【YOUR VOICE】憲法における天皇の位置づけ ~天皇家女性の事例と男系男子限定の危うさ 第5弾~
これまで4回に渡り、過去の天皇家における女性の活躍や旧宮家等の天皇継承について見てきました。ここで改めて、日本国憲法における「天皇」の位置づけを見てみましょう。
「天皇」は、第一章に定められています。即ち、「日本」という国の根幹と言えるでしょう。
そして、第一条では、「天皇の地位と主権在民」の定めとして、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」とあります。
これに対し、現在、国会で議論されている自民党による憲法改正草案では、「天皇は日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴」と変更され、大きな違いとして、天皇が「象徴」ではなく「元首」との立場となっています。
なお、参政党の創憲案では、第一条で「日本は、天皇のしらす君民一体の国家」3項で「神聖な存在」とし、やはり「象徴」の立場ではなくしています。
一方で、天皇の名のもとの戦争が行われた大日本国憲法で、「天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬」となっていました。
また、第二条では、「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」とあり、これに対する自民党憲法改正草案では内容的な変更はありませんが、現在、皇位継承に関しては、憲法ではなく、皇室典範における改正の議論がなされています。
一方で、大日本国憲法では、「皇位ハ皇室典範ノ定ムル所ニ依リ皇男子孫之ヲ継承ス」とされていた事に対し、わざわざ「男子継承」は憲法による規定ではなく、憲法よりは変更が容易な皇室典範に委ねられ、逆に憲法で「世襲」が大原則とされており、皇室典範改正の議論も、その意義をふまえて行われる事が望まれます。
なお、参政党の創憲案では、第二条で、「皇位は男系男子の皇嗣が継承」として、大日本国帝国憲法にすらなかった「男系」の制限まで憲法に加えられており、党首の神谷氏は、場合によっては天皇に側室を持って頂けばよいとの考えを表明しています。
その他も、自民党改憲草案では、第八条の「皇室が財産を譲り渡すまたは譲り受けることは、国会の議決が必要である」との条文に対して、「法律で定める場合を除き」との例外の余地が加えられているなど、少しずつ様々な修正が加えられている一方、参政党創憲案では、第五条の「皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、天皇の名で、その国事行為を行う」に対する条項は「摂政は、皇族に限り、皇室典範に基づき権限を行使」といった表現とするなどの違いがあります。
現在の皇室典範で養子は禁止されていますが、これを旧宮家皇族復帰に伴い可能とされると、政権の意向が反映されやすい摂政がたてられる危険性もあのではないでしょうか。
ちなみに、自民党憲法改正草案では、天皇に関する条項以外も、第二章の「戦争の放棄」が「安全保障」の条項として国防軍に関する条項新設、第三章十二条の「国民に保障する自由及び権利」に「責任および義務が伴うこと」や「公益および公の秩序に反してはならない」との規定が加えられ、「家族は、互いに助け合わなければならない」とする条項や「内閣総理大臣は、最高指揮官として国防軍を統括」との条項新設の他、第九章として「緊急事態」に関する章が新設され、「内閣総理大臣が、戦争や災害において緊急事態宣言可能」「緊急事態宣言時、内閣は政令の制定ができ、効力期間中に衆議院は解散されない」といった変更が加えられています。
この憲法改正等に対する各政党のスタンスは、実際には、個々の条文、個人、時期等によっても異なる可能性はあるようですが、表向き野党でも賛成の姿勢を示している党もある一方、疑問を呈する声や反対の声に対しては、報道を制限していたり、切り取りによる印象操作が行われている事もあるようです。
我々国民は、この日本国憲法において参政権が保障されており、選挙前の聞こえの良い政策や、デマの可能性もある根拠不明の情報にとらわれず、自ら、どの政党や政治家が、実際にどのような考えを主張し、実行しているか、現在、どのような議論がなされているのか等もふまえ、選挙への参加など、国民の監視の目も大切にしていきたいものです。
次回は、皇室典範改正に対する動向について改めて確認していきたいと思います。
国立国会図書館 ― 日本国憲法の誕生「大日本帝国憲法」
(東京都在住:Yさんより)
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