三の丸尚蔵館は名称を変更し学芸員の解釈拡大へ 眞子さんMET就職報道と並行し一部改正された博物館法
夫の小室圭さんとともに現在ニューヨークに暮らしている小室眞子さんについて、いよいよメトロポリタン美術館(以下MET)に正式に就職か、それとも子作りに入るのか、はたまたその両方を狙っているのかと週刊誌などが騒ぎ始めているが、こちらも忘れてはならない話題だ。日本では内閣が提出した博物館法の一部改正案がすでに可決されており、眞子さんのMET就職をかなり後押しすると考えられる新しい博物館法が、あと半年もなく施行となるのだ。
まずは、文教科学委員会がまとめたという「議案要旨」をご覧いただきたい。
博物館法の一部を改正する法律案(閣法第三一号)(衆議院送付)要旨
本法律案は、博物館の設置主体の多様化を図りつつその適正な運営を確保するため、博物館登録制度の見直し等を行おうとするものであり、その主な内容は次のとおりである。
一、博物館法の目的に、文化芸術基本法の精神に基づくことを追加する。
二、博物館が行う事業に、博物館資料に係る電磁的記録を作成し、公開すること並びに学芸員その他の博物館の事業に従事する人材の養成及び研修を行うことを追加する。
三、博物館は、他の博物館等との間において、資料の相互貸借等を通じ、相互に連携を図りながら協力するよう努めるとともに、地方公共団体等の関係機関及び民間団体と相互に連携を図りながら協力し、地域における教育、学術及び文化の振興、文化観光その他の活動の推進を図り、もって地域の活力の向上に寄与するよう努めるものとする。
四、登録の申請に係る博物館の設置者は、地方公共団体若しくは地方独立行政法人又は博物館を運営するために必要な経済的基礎を有すること等の要件に該当する法人(国及び独立行政法人を除く。)のいずれかであることとするとともに、登録の申請に係る博物館は、博物館資料の収集、保管及び展示並びに調査研究を行う体制等が、都道府県又は指定都市の教育委員会(以下「都道府県等教育委員会」という。)の定める基準に適合するもの等であることとする。
五、都道府県等教育委員会は、登録を行うときは、あらかじめ、博物館に関し学識経験を有する者の意見を聴かなければならないこととする。
六、登録された博物館の設置者は、当該博物館の運営の状況について、定期的に、都道府県等教育委員会に報告しなければならないこととするとともに、都道府県等教育委員会は、登録された博物館の適正な運営を確保するために必要がある場合等において、当該博物館の設置者に対し、報告徴収、勧告等を行うことができることとする。
七、学芸員補の資格要件を、短期大学士等の学位を有する者で博物館に関する所定の科目の単位を修得したもの等とするとともに、文部科学大臣及び都道府県の教育委員会による研修の対象に、学芸員及び学芸員補以外の者を含めることとする。
八、この法律は、一部を除き、令和五年四月一日から施行する。
特に気になるのはこの「二」と「七」。学芸員の資格要件のハードルを下げ、学芸員以外にも博物館の事業に従事する人材を養成し、電磁的記録(目録のデジタル化)を作成していく、学芸員とほぼ同等の作業に当たらせようと考えているようだ。
古美術商や鑑定家として活動しているような人たちならともかく、そこには関係者の推薦などを受けた人や、古美術品や寺社仏閣の修復作業にかかわってきた業者なども含まれるのではないだろうか。
この改正案は内閣により令和4年2月22日に提出され、衆議院の可決を経て令和4年4月8日に参議院本会議で可決し、施行は来年4月1日だそうだ。長いこと変化もなかった博物館法にいったい何が…という突然の展開。理由は、新生・三の丸尚蔵館のためではないだろうか。かつて専門家が「皇室には超国宝級でありながら、重要文化財・国宝の指定もまだという状態の古美術品が大量に眠っている」などと話していたが、それは正しかったようだ。
こちらは、宮内庁が発表していた「三の丸尚蔵館の今後の保存・公開の在り方に関する提言」というPDFファイル。2ページ目にこうある。
有識者たちは、三の丸尚蔵館にあふれる収蔵品の保存や適切な公開のためにも学芸機能体制の整備が課題だと考えており、筆者はこうしたことからも、このたびの博物館法一部改正の議案には、彼ら有識者たちの提言が大きく影響していると考えている。
そして3ページ目に進むと、三の丸尚蔵館の収蔵品9,682点について有識者懇談会委員の間で精査はすでに行われたとある。
眞子さんのMET就職の見返りか手土産かと噂されている皇室の美術品だが、価値の高い「A」「B」ランクではなく「C」ランクならお好きにどうぞ…という気がしないでもない。いや、邪推するなら「C」こそMETが欲しがるような逸品で、処分のフリをして実は…という流れもアリか。
さらに、5ページ目には三の丸尚蔵館の名称を変更する案があることに触れている。“現在の名称「三の丸尚蔵館」は、決して親しみ易い名称ではなく、分かりづらい”には驚いた。「サンノマルショウゾウカン」では分かりづらい? 品格ある立場にふさわしくない? これは果たして日本人の発想だろうか…。
なお、現在の内閣に選ばれている有識者たちの顔ぶれはこちらだ。ここに、ビジネス上のメリットから「非学芸員でもちょっとだけ研修を受け、皇室の古美術品に触れ、目録作りに携われるようになると良い」と考える人物が紛れ込んでいるとしたら、たいそう恐ろしいことだ。
(朝比奈ゆかり/エトセトラ)
画像および参照:
『参議院』博物館法の一部を改正する法律案(令和4年4月15日)
『宮内庁』宮内庁三の丸尚蔵館の今後の保存・公開の在り方に関する提言
『宮内庁』宮内庁三の丸尚蔵館収蔵品の保存・公開の在り方に関する有識者懇談会 有識者