皇居・豊明殿で起きた職員転落死の事故に新たな真実 大手建設会社がわずか2年1ヶ月前に修繕工事済だった

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しばらく前、こちらで皇居・豊明殿(ほうめいでん)の廊下部分で、天井からの雨漏りに手作業で対応していた宮内庁の職員が事故死という、2021年12月のアクシデントについてお伝えていた。ところがその天井は、鹿島建設がわずか2年1ヶ月前に修繕工事を行っていたことがわかった。



2021年12月8日、皇居・豊明殿(ほうめいでん)の廊下部分で、雨漏りに対応していた50代の男性職員が、ハシゴから転落して亡くなるという事故が起きた。

男性職員はバケツを手に天井裏に上っていたが、使用していた脚立の約3メートルの高さから転落。肋骨を骨折し、搬送先の病院で数日後に死亡した。通常その作業は数日おきに複数人で行っていたが、事故当日は同じグループの担当が休暇中で、1人で作業していたという。

豊明殿は、天皇即位の礼、大嘗宮の儀に続く「大饗(だいきょう)の儀」、海外の要人を招いての晩餐会など、大規模な宴会が数多く開催される場所。事故の当時、マスコミは「明治宮殿が戦後に再建されたもので、かなり古くなっている」とだけ報道していた。

ところが…。

 

◆鹿島建設が2年1ヶ月前に修繕工事をしていた!

だが、こんな随意契約調書が見つかった。宮内庁は令和元年(2019年)9 月 9 日、皇居・豊明殿の防水修繕工事を行うことで、鹿島建設と随意契約を交わしていたのだ。

鹿島建設が行った雨漏りに対する下天井裂地張替ほか工事、たった2年でダメになるものだろうか(画像は『宮内庁』PDFのスクリーンショット)
鹿島建設が行った雨漏りに対する下天井裂地張替ほか工事、たった2年でダメになるものだろうか(画像は『宮内庁』PDFのスクリーンショット)

 

「随契理由」の部分にはこう書かれている。

本工事は,宮殿豊明殿の陸屋根防水が劣化したことにより,その下部にある豊明殿西廊下天井で漏水が発生し,天井裂地に漏水染みができてしまったため,裂地の張替及び陸屋根防水修繕工事を行うものである。

 

豊明殿西廊下は,令和元年10月22日から行われる饗宴の儀において御使用になる廊下であり,宮殿内では即位礼正殿の儀に伴うリハーサルが10月中旬に頻繁に行われるため,これらの事由を考慮すると,本件工事は10月初旬には完了する必要がある。

 

工事期間は,3~4週間程度必要なことから,緊急に契約を締結し,着手する必要がある。鹿島建設株式会社は,同種の工事実績(「平成27年度宮殿豊明殿保全整備工事」)があり,工事内容や作業段取りを熟知し,資機材及び人員の調達が早急に可能な唯一の業者である。

 

それまでの工事実績で、宮内庁から信頼されていたことが文面から伝わってくる鹿島建設。彼らもその期待に応えるよう、丁寧な修繕工事を行ったと思われるが、それがたったの2年1ヶ月で再びの雨漏りを起こすものだろうか。これは、鹿島建設の評価にも影響を及ぼしかねない話である。



◆事故後、再びの修繕工事は行われたの?

ここで気になったのは、その転落事故の後、宮内庁は鹿島建設あるいは別の業者に依頼し、改めて天井の裂地の張替、および陸屋根防水修繕工事をやってもらったのかということである。

豊明殿の廊下はいくつもあるだろう。もしかすると西側ではなく別の場所が新たに朽ちてきて事故が起きたということも考えられるため、「西側」と限定せず、「宮内庁 豊明殿 廊下 天井 屋根 修繕工事」として検索してみたが、上に示した鹿島建設との2019年の随意契約以外、情報は得られなかった。

 

一方、掲示板の情報ではあるが、犠牲となった職員さんは少し前まで秋篠宮家に仕えていたらしく、何らかの理由で左遷となり、皇居の宮殿担当になったなどとあった。

本当に雨漏りなど起きていたのだろうか。そして、脚立が壊れていたということはなかっただろうか。

(朝比奈ゆかり/エトセトラ)

画像および参考:
『宮内庁』随意契約調書

『エトセトラ・ジャパン』秋篠宮邸にお金がかかりすぎ、皇居の晩餐会会場は雨漏りを職員がバケツで対応 悲劇の転落死亡