皇族&あの男の京都密会は「緊急対策会議」だった可能性も メトロポリタン美術館が過去の不正な美術品持ち込みを調査《後編》

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MET所蔵の古美術工芸品1000点以上に、盗品または、輸出制限を無視した不正な譲渡や売買により持ち込まれた疑いがあるという(画像は『ICIJ』のスクリーンショット)
MET所蔵の古美術工芸品1000点以上に、盗品または、輸出制限を無視した不正な譲渡や売買により持ち込まれた疑いがあるという(画像は『ICIJ』のスクリーンショット)

 

チャールズ国王の戴冠式に出席して間もなくイギリスから戻り、園遊会もあってお疲れであろうに、京都へと向かった秋篠宮ご夫妻。菅政権下で皇室の古美術工芸品を海外に持ち出す道筋をつくった、金融業界のプロでもあるアノ英国人とこっそり会っていたとなれば、目的は海外への財産の移動か、それとも小室眞子さんのメトロポリタン美術館就職か…などとあれこれ思案していたなか、思わぬ情報を下さる方があった。この春からMETは所蔵品に関する不正調査を始めたというのだ。

《前編》はこちらから。



METは今月9日、公式ホームページに『Reflections on The Met Collection and Cultural Property』という記事を掲載し、「所蔵する古美術工芸品から、スキャンダラスな話題を徹底的に排除したい」と宣言した。

 

◆清廉潔白な美術館を目指したいとするMET

設立以来、150 年以上にわたり主に「寄贈」か「購入」という形で世界中から美術工芸品を入手し、美術館見学ばかりか、研究や教育の機会も多々提供してきたMET。古くは5,000年以上前の作品もあり、マンハッタンの有名観光スポットとしても大きく貢献してきた。

しかし1970年代から1990年代まで、METは「急成長のため、集まってくる古美術工芸品の入手経路の精査が追い付かず、ずさんでした」と説明。これから相当な時間をかけ、所蔵品計150万点ほどの目録を調査するそうだ。

窃盗や略奪、文化遺産の輸出制限などの法規に反した譲渡や売買を経て、METに持ち込まれた疑いがある古美術工芸品についてをあぶり出し、あるいはそういった情報が入り次第、18人の学芸員、古美術修復家、運営委員からなるチームが調査を行っていくという。

 

◆この件を水面下で調査するある組織

この件を少し前から調査していたのは、実はアメリカの『ICIJ』というジャーナリスト集団だった。「More than 1000 artifacts in Metropolitan Museum of Art catalog linked to alleged looting and trafficking figures(MET所蔵品の目録にある1,000点以上の美術工芸品に略奪や不正売買の疑い)」という記事がMET界隈をざわつかせ、続報として「In response to scandals and stolen art seizures, the Met plans to scour its own collections for looted artifacts(スキャンダラスな美術品盗難の報道を受け、メトロポリタン美術館が所蔵品の精査を計画)」も公開されている

ICIJは問題がある古美術工芸品について、ネパールを中心としたアジアや中東から盗品が持ち込まれることが多く、その最たるものが、インド・パキスタン間の係争地域で寺院から略奪されたであろう「カシミール・コレクション」だと説明。11 世紀の彫刻とみられるヒンズー教の守護神ヴィシュヌの像をはじめ、確認された事例を次々と紹介している。

 

◆ICIJについて

1997年に設立され、米ワシントンD.C.に拠点を置く正義のジャーナリスト集団『ICIJ(The International Consortium of Investigative Journalists)』。彼らは国際的に暗躍する犯罪や汚職、不正行為、詐欺、権力乱用などを監視、調査しては暴き、その優れたジャーナリズムに対して、これまで数十件の輝かしい賞が贈られてきた。

内部告発やタレコミを受け付けるほか、世界中から140 以上の新聞、テレビ、ラジオ局、インターネットメディアが情報提供に協力しており、それを集め、鋭い視点で事実を検証していく。提供したい情報がある人は、こちらのメールアドレスに連絡することになるという。

investigations@icij.org



◆日本でも国宝や重要文化財が盗難被害に

2018年8月、『朝日新聞DIGITAL』は「国宝や国の重要文化財、都道府県の文化財に指定された美術工芸品の盗難被害届けが115件にものぼり、うち半数超がすでに行方がわからくなっている」と報じた。

国立文化財機構の『東京文化財研究所』では、天草四郎時貞の「陣中旗」(重文)が1964年頃から行方不明になり、いまだ見つかっていない。その一方で、京都の教王護国寺については、お金ほしさに国宝・重文を含む50件の寺宝を多方面に売却していたことがわかったという。

所蔵品の目録も収蔵庫の台帳もアナログで、セキュリティーシステムも万全ではない状況においては、盗まれたこと自体に気づかないこともしばしばだそうだ。

 

◆まとめ

前編でも触れていた昭和天皇が遺された御物や古美術工芸品について、平成天皇が個人的に相続した千数百点はおそらく目が飛び出すほどの価値があり、残りのランクがやや下がるものが三の丸尚蔵館に寄贈された、と筆者は推察している。

また、眞子さんは結婚時の記者会見で「移住したい」ではなく、奇妙にも「拠点をつくりたい」とおっしゃっていた。上皇ご夫妻が、もしも昭和天皇由来の宝を今上陛下ではなく秋篠宮家に継がせたいと考えた場合、孫の眞子さんが美術・工芸の世界に関わり、知り合いの多いMETに就職するなら、そうした移動の作業はごくスムーズなものになるだろう。

ただしMETは、スキャンダラスな報道やクレームが起きない清廉潔白な美術館を目指すと宣言した。また、並行してICIJというツワモノ軍団が水面下でリサーチを続けている。そうなると頼みの綱は、佳子さまがイギリスに作るのではと噂の「新たな拠点」ということか。そちらも目が離せない状況といえそうだ。

ちなみに、「眞子さんとMETを結んだのは、アジアン美術部門のキュレーターであるジョン・カーペンター氏ではないのか。英国人であるA氏とカーペンター氏の関係がよくわからない」という声は多い。そのあたりについて、過去に日本のある人物に焦点を当てながら1本の記事を書いていたので、次回、内容を見直してから再び公開してみたいと思う。

(朝比奈ゆかり/エトセトラ)



参考および画像:
『ICIJ』 More than 1000 artifacts in Metropolitan Museum of Art catalog linked to alleged looting and trafficking figures

『ICIJ』In response to scandals and stolen art seizures, the Met plans to scour its own collections for looted artifacts

『THE MET』Reflections on The Met Collection and Cultural Property

『文化庁』文化財の海外流出を防ぐために

『エトセトラ・ジャパン』皇族&あの男の京都密会は「緊急対策会議」だった可能性も メトロポリタン美術館が過去の不正な美術品持ち込みを調査《前編》