、採集および撮影に成功した研究者が異なっていることもあるのかもしれない。
そこでチョウの調査をした研究者たちは、どういう風に報告をしているのかを『琵琶湖博物館 研究調査報告 2011年6月 27号』で確認してみた。すると、チョウの名称(和名)と撮影日、撮影場所や撮影者が明記されていることがわかった。
◆清氏は須田真一氏との共同研究で…
そうなると、このたびのトンボ論文の責任著者であろう清 拓哉氏が、過去の調査研究でそういったことにどこまで忠実であったのかが気になってくる。
清氏は2009年から2012年にかけ、国立科学博物館が実施した総合研究プロジェクト「皇居の生物相調査第Ⅱ期」において、東京大学大学院農学生命科学研究科におられた須田真一氏とともに現地調査を行い、2014年に論文を発表していた。
その論文では、きちんとイニシャルで「いつ・誰が・どこで」を明記していた。
◆もしも須田氏が関わっていたら…!?
須田氏は父親の代からの、昆虫界の超スペシャリストである。そして「放虫」という人的な行為で生息状況のデータを撹乱されることを嫌う、誠実な研究者である。
もしも須田氏がこの度の論文作成に関わっておられたら、やはり以下のようなあいまいな記述をよしとしなかったかもしれない。
4. オオアオイトトンボ Lestes temporalis Selys, 1883(図24, 25) 前回調査では未記録.本調査では,2014年9月9日に赤坂御用地内で確認しているが,詳細な地名を記録していなかった.
21. オニヤンマ Anotogaster sieboldii (Selys, 1854) (図55) 前回調査では未記録.本調査では,2015年に御膳水跡で本種の飛翔を目視で確認しているが,正確な日付を確認していなかった.
◆まとめ:
8歳あるいは9歳の男の子が「さっき、オオアオイトトンボを見たの。でも場所は忘れちゃった」「オニヤンマが飛んでいるのを見たことがあるよ。いつだったかは忘れちゃった」と話したものを、一流の学者が正式な資料と捉え、1つの学術論文にまとめ上げるなどということが、あって良いのだろうか。
国立科学博物館も、このたびの論文を受理し、査読まで通したのは、他ならぬ「悠仁さま」が関わったからではないだろうか。
しかし「正確な日付を確認せず」「詳細な地名を記録せず」「撮影者表示なし」である。全国の研究者たちはこの論文をどう評価するのか、そちらも大変気になるところだ。
(朝比奈ゆかり/エトセトラ)
画像および参考:
・『J-Stage』赤坂御用地のトンボ相 ―多様な環境と人の手による維持管理―
・『国立科博専報(39)』赤坂御用地のト ンボ類 斉藤洋一・大和田守・加藤俊一,2005.
・『国立科博専報(50)』皇 居 の ト ン ボ 類 須田真一・清 拓哉
・『琵琶湖博物館』琵琶湖博物館研究調査報告 2011年6月 27号
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