「悠仁さまが絶滅危惧II類を大発見!」のはずが… 論文写真No.85ヨツボシトンボの腹にも丸い穴 

この記事をシェアする
トンボ論文の写真No.85のトンボの腹の先端近くに…(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)
トンボ論文の写真No.85のトンボの腹の先端近くに…(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)

 

先の『写真74番、コシアキトンボの後ろの翅は画像を合成した疑いが』という記事はX(Twitter)の「アラ還ぎゃる」さんの考察によるものだった。もう1件、そのアラ還ぎゃるさんがさらに怪しい写真を見つけてくださったという。

それは写真No.85。あれあれ、悠仁さまが絶滅危惧II類ヨツボシトンボを奇跡的に大発見…という話ではなかったの…?



◆写真No.85はどうおかしいのか

まずは写真を拡大したものをご覧いただきたい。腹の先端近くに丸い穴が開いていることがおわかりいただけただろうか。

絶滅危惧種2類を発見…のはずが、トンボの腹の先端付近に丸い穴が(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)
絶滅危惧種2類を発見…のはずが、トンボの腹の先端付近に丸い穴が(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)

••┈┈┈┈••✼✼✼••┈┈┈┈••

信じられない、信じたくないとおっしゃる方も、どうか下のいずれかの論文にある実際の写真No.85を拡大してご確認頂きたいと思う。

『J-Stage』赤坂御用地のトンボ相 ―多様な環境と人の手による維持管理―

『国立科学博物館』赤坂御用地のトンボ相 ―多様な環境と人の手による維持管理―

••┈┈┈┈••✼✼✼••┈┈┈┈••

 

◆ほかの個体にそんな穴は開いていない

そのようなヨツボシトンボがいるものか、他の個体の写真もあれこれ確認してみることに。『広島大学デジタルミュージアム』が提供している「ヨツボシトンボ(広島大学東広島キャンパス)」というページには、似たような角度で撮影された写真があった。

同じような角度から撮影された別のヨツボシトンボの写真を確認(画像は『J-Stage』のスクリーンショットに加筆)
同じような角度から撮影された別のヨツボシトンボの写真を確認(画像は『広島大学デジタルミュージアム』のスクリーンショットに加筆)

 

また、『動植物から見える世界』というウェブサイトにある、「現代風でもスマートでもないヨツボシトンボ」というページで紹介されている写真では、腹の先端付近の様子がよくわかった。

腹の先端がはっきりとわかる、別のヨツボシトンボの写真を確認(画像は『●●●』のスクリーンショットに加筆)
腹の先端がはっきりとわかる、別のヨツボシトンボの写真を確認(画像は『動植物から見える世界』のスクリーンショットに加筆)

 

悠仁さまの論文に掲載されているヨツボシトンボのような「丸い穴」は、一体何なのか…。



◆写真No.66のアキアカネの腹にも同じような丸い穴

2月の中旬には、『トンボ論文写真No.66アキアカネのヤゴは全くの別物 腹の先端の穴は内臓を取り出した跡か』という記事が大きな反響を得ていた。

そのときに紹介していたが、『吉丁虫色の日々』というウェブサイトでは、トンボの標本を作る手順を教えてくれている。腐敗を避けるため、腹の先端部分に穴を開け、そこから内臓を引き抜きすというのだ。

トンボを標本にするとき、腹の先端から内臓を引き出すという(画像は『吉丁虫色の日々』のスクリーンショット)
標本にする際は腹の先端から内臓を引き出す(画像は『吉丁虫色の日々』のスクリーンショット)

 

No.66およびNo.85に発見された穴は、こういうことだったのではないだろうか。

 

ちなみに、写真No.66のアキアカネの腹に穴を発見されたのは、No.19オツネントンボの写真の周囲に昆虫針(虫ピン)やらワイヤートリックやら、芝地にたくさんの異物を発見された神奈川県在住のHさんであった。不正論文を暴く世界最強のエキスパート、エリザベス・ビクさんの目に留まったのも、まさにその件である。

 

◆よくもまあ、しゃーしゃーと…

そのヨツボシトンボについて、トンボ論文の本文にはこうある。

38. ヨツボシトンボ Libellula quadrimaculata asahinai Schmidt, 1957(東京都区部:絶滅危 惧II類)(図85)前回調査では未記録.2015年6月14日に初めて1 ♂を菖蒲池のカキツバタ群落で確認した.その 後,2018年にも菖蒲池のカキツバタ群落で1 ♂を 確認した.2022年には,5月23日と6月27日にそ れぞれ1 ♂を菖蒲池で確認できた.

 

そして、最後の「考察」の “今回の調査で新たに発見された種とその要因/3. 赤坂御用地内で長期的に定着しているとは断定できないもの” にはこうある。

オツネントンボやオオイトトンボ,ヨツボシトンボは調査期間を通じて確認されている個体数が非常に少ないため,外部からの飛来もしくは一時的な定着の可能性がある. (略) これら3種については東京都区部のレッドデータブック(東京都環境局,2023)に掲載されており,特に継続的に個体群動態を注目すべき種である.

 

ヨツボシトンボの腹に穴が開いていることを知ってしまった今、考えられることは2つだ。

●希少なトンボであるにもかかわらず、殺してまずは標本に。それを細い枝に載せて撮影した。

●発見できなかったのに、「見たことに」とするため標本を使用した。



 

◆まとめ:筆者もちょっと気になる点を発見

この写真No.85をじっと見ていて、筆者もちょっと気になることを発見した。この枝には異なる2色の影ができているのだ。

枝に出来た「影の色」が違う(画像は『J-Stage』のスクリーンショットに加筆)
影の「色」にご注目を(画像は『J-Stage』のスクリーンショットに加筆)

 

枝にできている自然な影(右の矢印)に比べ、トンボの直下にできた影は、妙に青黒い。透き通ったものならまだしも、個体が落とした影なのに、このような色の違いは現れるものだろうか。

(朝比奈ゆかり/エトセトラ)



画像および参考:
『J-Stage』赤坂御用地のトンボ相 ―多様な環境と人の手による維持管理―

『国立科学博物館』赤坂御用地のトンボ相 ―多様な環境と人の手による維持管理―

『広島大学デジタルミュージアム』ヨツボシトンボ(広島大学東広島キャンパス)

『動植物から見える世界』トンボの仲間 ― 現代風でもスマートでもないヨツボシトンボ

『神戸のトンボ』K093. ヨツボシトンボ Libellula quadrimaculata asahinai

『吉丁虫色の日々』トンボ類における標本の作り方と色残しの方法に関するあれこれ

『エトセトラ・ジャパン』トンボ論文写真No.66アキアカネのヤゴは全くの別物 腹の先端の穴は内臓を取り出した跡か

『エトセトラ・ジャパン』悠仁さまトンボ論文疑惑 ついに世界が恐れる「不正論文分析スペシャリスト」の下へ

『エトセトラ・ジャパン』悠仁さまのトンボ論文お次はコシアキトンボの写真74番 後ろの翅の画像を合成した疑いが