悠仁さまトンボ論文このタイミングで大注目の記事2本 あのSTAP細胞事件からちょうど10年、日本の科学界は不正をもはや許さない

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日本経済新聞の読者層を考えると、この大型の記事が果たす役割は非常に大きい
日本経済新聞の読者層を考えると、この大型の記事が果たす役割は非常に大きい

 

このたび、日本経済新聞の愛読者だというCさんとおっしゃる方から、こんなメールを頂戴した。

「昨日の日経朝刊に、今話題の不正論文のことや、東大が国内初めて欧米中心の研究評価に関する宣言に署名したという内容の、興味深い記事が掲載されていましたので、お送りします。」

なんと有難いことだろう! 有料版配信からすでに時間が経っていることもあり、読者の皆さまにシェアさせていただくことにした。




あの「STAP細胞」不正論文事件から、ちょうど10年が経過したところだという。日本の研究者たちは、このタイミングで一層気持ちを引き締め、正しい論文を発表することを強く意識していただきたいものである。

 

文部科学省は2014年、研究不正対策に関する新たなガイドラインをまとめた。盗用、捏造、改ざんといった不正行為があった研究者には「研究費の応募資格の停止など」の罰則を科すという。

また、著者としてふさわしくない人を著者に加えたりする「不適切なオーサーシップ」なども調べる動きが始まっているそうだ。

 

論文は数を発表すればよいというものではない。それなのに現実は…。そこで欧米では「論文は数より質を重視するように」という動きが始まり、2012年には学術誌の編集者らが「研究評価に関するサンフランシスコ宣言」をまとめた。

そして昨年12月、なんと東京大学が日本の大学として初めてそのサンフランシスコ宣言に署名を行ったそうだ。不正論文は断固お断り、そういうものを発表した研究者の在籍もお断り。それくらい厳しいものになるだろう。

調査には何年かかかる場合もあるだろうが、「怪しい」という声があがった論文については、徹底的に調査をお願いしたいものである。

 

◆ネットニュースでもやはり話題に

新聞の紙面だけではない。少し前からインターネット・ニュースでもこの話題が大きく取り上げられていた。

Yahoo!ニュースは1月29日に、病理専門医&科学・医療ジャーナリストの榎木英介氏による『STAP細胞事件10年〜日本の科学界は変わったか』という記事を掲載し、2月11日には日本経済新聞・電子版が『STAP細胞」不正から10年 研究評価、数より質を』という記事を掲載している。

このタイミングで日本経済新聞から大変興味深い記事が。紙面でも電子版でも(画像は『日本経済新聞』のスクリーンショット)
このタイミングで日本経済新聞から大変興味深い記事が。紙面でも電子版でも(画像は『日本経済新聞』のスクリーンショット)

後者は有料版であってもタイトルや文章を少し読める。X(Twitter)ではそれらの記事を引用し、「トンボ論文の不正疑惑が騒がしくなっているこのタイミングで、厳しい記事が出るのはいいことだ」といった声が多く上がっていた。

ただ、両記事とも悠仁さまのトンボ論文騒動に敢えてかぶせたわけではない。万能細胞を作る方法を見つけたとする、あの「STAP細胞」論文2報が『Nature』誌に掲載されたのが、今から10年前の1月29日だからだ。



◆1人の不正は周囲に多大な迷惑をかける

前者の記事を執筆された榎木英介氏は、「早稲田大学の博士論文調査~日本の科学界が失った信用」「早稲田大学の博士論文調査にみるネグレクトの痕跡」といった記事も書かれている。小保方氏が所属していた理化学研究所(理研)ばかりか、出身の早稲田大学、日本の科学界全体にダメージを及ぼしたことが強調されていた。

日本はただでさえ「不正が発覚しては論文が撤回となる」ことが頻繁に起きてしまった、世界におけるワースト国なのである。

こんなことでは、「日本の研究者は不正論文を発表しがち」などと警戒されてしまっているのでは…?(画像は『白楽の研究者倫理』のスクリーンショット)
こんなことでは、「日本の研究者は不正論文を発表しがち」などと警戒されてしまっているのでは…?(画像は『白楽の研究者倫理』のスクリーンショット)

 

 

論文に不正が起きないようにするには、まずは研究者自身が正しい心掛けで調査や研究に臨み、データを正確に示すこと。そして他者も安易に共著者として名を貸さないこと、そして共著者となった以上はズルに気づいたら、見て見ぬフリをしないことが重要になるようだ。



 

◆海外の研究者たちはSTAP騒動を忘れていない

ちなみに榎氏はその記事の中で、米国サイエンス誌のニュースサイト『News from Science』が2024年1月23日、日本人の研究不正について厳しく批判する記事を掲載したことを、彼らのX(Twitter)のポストを引用して紹介しておられる。

Xには57万を超えるフォロワーがおり、そのポストは2万6,000回ほど表示されたもよう。さっそく日本の旬の話題であるトンボ論文の情報が寄せられ、それに多数の「いいね」が付いているようだ。

筆頭著者は天皇陛下の甥で、将来はご自身が天皇にならんとしておられる17歳の若手研究者 ― こんなセンセーショナルな話題は、世界を見渡してもそうあるものではない。なんと恥ずかしい展開であろう。

(朝比奈ゆかり/エトセトラ)

画像および参考:
『日本経済新聞』「STAP細胞」不正から10年 研究評価、数より質を ― サイエンス Next Views

『Yahoo!ニュース』STAP細胞事件10年〜日本の科学界は変わったか 1/29(月)

『X(Twitter)』
News from Science(@NewsfromScience)

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