【皇室、徒然なるままに】第3話 インターナショナルスクールを通して小室圭を読み解く・中編 西村泰一

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これがCIS中等部に提出する入学申請書 家族面接では英語を話せる者が最低1名いるかどうかを確認される(画像は『CIS』のスクリーンショット)』
CISの入学申請書(画像は『CIS』のスクリーンショット)』

このたびの第3話は、小室圭君が6年間通ったというカナディアン・インターナショナルスクール(Canadian International School 略称:CIS)についての《中編》となる。

(前編はこちらをどうぞ。)



私が筑波大学理工学群の数学類で教鞭をとっていた頃、教え子にインターナショナルスクールを出た学生がいた。卒業後はそうした学校の教師になったが、当時は色々と考えさせられたことがあった。小室君について気になることのひとつに、実は国語力がある。インターナショナルスクールとは、日本人生徒の国語力をどれくらい伸ばしてくれるのだろうか。

この学校で働いていた人に意見を聞こうとしたが、回答をいただくのはやはり難しく、しかしアラブ首長国連邦・アブダビのCISを辞めた先生方が、求人サイト『indeed』にコメントを寄せていることを知った。CISは日本に限らず世界的に展開している。コンビニのLawsonが日本各地にあるようなものなのだ。

ちょっと意地が悪いけど、和訳させていただくことにする。

・ワークライフ・バランスや労働への感謝の気持ちがない。仕事の配分がきちんと体系化されていないため不平等(小学校の教員)

 

・カリキュラムも優れ、子供たちには良い場所です。運営側は保護者には丁寧に接しますが、職員への態度には偏見があります。全体的にストレスフルな環境でした。

 

・典型的なインターナショナルスクール。職員の管理と労働体制はまったくひどいもので、校長は会議中に怒鳴り、あてがわれた住居は市内で最悪の地域でした。タクシーの運転手も「なぜこんな場所に暮らしているのか」と首をかしげていました。

 

教育のカリキュラムに関しては、「カナダのプリンス・エドワード・アイランド(PEI)州政府の教育課程を実施する」とあり、もう1つの大きな特色として、彼らは国際バカロレア資格(International Baccalaureate) の認定校であることを挙げている。

国際バカロレアのプログラムが提供されるようになったのは2009年から(画像は『CIS』のスクリーンショット)』
国際バカロレアのプログラムが提供されるようになったのは2009年から(画像は『CIS』のスクリーンショット)』

これは、ジュネーブに拠点をおく「国際バカロレア機構」が開発した優れた教育プログラムで、世界の平和への貢献、探究心、知識、思いやりに富んだ若者を育成し、国際的に通用する大学入学資格を与えることが目的で導入されるものだ。

国際バカロレアのプログラムといってもPYPは小学生以下が対象(画像は『文部科学省』のスクリーンショット)』
国際バカロレアのプログラムは、学年ごとに複数種類用意されている(画像は『文部科学省』のスクリーンショット)』

 

CISは2009年に、このうちのPYPプログラム(Primary Years Programme)を採用することが認められたという。だが対象は3~12歳。圭君は当時すでに18歳だった。

CISが認定を受けた国際バカロレアのプログラムはPYPのみ(画像は『文部科学省』のスクリーンショット)』
CISが認定を受けた国際バカロレアのプログラムはPYP(画像は『edu JUMP!』のスクリーンショット)』

 

そしてCISでは、日本の中高等学校のいわゆる “現国” を念頭におき、日本人向けに「Japanese(日本語)」の授業があるという。

専門学校の色が強いインターナショナルスクールでは、6年間通っても日本の中高等学校を修了したとは考えてもらえず、大学に進学したければ大検を受ける必要がある。これを回避するため、半数ほどのインターナショナルスクールが日本語の授業も行い、「日本国内の高等学校を卒業した者と同等かそれ以上の学力があり、日本の大学を受験することができる外国人学校」というお墨付きを文科省からもらうわけである。

そこでの日本語の授業とは、一体どんな感じなのか。あるウェブサイトに、インターナショナルスクールで実際に日本語を教えておられる方の貴重な証言が見つかったので、ご紹介したい。

インターナショナルスクールでも、日本語を母語とする生徒のために日本語教育が行われる。日常的に物事を考える言語をその人の「思考言語」と呼び、日本の大学に進学したり就職したり、日本で生活するためにも、抽象的な部分の深くまで母語で考えられるようにすることは重要。

 

日本にあるインターナショナルスクールで、日本語ネイティブの生徒は、国公立の学校で使われている文部科学省の検定済み国語の教科書を使うことがほとんど。それは、日本人が最も効率よく国語を習得するために、日本人が開発した国語プログラムだから。

 

こうしたことから、差はあれど、日本人生徒のほとんどが基本的な日本語4技能が身に着き、「話す」「聞く」に関しては普通の日本人とほとんど変わらず、社会に出ても通用する基礎は身についている。

 

帰国生や途中から日本語クラスに編入してきた生徒は、個別または1学年下の国語の教科書を使い、日本語教師が学年相当まで引き上げるように授業プランを実施していく。

 

問題点としてはこんなことが挙げられていた。

インターナショナルスクールは日本の学校に比べると、やはり日本語環境という意味では、日本語に触れる時間数が少ないのが実態。「読む」「書く」に関してはどうしても弱くなる

 

特に漢字や文章を書く力が乏しいことが多く、慣用句、故事成語、四字熟語については、ほとんど知らないと言っていいかもしれない。また、「話す」「聞く」に関しても、敬語に関する知識が少ないなどの不安がある。

 

ただし、日本語の素地が身についているため、そうした欠点は大学に入学してからでも十分に克服できるであろうし、文章を書く力、漢字、熟語、謙譲語、丁寧語、尊敬語などの知識も、家族をはじめとする周辺の人々から教われるのであれば、特に問題はないようだ。

例えば高校で、世界史を山川出版社の”詳説世界史”を使って勉強したとしよう。この教科書は内容のみならず使用されている日本語も超一級であり、それを何度も繰り返し読むことによって、生徒は世界史のみならず、自らの日本語も磨かれていく。

普通の日本の中高等学校であれば、すべての授業は日本語で行われるので、現国の時間以外にも日本語の勉強をしていることになり、こういうことはインターナショナルスクールでは期待すべくもない。



セミリンガルになってしまう懸念もある。

言語の習得は「日常レベル」と「知的レベル」の2段階に分けられる。友達や恋人と話したり、コンビニで買い物をしたり、といった類の話は日常レベルで十分であり、これは小学校まででかなり身につく。江戸時代なんか、国民の多くが、日常レベルから知的レベルへ飛躍することすら期待されていなかった。

しかし現代社会は、色々な職業で知的レベルの言語スキルが求められる。圭君が図らずも職業とした弁護士がいい例である。

言語スキルが日常レベルから知的レベルへ飛躍しないのを、セミリンガル(Semilingual)といい、日常生活ではほぼ問題なく複数の言語を操れるものの、「深くまで理解できない」状態であることを指す。

内容が難しくなると、途端に言葉が頭に入ってこなくなり、抽象的な表現を使いことなすことも苦手だと感じるそうだ。セミリンガルのまま成長していくと、やがて物事全般を深く考える力が向上しなくなるといい、進学や就職といった大きな局面で不利になることがあるという。

中高をインターナショナルスクールで過ごした圭君のような若者では、まさにこのリスクに直面することになる。母国語を完全に使いこなせない状態で英語中心の学校生活になり、いずれの言語も深く習得できないまま、年齢を重ねていくからだそうだ。

つまり、家庭で日本語を知的レベルまであげる努力をしないと、日本語は永遠に日常レベルにとどまったままとなる。インターナショナルスクールに通った日本人生徒のすべてがセミリンガルになってしまうわけではないが、親は常に知的レベルの高い会話をするよう心がける必要があるという。

CIS中等部の入学手続き 家族面接では英語を話せる者が最低1名いるかどうかを確認される(画像は『CIS』のスクリーンショット)』
CIS中等部の志願者は、家族面接で「英語を話せる者が最低1名いるか」を確認される(画像は『CIS』のスクリーンショット)』

では、英語の方で知的レベルを上げればいいんじゃないかと思うかもしれないが、最初に身に着けた言語、つまり日本語でこれに失敗していると、次の言語である英語も日常レベルに留まってしまう可能性が極めて高いことが、言語学上ではよく知られている。

つまり、日本語も英語もどちらも日常レベルという、変なバイリンガルを作り出してしまうことになる。逆に言うと、最初の言語である日本語が知的レベルまで引き上げられていると、その後に勉強し始めた英語を知的レベルに引き上げることは、それほど難しい話ではない。

小室圭君が務めているLowenstein Sandler法律事務所のある弁護士が、小室君の英語を「あの英語じゃ、弁護士としての活動は無理だろう」と言ったという話を耳にしたことがあるが、これがその理由だろう。
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セミリンガルは、何もインターナショナルスクール卒業生に限った話ではない。私のよく知っている方が、ミクロ経済学の入門書を共著で出版したところ、Amazonに次のようなレビューが掲載されていた。

・内容は悪くないと思います。どちらの著者の記述部分かは申しませんが、日本語があまり上手くない部分があり、多少ストレスを感じました。

 

この方は大学の経済学の先生で、日本語での日常会話にはなんら問題はない。もっとも些か粗野ではあるが。

もう一人、京都大学法学部を卒業した、セミリンガルの弁護士の方についてお話してみたい。仮にHSさんとしておこう。事情があってこのHSさんと電子メールでやりとりすることがあったが、このHSさん、私が差し上げたメールを読まれるのに、とにかく時間がかかるのである。

そのメールは今書いているのと同じような調子の文章なんだが、とにかく読むのに時間がかかる。しかもトンデモナイ誤読をされることがある。例えば「私はカレーが好きです」というと、あちらは「あなたはカレーだけが好きだと言った」という類の誤読をされるのだ。こんなんで弁護士は大丈夫なのか、とても心配になってしまった。

極めつけはこの弁護士さん、法律の条文がよく読めないというのである。弁護士といっても、法律をすべて知っているわけではなく、仕事上、今まで全く勉強したことのない条文に目を通す必要が度々ある。メジャーな法律なら色々いい解説書もあるのだろうが、マイナーな法律では条文を直接読むしか手はない。でも彼はそれができず、お手上げな様子が可愛そうになってしまった。

常用漢字は2,136字で、うち約半分の1,026字が教育漢字として小学校で覚え、残りは中学校で習い、義務教育を終えると常用漢字は一応マスターしたことになる。圭君は日本の小学校を終えているので、おそらく教育漢字は大丈夫だろう。残りの常用漢字をどこまで学んだかは、上記のインターナショナルスクールで日本語を教えている方の “ぶっちゃけた話” を聞く限り、そう多くは望めないと思った。

Lowenstein Sandler法律事務所のホームページで、圭君の特技は日本語とあるが、心許無い限りである。これは私の推測だが、彼は日本の新聞がスラスラと読めないのではないかと思っている。



圭君がセミリンガルだという証左は色々あるが、まず彼が他愛もないニューヨーク州の司法試験を2度もしくじっていることが挙げられるだろう。お母さんの元婚約者さんは「彼は勉強家だ」と言っていた。つまり彼の英語が日常レベルのままだったためで、ただ、頭がついていかなかっただけのことであろう。真面目に勉強しなかったなどと責めてはいけない。

次の証左として、『New York Business Law Journal』に掲載されたという彼の書いた論文 “Compliance Problems in Website Accessibility and Implication for Entrepreneurs” が挙げられる。

これについては、YouTuberのReal Imperial Story by 輸入食品さんの『KK論文と2位の論文をちゃんと読んでみた NYSBA ニューヨーク州弁護士協会論文コンテスト』という動画をご参照願いたいが、およそ法学の論文とはいえない代物である。英語と日本語という違いはあるが、これなら悠仁くんの作文『小笠原諸島を訪ねて』のほうが、よほど気が利いている。

さらにもうひとつ証左をあげると、やはり、Real Imperial Story by 輸入食品さんの動画『英語ペラペラ?帰国子女!? K妃とKKの英語について』にもあるが、英語の得意なはずの彼が “relative” や “expertise” といった単語をちゃんと発音できなかったことがあげられる。知的な会話ではよく使われる単語だが、おそらく本人には遠い存在だったのだろう。知的なものと、ここまで無縁の世界で生きてきたのかもしれない。

 

晴れて弁護士となったため、これから膨大な量の知的な文章を読んだり、書いたりすることが求められる圭君。司法試験なら時間無制限で再挑戦も可能、2回でも3回でも受けさせてもらえたのだろうが、仕事はすべて時間制限付き。そういうわけにはいかないのである。

圭君、大丈夫ですか?

 

 

【皇室、徒然なるままに】第4話 は《後編》として、おそらく小学校で習ったままであろう、小室圭くんの日本史の知識について論じてみたいと思っている。

(理学博士:西村泰一/編集:エトセトラ)

 

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★ここでちょっと西村先生のデザイン画を紹介★

2013年の作品『東京タワー お侍』
2013年の作品『TOKYO 2020』

【解説】
東京で最初にOlympicsが開かれたのが1964年10月であるが、同月に東京と新大阪を結ぶ新幹線が開通している。その頃は、私は小学校4年生で、当時京都にいた私は、小学校から京都駅まで、その新幹線を社会見学に連れて行ってもらったことを、今でも鮮明に記憶している。

てっきり乗せてもらえると思っていた私は、単にこれが新幹線ですとだけ説明されて、そのまま踵を返してまた小学校に戻ったので、何か騙されたように感じたものである。

なぜと言われて、なかなか説明が難しいのであるが、私にとっては東京Olympicsと言えば、まず東京Towerなのである。2020年のTokyo Olympicsが決まったからと、Tokyo Towerを5色のLightでIlluminateしているところを見ると、そういう思いは必ずしも私の専売特許というわけではないようである。

1964年のTokyo Olympicで日本経済は弾みをつけるのであるが、これが終わった1965年には大型不況に突入し、それに対する景気対策としての財政出動ということで国債の発行に手を付け始め、現在では日本政府は1000兆円を越す借金を背負っている。

それはさておき、2020年に東京でOlympicsを行うことが決まり、大きな弾みがつくことは間違いないので、そのあたりの勢いを象徴的に描いてみた。ご堪能いただければ、幸いである。

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【西村先生のご経歴】
1966年4月ー1972年3月  洛星中高等学校
1972年4月ー1976年3月  京都大学理学部
1976年4月ー1979年10月 京都大学大学院数理解析専攻
1979年11月ー1986年3月 京都大学附置数理解析研究所
1986年4月ー2019年3月  筑波大学(数学)



※ 西村先生のデザイン画について、タイトルに誤りがございましたので、修正させていただきました。大変申し訳ございませんでした。

画像および参考:
『CIS』Junior High School ― ADMISSION PROCEDURE (School Year 2023-2024)

『indeed』 Abu DhabiでのCanadian International Schoolのクチコミ

『edu JUMP!』日本語の力は?〜インターナショナルスクール術

『edu JUMP!』全校リンク付き!2021年度 国際バカロレア(IB)認定校一覧

『Kids Duo』インターナショナルスクールとは?

『YouTube』 Real Imperial Story by 輸入食品 ― KK論文と2位の論文をちゃんと読んでみた NYSBA ニューヨーク州弁護士協会論文コンテスト

『YouTube』 Real Imperial Story by 輸入食品 ― 英語ペラペラ?帰国子女!?K妃とKKの英語について

『CIS』About CIS ― History

『文部科学省』IB教育推進コンソーシアム ― 国際バカロレア(IB)について