海外王族の困った事情あれこれ『継ぐ気マンマンも法改正』『みだらな行為で失脚』『隠し子の認知』 日本は大丈夫?
Netflixの配信によるドキュメンタリー番組の『ハリー&メーガン』。ロイヤルという超特別な星の下に生まれたものの、その座を返上することで精神的に得たものは何なのか興味があったが、評価が低いため食指があまり動かず、最近やっと見終わったところだ。
世界にはさまざまな理由で称号を返上し、それ以降「殿下」や「妃殿下」と呼ばれなくなったロイヤルが大勢いる。今回は『PEOPLE』や『STYLE』の記事を元に、称号の剥奪、予想しなかった法改正、そして自由や愛を選んだ例などを紐解いてみた。
■婚約者が皇室利用で称号返上 (ノルウェー)
ノルウェーのマッタ・ルイーセ王女は2022年6月、「ヒーラーのシャーマン」と名乗り、スピリチュアルな代替医療ビジネスを展開する米国籍の黒人男性と婚約した。彼について国民から「ビジネスに王室を利用している」との声が上がり、国王のソニア王妃も記者会見の場で「娘の夫はなんら相談もなくビジネスを行っている」と批判。マッタ王女はそれ以降、王室からのサポートを辞退し、公務からも退くことを宣言した。
■未成年少女へのみだらな行為で失脚(イギリス)
2019年、未成年少女の性的人身売買容疑で逮捕され、勾留中に自殺したアメリカの投資家で性犯罪者のジェフリー・エプスタイン。多数のセレブと親交があるなか、イギリスのアンドルー王子(故・エリザベス女王の次男)は2001年、エプスタインの別荘で17歳の少女にみだらな行為を働き、起訴されていた。
被害者女性に多額の慰謝料を支払うことで2021年には事件について和解が成立したが、アンドリュー王子は英国軍の名誉職を含むすべての役職から退き、「殿下(His Royal Highness)」の称号も2度と使えなくなった。
母であるエリザベス女王に「自分の不始末で王室を批判にさらすわけにはいかない。適切な処罰を」と自ら申し出たという、なかなか潔いアンドリュー王子。そして、トカゲの尻尾切りにしてはならないと、次男から称号や名誉職をきっちりとはく奪したエリザベス女王は国民から高い評価を受けた。
■継ぐ気マンマンだったのに法改正が(スウェーデン)
世襲のつもりが王室の法改正でその権利をほぼ失ってしまったのが、カール・フィリップ王子。1980年1月、王位継承法がそれまでの「男子優先」から「長子優先」へと変更され、王位継承順位の1位は長子である長女のヴィクトリア王女へと移ったのだ。第2子である長男のカール・フィリップ王子は、現在の順位だと第4位。ヴィクトリア王女の長子であるエステル王女、弟のオスカル王子よりも下になるという。
■隠し子を認知(モナコ)
53歳でシャルレーヌ妃と結婚するまで、多くの女性と交際してきたといわれているモナコのアルベール大公。双子のジャック公子とガブリエラ公女がいるが、1992年に米カリフォルニア州で不動産業を営むタマラ・ロトロさんという女性から「子供を認知して」と迫られた。大公とタマラさんは、仏コート・ダジュールのレストランで出会い、短期間デートしていたのだった。
DNA鑑定を受けて認知された娘のジャズミンさんには、モナコ公国の王家のグリマルディ姓を名乗ることが許され、2015年にはモデルとしてデビュー。女優としても活動し始め、こちらのインスタグラムの写真でもわかる通り、父親のアルベール大公も絶賛応援中だという。
■王室のスリム化で孫たちの称号を剥奪(デンマーク)
昨年の秋、女王の在位50周年式典を終えたばかりのタイミングで、デンマークの女王マルグレーテ2世は「孫4人から王子、王女の称号を剥奪する」と発表し、大きな波紋を広げた。
具体的には20代前半のニコライ王子とフェリックス王子、そして10代前半のヘンリック王子とアテナ王女のことで、その4人の父親で女王の次男であるヨアキム王子が激怒したことから、女王は謝罪こそしたが、決定を覆すことはしなかった。
当の孫たちはその立場が好きだったのか「悲しい」「ショックだ」とコメント。女王の8人の孫のうち、将来国王となるフレデリック皇太子の4人の王子、王女の称号はそのままということもあり、親族間に亀裂が入ったとも報じられた。
女王は「王室の義務や称号ゆえの重責に煩わされることなく、孫たちが一般人と同様の生活を楽しめるように」という理由を添えていたが、欧州各国で今、国家予算の面からも王室のスリム化は大きな課題となっている。女王の決定を国民の5割が支持し、反対は2割だったという。
■報道の偏りか同情されるプリンセス・マコ(日本)
ちなみに『PEOPLE』は、秋篠宮家の長女・眞子さんについて昨年こう報じていた。
「長年交際してきた一般人のコムロ・ケイ氏と結婚したプリンセス・マコは、皇族としての称号その他をすべて放棄したうえ、1億4,000万円ともいわれる結婚一時金をも辞退した。」
「4年前に結婚の意思を固めた二人だが、世間は猛反対し、父親の承認を得られないままコムロ氏はアメリカのフォーダム大に留学。結婚式は延期となり、メディアをはじめとする絶え間ないバッシングにさらされたマコは複雑性PSTD を発症してしまった。」
これだけでもお分かりいただけるように、英語圏の人々の受け止め方は「マコは哀れなプリンセス。地位やお金を捨ててでもコムロ氏への一途な愛を貫いた」である。何か大切な部分を誤解しておられるように思うが、日本の新聞社やテレビ局はあてにならない。文春、新潮などの週刊誌が、サイトに英語バージョンも設ければよいのにと筆者は常に思っている。
■まとめ
個人的に親しかったジャーナリストの江森敬治氏に、思わず「こういう生活を、あなたやってごらんなさいと言われたら、10人中10人が窮屈だと思うでしょう。私も同じ人間ですから…」と本音を漏らされたという秋篠宮さま。
「皇族である前に一人の人間である」「人間・秋篠宮の実像がいま明らかになる」などと紹介されたあの江森氏の著書『秋篠宮』は、やはりショッキングな部分を含んでいた。「目に元気さがない」「表情が乏しく暗い」などと噂される近年の秋篠宮さまに、皇位継承の意欲がないのでは…と語る専門家もいる。
もしも秋篠宮さまが「皇太子にも天皇にもなりたくない」とおっしゃるなら、おそらく誰も引き留めないだろう。立太子の礼を経て将来の天皇即位が確定した「皇太子」と、皇位継承順1位という状況を意味する「皇嗣」は違う。皇太子になられたら、それこそとんでもない重責が待ち構えているようにも思う。
(朝比奈ゆかり/エトセトラ)
参考および画像:
・『PEOPLE』Royal Family Members Who Stepped Down, Forfeited Titles or Abdicated Altogether
・『SCMP/STYLE』14 royals who lost or declined their titles: Prince Andrew, Meghan Markle and Prince Harry aren’t the only ones stripped of their status
・『PEOPLE』Prince Andrew Makes Shocking Move to Quit Royal Duties After Explosive Jeffrey Epstein Interview
・『時事通信』デンマーク王室に亀裂、称号剥奪めぐり表面化
・『ELLE』グレース公妃の孫! アルベール大公の隠し子ジャズミン・グリマルディが女優デビュー