司法試験ペーパーテスト後の難関「Character & Fitness」 調査と面談で嘘やごまかしが発覚すれば…?

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Character and Fitnessの委員会はニューヨーク州最高裁判所の1部門(画像は『NY COURT.GOV』のスクリーンショット)
Character and Fitnessの委員会はニューヨーク州最高裁判所の1部門(画像は『NY COURT.GOV』のスクリーンショット)

弊ブログのメールやTwitterのDMに、「小室圭さんが弁護士になることに納得できない」「ニューヨーク州司法試験委員会にメールを送りたい」というご相談を頂くようになった。だが、これはやめましょうと指導したり、逆にこう書きましょうと煽ったりすることははばかられる。そのため、今回はCharacter and Fitness に関するABA(アメリカ法曹協会)の解説を紹介させていただくことにした。



こちらは、ABAの公式ホームページにある『The Other Bar Hurdle: the Character and Fitness Requirement』という記事だ。ペーパーテスト合格後、弁護士として登録される前に「Character and Fitness」のハードルを越えなければならないと言っているが、隠し事がない誠実な人なら不安に思う必要は全くないようだ。

ABA(アメリカ法曹協会)はCharacter and Fitnessについてわかりやすく開設(画像は『ABA for students』のスクリーンショット)
ABA(アメリカ法曹協会)はCharacter and Fitnessについてわかりやすく解説(画像は『ABA for students』のスクリーンショット)

 

簡単に翻訳し、箇条書きにしてみるとこうなる。

■Character and Fitnessは、弁護士としてふさわしくない人物から公衆の利益を守り、法曹界全体の評価を維持することを目的としている。

 

■本人はCharacter and Fitnessのアンケートに記入する。少年期を含めた犯罪、事件、有罪判決や民事違反、学問上や雇用上の不正行為、裁判所命令の順守、金銭にかかわる不正行為、精神面の健康や薬物乱用の有無、職場における懲戒処分といった過去がある場合、どんな些細な事でも完全に報告する義務がある

 

■Character and Fitnessの調査が原因で弁護士の登録を拒否されるということは、稀にだが実際に起きている。通常はヒアリングで現在は善良な人物であると確認できればよい。ただ、時間をかけ調査を実施する場合は認可が大幅に遅れることがあり、弁護士を雇ったうえ裁判所で公聴会が開かれることもある。

 

■弁護士を志す者に求められるのは正直さや誠実さ、自分の行動に対する責任感。そして善良で道徳心があること。過去の違反行為について調査を受けただけで登録を拒否されることはないが、説明を求めた際の答えに嘘やごまかしなど不誠実さが見られた場合、弁護士の登録を拒否される可能性が高くなる。

 

■全米司法試験委員会(National Conference of Bar Examiners 略称NCBE) は過去に登録が拒否された例として、違法行為、学業や雇用先での不正や詐称の行為、金銭面での無責任さ、裁判所命令に対する違反行為などがあった、または精神不安定や薬物乱用の問題などを報告している。

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Character and Fitnessの委員たちは、アンケートも含め、受験者が誠実な人柄であることを確認したがっているようだ。そうなると、家族に関するネガティブな情報が寄せられたとしても、本人には関係がないとみなされ、放置されてしまうような気がする。

一方、調査が必要だと判断され面談や聞き取りが行われ、そこで本人が嘘やごまかしで逃れようとしたら、弁護士として不適任!登録は見送り!となるのだろう。本人が隠しておきたいことを尋ねてみて、そこで苦し紛れにボロが出てしまうというケースはマズイそうだ。

 

■宛先について

筆者も自分なりに感じるある疑問について、メールをニューヨーク州最高裁判所控訴部の「AD2CCF@nycourts.gov」に送付済みだ。複数の部署に多くのメールがバラバラに集まるのも、もみ消しの抑止になるのかもしれず、こうなったらニューヨーク州の4カ所にあるCharacter and Fitness委員会のすべてに送ってしまおうか…などとも考えたりしている。

 

■まとめ

州裁判所できちんと審議していただくためにも、「こういうことをメールに書いてもスルーされるだろう」と思う点はあきらめ、「これはしっかりと調査し、本人に聞き取りを行わなければ」と委員に感じていただけるような点に的を絞る、筆者もそんな気持ちでこの問題に取り組まなければならないと思った。

それにしても、送らずにいたら後悔しそう、Twitterでブツブツ言っているより気持ちがラクになると言い、自ら立ち上がった方が多いことには驚き、大変励まされている。日本人は昔とは比較にならないほど強くなった。「大人しく慎み深いことが美徳」といった昔ながらの精神が、時と場合によっては引っ込んでしまう。それが最近とても誇らしく感じられる。



(朝比奈ゆかり/エトセトラ)

画像および参照:
『ABA』For Students ― The Other Bar Hurdle: the Character and Fitness Requirement

『Wikipedia』 New York Supreme Court, Appellate Division

『the Appellate Division of the Supreme Court New York』Committee on Character&Fitness

『the Appellate Division of the Supreme Court New York』Attorney Matters ― Application Process for Admission to the Bar