グリーンフラッシュだけじゃない! 『小笠原諸島を訪ねて』作文の奇妙な点はこんなにも《後編》
筆者がグリーンフラッシュの件以外にも感じていた、悠仁さまの『小笠原諸島を訪ねて』作文の奇妙な点。《前編》ではこんなことをお伝えしていた。
・フェリー7デッキを完全貸し切り状態か
・孵化直後のアオウミガメが歩く様子を日中に?
・反対活動もある子ガメの放流会に参加
・当初1点だけ示された《参考文献》とは
今回の《後編》では、以下の内容を記してみたいと思う。
・イルカと泳いだというのは本当か
・「父はお仕事だった」は嘘なのでは?
・グリーンフラッシュ「2~3秒間」で墓穴を掘ったか
・まとめ:文章全般がまるで白黒のガイドブック
◆イルカと泳いだというのは本当か
当時、小学校5年生だった悠仁さまは本当に小笠原の海でイルカと一緒に泳いだのだろうか。女性自身、週刊女性PRIME、FNNプライムオンライン、さらには「小笠原諸島返還50周年記念事業実行委員会」までもがFacebookでそう伝えていた。
父島の海でイルカと泳ぐとはどういうことなのか、草地ゆきさんという方が2021年7月にYouTubeにアップされた、『小笠原スキンダイビング/イルカ・マンタ・人と泳ぐ!』という動画をご紹介してみたい。最初の30秒で十分に雰囲気は伝わると思う。
父島の海に泳いでいるイルカは、主にミナミハンドウイルカだといい、呼吸のため海面に浮かんできた際に背びれで見つかるという。ただし水深はかなりありそうだ。マリンスポーツに慣れているとは思えない11歳の悠仁さまを、果たしてこれに挑戦させるものだろうか…。
作文にも「イルカと泳ぐことを楽しんだ」と、どこにも書かれていない。「悠仁さまは勉強もスポーツもこなすオールマイティーな少年」風に盛られた報道には、国民ばかりか悠仁さまご本人もウンザリしておられるのではないだろうか。
◆「父」は本当にお仕事だった?
その作文の最後に「父は仕事で行けなかった」と書かれた悠仁さま。これに「オカシイ」と感じた方が、Twitterで筆者にそうコメントを下さった。
宮内庁が発表した平成29年7月~9月の秋篠宮家のご日程を見ると、7月22日~28日の6泊7日のご旅行なら、確かにお父様も参加は可能だったことがわかる。
◆グリーンフラッシュ「2~3秒間」で墓穴を掘ったか
2017年7月24日、プロのカメラマンが「より珍しいブルーフラッシュ」を撮影できたと喜んでおられたにもかかわらず、悠仁さまの作文には「グリーンフラッシュを見た」と書かれていた。テレビ朝日の『ワイドスクランブル』もそれに合わせるためか、敢えて別の日に撮影されたグリーンフラッシュの写真をカメラマンから借りて紹介している。
「そんなに一瞬なら、グリーンでもブルーでもわからなくない?」とおっしゃる方もいるが、作文に「2秒から3秒見られる」と記されていたことには、やはり違和感を覚える。グリーン(ブルー)フラッシュは本当に2秒間以上続くものなのか。
その点について調べたところ、『昭和基地NOW!』という国立極地研究所のウェブサイトに、南極で観測されるグリーンフラッシュについての記事を発見した。そこには「太陽光が屈折し、波長の短い緑色の太陽像が浮き上がって見える現象です。日本では1秒程度でも、南極ではもっと長く見ることが可能です」とあった。
確かに北海道、新潟、秋田で確認されたグリーンフラッシュは、いずれも1秒どころか「一瞬」と報じられてきた。つまり緯度に関係するのだろう。そこで、小笠原諸島より南に位置する北緯24度4分の石垣島でみられたグリーンフラッシュの情報をあれこれ調べたが、そこでも「2秒間」が精一杯だとわかった。
また、「ガイドもブルーフラッシュなんて知らないから、グリーンフラッシュだと言ってしまったのでは」というお声もあるようだ。
だが南国のリゾート地で観光業に携わる方々は、おそらく誰もがブルーフラッシュを知っていると思う。先の記事でご紹介した父島の冨田マスオさんも、プロのカメラマン兼ツアーガイドだ。逆に、ガイドたちもカメラの腕は相当なもので、撮影した写真をよく画像共有サイトで販売している。
そして、冨田さんにせよ圧倒的にグリーンフラッシュの写真の方が多いため、「見間違えた」とは考えにくい。その後の2019年8月にも、冨田さんはブルーフラッシュらしき青い閃光を撮影したことを自身のamebloで報告しておられた。
風景写真といえば南国。カメラ好きな人たちの間でブルーフラッシュはやはり有名なのだろう。SNSにも複数の写真がアップされていることがわかった。
◆まとめ:文章全般がまるで白黒のガイドブック
とにかく “硬い” 悠仁さまの『小笠原諸島を訪ねて』。中学生の少年が、こんな言葉や言い回しを果たして用いるものだろうかと筆者は不思議でならなかった。最初だけでも、この調子なのだ。
このようなことにより、
したがって、
船が離岸し南下していくと、
その晩は心地よい眠りにつきました。
沖縄と双璧をなす澄んだ海です。
選考にあたったリリー・フランキーさんも、講評として「一人の中学生だと考えると、もう少しプライベートな事が書かれていると良いと思いました」と述べておられたが、悠仁さまの作文に足りないのは、少年らしいみずみずしい感性から湧き出て来る「自分はこう感じた」という表現だ。
「日差しは夕方になると和らぎ」「私たちは互いに手をふり、別れを惜しみました」といった、大人の女性が用いるような表現が所々にある一方で、少年少女の作文でたびたび目にする「ヒヤッとしました」「ドキッとしました」「~の鳴き声を初めて聞きました」「ちょっと不思議でした」「おそる、おそるやってみました」「~みたいな味がしました」といった言葉が見当たらない。
「女性自身」は『悠仁さまが文学賞入選!審査員も文才絶賛「紀行文のお手本」』などと褒めちぎっていたが、15歳らしい感性が生かされていないことを全く感じなかったのだろうか。
白黒写真の観光ガイドブックを読んでいるかのような、さっぱりワクワクしないこの作文。実は以前から「紀子さまを良く思っていない宮内庁職員が、更迭を覚悟でわざと大人が書いたとバレるようにしたのでは」という意見があがっている。筆者もまったく同感だ。
「前編」はこちらから
(朝比奈ゆかり/エトセトラ)
参考および画像:
・『北九州市立文学館』第12回子どもノンフィクション文学賞受賞作品集P74~P82(2021年3月発表分)
・『女性自身』悠仁さまが文学賞入選!審査員も文才絶賛「紀行文のお手本」
・『宮内庁』秋篠宮家のご日程(平成29年(7月~9月))
・『国立極地研究所』昭和基地NOW! グリーンフラッシュ
・『Facebook』桑原 奈緒美(写真)
・『Facebook』八木千賀子(写真)
・『Facebook』沖山真人(写真)
・『Facebook』冨田 マスオ(写真)
・『YouTube』 Dolphins & Oceans – 草地ゆき ― 小笠原スキンダイビング/イルカ・マンタ・人と泳ぐ!
・『ameblo』小笠原のガイド「語りべ マスオ」
・『エトセトラ・ジャパン』2017年の小笠原旅行で悠仁さまは本当にグリーンフラッシュを? TV局もプロのカメラマンも困惑か