皇族&あの男の京都密会は「緊急対策会議」だった可能性も メトロポリタン美術館が過去の不正な美術品持ち込みを調査《前編》

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METがスキャンダラスな方法で持ち込まれた美術品の精査を開始(画像は『ICIJ』のスクリーンショット)
METが問題のある方法で持ち込まれた美術品の精査を開始(画像は『ICIJ』のスクリーンショット)

皇室の宝飾品、美術工芸品などを展示する皇居・三の丸尚蔵館は、建て替えのため2026年まで休業中である。そして2023年10月からは、管理が宮内庁ではなく国立博物館などを運営する「国立文化財機構」へと移り、同機構を所管する文化庁が収蔵品の管理を行う体制になるそうだ。

そんな中、イギリス人のデヴィッド・アトキンソン氏(以下A氏)と秋篠宮ご夫妻が「京都で極秘に会っていたようだ」と、YouTuberのあきらっちスカット皇室さんや、アジアで生きよう!!のけいちゃんさんなどが伝えた。A氏は実は筆者にとっても、クレームにより5本ほど記事を削除するに至った、きわめて苦々しい思い出がある人物だ。



A氏は元ゴールドマン・サックスの証券アナリストで、菅政権下では流暢な日本語で成長戦略会議のブレーンとして活動。経済政策ばかりか、寺社仏閣や古美術の修復を手掛ける小西美術工藝社の社長として、観光立国政策についてもあれこれ提言し、皇室の古美術品の今後について議論する有識者会議のメンバーでもあった

秋篠宮ご夫妻と京都で…とあっては黙ってはいられないと感じていたなか、METに関する大変興味深い情報を下さる方があった。詳しくは後編で触れることにし、前編は弊ブログの過去の記事から、皇室の美術品や三の丸尚蔵館の今後、上皇后さまとMET所蔵品の関係についての考察などをまとめてみることにした。

 

◆世界の美術館が欲しがる日本の皇室のお宝

『宮内庁』のホームページによれば、三の丸尚蔵館には皇室に代々受け継がれた絵画・書・工芸品などの美術品類に、故秩父宮妃のご遺贈品、香淳皇后のご遺品、故高松宮妃のご遺贈品、三笠宮家のご寄贈品が加わり、9,700点近い美術品類が収蔵されていたもよう。

英語力も不明で、博士号を取得していない眞子さんのMET就職が叶うなら、そのような三の丸尚蔵館の所蔵品が謝礼としてトレードに出され、貸出しどころかギフトとして納められるのでは…と想像する人は実に多い。

 

◆文化財の指定がなされぬままの御物が2,500点も

週刊ポストは2018年、『皇室の財産 皇居の土地は23兆円、国宝級の美術品も多数』という記事で、昭和天皇が約4,600件の宝飾品や美術品を所有していたと報じた。崩御の後、国庫に寄贈という形で三の丸尚蔵館へ持ち込まれたのが、そのうちの約3,200件。残りは上皇陛下(平成天皇)が相続したという。

狩野永徳、葛飾北斎、円山応挙、伊藤若冲などの絵画、「蒙古襲来絵詞」などの絵巻物、聖徳太子画像や現存最古の万葉集写本など、値のつけようもない美術品が数多くあるというから驚くばかりだ。

一方で、三の丸尚蔵館が所蔵するすべての美術品のうち、4分の1近くの2,500点ほどについては、超国宝・国宝・重要文化財級でありながら「窃盗被害にあう心配はない」として、その指定がなされぬままであることがわかったという。

「文化財保護法に従って、重要なものをすみやかに指定・登録する作業を行い、輸出に制限を設けるなどすればよかったのに、いったい何をしていたんだ」などと怒りをあらわにする人も少なくない。

 

◆菅政権下で有識者会議は何を決めたのか

2017年から「皇室の美術工芸品を地方や海外の美術館や博物館に貸し出し、観光資源として活用すれば」と政権の中枢に提言していたA氏。奇しくも2017年は小室夫妻が結婚の意思を公表した年だ。

これを受け、まずは『蒙古襲来絵詞』、『唐獅子図屏風』、伊藤若冲の『動植綵絵』ほか5点が「国宝」に格下げされた。国宝や重要文化財に位置づけられると、国際交流や相互理解を深めるためとして海外への貸し出しが可能になり、今後も皇室の所蔵品数百点以上が国宝と化す見込みだ。

三の丸尚蔵館収蔵品の保存・公開のあり方に関して話し合う有識者たち(画像は『宮内庁』PDFのスクリーンショット)
三の丸尚蔵館収蔵品の保存・公開のあり方に関して話し合ってきた有識者たち(画像は『宮内庁』PDFのスクリーンショット)

だが、長時間の移動や頻回な接触は、繊細な紙や絹に描かれている書画を痛めることから、専門家は総じて反対あるいは警告している。

 

◆美術工芸品が「多過ぎて」学芸員が不足している?

博物館に関し今年の春にスピーディーな法改正が。議案要旨で特に注目されるのは「二」と「七」だ(画像は『参議院』のスクリーンショット)
博物館法に関し妙にスピーディーな一部改正があった。議案要旨で特に注目されるのは「二」と「七」で、今年4月1日から施行(画像は『参議院』のスクリーンショット)

そして昨年には、博物館法の一部改正もあった。上は文教科学委員会がまとめていた議案要旨だが、特に気になるのは「七」だ。

七、学芸員補の資格要件を、短期大学士等の学位を有する者で博物館に関する所定の科目の単位を修得したもの等とするとともに、文部科学大臣及び都道府県の教育委員会による研修の対象に、学芸員及び学芸員補以外の者を含めることとする

 

その前から有識者会議では、「三の丸尚蔵館にあふれる収蔵品の保存や適切な公開のためにも、学芸機能体制の整備が課題だ」という意見が出ており、この議案が彼らの提言を受けたものであることは疑いようもなかった。

こうして学芸員の資格要件のハードルは下がり、学芸員以外にも博物館の事業に従事する人材が養成されれば、彼らも電磁的記録(目録のデジタル化)を作成するなど、学芸員とほぼ同等の作業に当たれるようになった。

古美術商や鑑定家として活動してきたような人たちはともかく、古美術品の修繕業者などが「準」学芸員として目録づくりに関われるようになるとしたら、修繕目的で持ち出そうが、Aランクの美術品をCランクとしてデータ登録しようが、誰も気づかないのでは…?



 

◆Cランクと評価しAランクの美術品を持ち出す?

こちらは、宮内庁が発表していた「三の丸尚蔵館の今後の保存・公開の在り方に関する提言」から。三の丸尚蔵館の収蔵品9,682点についての精査はすでに済んでいるそうだ。

昭和天皇由来の「超国宝級」を、まさかの「C」ランクに入れるということは絶対にしていない…?(画像は『宮内庁』PDFのスクリーンショット)
昭和天皇由来の「超国宝級」を、まさかの「C」ランクに入れるということは絶対にしていない…?(画像は『宮内庁』PDFのスクリーンショット)

ここで気になるのは最低のランクとなる「C」。そう評価された美術品を「処分が妥当ですから」と言って持ち出し、METに寄贈したところで誰からも文句は出ないだろう。だが、もしもそれが実はAランクだったとしたら…?

昨年6月、『建て替えの引っ越しに入る皇室・三の丸尚蔵館 所蔵品の紛失を防ぐため公正な第三者機関の介入を』と訴える記事を執筆していたが、皇室のお宝を守るには第三者機関の介入が必要ではないだろうか。

 

◆日本の古美術コレクターとして有名なメアリー・バーク女史と上皇后の関係

1963年に来日して以来、40年にもわたり夫のジャクソン・バーク氏(1975年没)とともに、日本の高価な古美術品を大量に収集していた、故・メアリー・グリッグス・バーク女史(2012年没)。海外における日本美術のコレクターとして、数と質で彼女の右に出る者はいないそうだ。

しかも、225点以上の絵画を含む300点超の日本の美術品を、なんとMETに集中して寄贈。METにしてみれば彼女は大変な恩人であり、なかでも16世紀から19世紀までの30セットもの屏風作品は、アジアン美術のギャラリーのなかでも圧巻の存在。そんなバーク・コレクションの管理は、あのジョン・カーペンター氏だそうだ。

そもそもMETやコレクター界隈と親交を深めていたのは、平成天皇・皇后両陛下だ。ご夫妻は1994年6月に北米を訪問した際、ビル・クリントン大統領夫妻がホワイトハウスで主催した晩餐会に国賓として招かれたが、そこにはニューヨークから両陛下に会いにやってきたメアリー・バーク女史の姿があった。

バーク女史は、自身の公式ウェブサイト『THE MARY GRIGGS BURKE COLLECTION』で、美智子さまとの再会を喜ぶ様子を写真付きで紹介している。

メトロポリタン美術館に日本の美術品を大量寄贈したメアリー・バーク氏との再会を喜ぶ美智子さま(画像は『THE BURKE COLLECTION』のスクリーンショット)
メトロポリタン美術館に日本の美術品を大量寄贈したメアリー・バーク氏との再会を喜ぶ美智子さま(画像は『THE BURKE COLLECTION』のスクリーンショット)

その3日後、平成天皇ご夫妻はMETで開催された晩餐会にも招かれた。クオモNY州知事、ジュリアーニNY市長はともかく、銀行家のデヴィッド・ロックフェラー氏、当時は不動産王と呼ばれていたドナルド・トランプ氏の姿もあったという。

1975年と2000年の2回、METはバーク女史による日本美術コレクションの特別展示会を開催し、1985年には日本政府がなぜかMETに1万ドルを寄付。同じ年に東京国立博物館は「逆輸入」の形でバーク・コレクションの展示会を開き、バーク女史は1987年に外国人叙勲(瑞二)を授与していた。

上の写真には、M子さんをMETに就職させるためなら(お礼に?)皇室美術品を…という流れについて、上皇ご夫妻も大きく関わっておられたのでは…とどうしても邪推したくなる1枚だ。

◆まとめ

バーク・コレクションという名でMETに大量に寄贈された古美術品のなかに、昭和天皇から上皇さまが相続して所有していた御物、宝飾品や美術品が含まれていたということはないだろうか。

日本は、国宝・重要文化財指定物件および重要美術品等認定物件について、文化財保護法および関係法令により、長いこと海外への輸出(持ち出し)を禁止してきた

また相続や寄贈、売買などで国宝・重要文化財を取得した場合,新しい所有者は20日以内に所有者変更に関する届け出をする義務があるというが、昭和天皇からかなりの御物や美術工芸品を相続された上皇ご夫妻は、きちんと手続きをなさったのだろうか。

皇室に眠っていたものが誰かにこっそりと譲渡され、いつのまにか所有者は海外の美術館や博物館になっていた…。そんな事実が確認されるなら、文化庁が定めた「原則」を何らかの力で捻じ曲げる人がいたということになるのかもしれない。《後編へつづく》

(朝比奈ゆかり/エトセトラ)



参考および画像:
『ICIJ』 More than 1000 artifacts in Metropolitan Museum of Art catalog linked to alleged looting and trafficking figures

『ICIJ』In response to scandals and stolen art seizures, the Met plans to scour its own collections for looted artifacts

『参議院』博物館法の一部を改正する法律案(令和4年4月15日)

『週刊ポスト』皇室の財産 皇居の土地は23兆円、国宝級の美術品も多数

『宮内庁』宮内庁三の丸尚蔵館の今後の保存・公開の在り方に関する提言

『宮内庁』宮内庁三の丸尚蔵館収蔵品の保存・公開の在り方に関する有識者懇談会 有識者

『エトセトラ・ジャパン』建て替えの引っ越しに入る皇室・三の丸尚蔵館 所蔵品の紛失を防ぐため公正な第三者機関の介入を

『エトセトラ・ジャパン』METに日本美術品を大量寄贈したコレクター 上皇后とは「長年の知り合いだった」とツルの保護団体会長

『エトセトラ・ジャパン』皇室美術品のMET貸出しの件、上皇ご夫妻も何かをご存じと考えざるを得ない1枚の写真

『エトセトラ・ジャパン』三の丸尚蔵館は名称を変更し学芸員の解釈拡大へ 眞子さんMET就職報道と並行し一部改正された博物館法

『エトセトラ・ジャパン』MET就職を望む眞子さん、学芸員フェローシップですら学歴不足と判明 ICU大学院入学から6年経過の誤算

『文化庁』文化財の海外流出を防ぐ

『文化庁』国宝・重要文化財(美術工芸品)の管理および届出等について