これでイネ論文が書けるのか トンボ論文表1の「◯」「◎」90箇所以上が解説と符合せずと元学芸員さん

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秋篠宮家の長男・悠仁さまによる論文『赤坂御用地のトンボ相 ―多様な環境と人の手による維持管理―』について、長年にわたり博物館の元学芸員であったお立場から、「とにかく杜撰、粗雑です」と指摘してこられたKさん。

論文中の「表1」の内容と本文の説明とを照らし合わせたところ、整合性がとれていない点が多いことに気づき、表1に加筆したものをPDFにして送ってくださった。Kさんからの『トンボ論文中の「表1」に関して』というメールの内容を、ほぼ原文のままお伝えしてみたいと思う。



1.「今回調査(年度ごと)」という記述について  

表1は、左端に「今回調査」という纏めの欄があり、その右側に「前回調査」が。さらに「今回調査(年度 ごと)」と内訳を示す欄がある。その「今回調査(年度ごと)」という記述に、まずは違和感 を覚えた。

表1はツッコミどころが満載だという(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)
表1はツッコミどころが満載だという(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)

 

我が国では、一般的に「暦年」と「年度」とは分けて使用されている。「暦年」とは1月から 12月まで、「年度」とは一般的に4月から翌年3月までをいう。「年度」という言葉は役所、役人にとっては骨の髄まで浸み通った言葉でもある。

純然たる調査研究において、予算がらみの事務処理以外「年度ごと」にまとめる意義や必要性 はほぼない。それを敢えて「年度ごと」と記してあることから、表1を作成するにあたり、この 言葉を使い慣れている役人が関与している可能性が透けて見えてくる。

一方、本文の中に「年度」及び「年度ごと」という言葉はどこにも存在し ない。「表1」にのみ「年度ごと」と( )を付けてまで記す必要性とは何だろう。

 

2. 「◯」「◎」の表記法について  

「表1」の最下部欄外に次の注釈がある。

〇 : 成虫が確認された種,◎ : 幼虫または羽化殻を確認した種

これを以て「表1」を見てゆくと、不都合が生ずる。 同じ年に「成虫」と「幼虫または羽化殻」を確認した場合の表記法が定められてないのである。双方を確認したときは「◎」の みを記すことになっている ― これでは注釈に反するばかりか、表として成立しない。

そういう次第だから、調査のまとめである左端の「今回調査」欄においては、「成虫」を確認 した種の識別は不可能で、その数をカウントすることもままならない。このような不備な「表1」を付す価値はどこにあるのだろうか。

 

3. 表1の「◯」「◎」の表記は論文の記述に符合するか

「表1」に表記された「◯」「◎」と論文中の記述について照らし合わせてみると、符合しない箇所がザッと見て90 以上も存在することが分かった。試みに符合するものだけで表1を作成してみると、スッカスカの惨憺たるものになってしまう。

 

そのあたりの実情を「シオカラトンボ」と「ショウジョウトンボ」を例に記してみる。まずは、「シオカラトンボ」から。

「シオカラトンボ」といえば、学名の誤り、図版(写真)の疑惑等々話題には事欠かない。 標記の問題を指摘する前に、論文の146ページにある記述を抜書きしておく。朱字の部分は、学名表記に誤りがあることを示す。(以下原文のまま)

36. シオカラトンボ Orthetrum sabina sabina (Drury,1770) (図81, 82)
前回調査では各地で確認されている.本調査では,表町池,杏水田,表町水田,大池,中の池,菖蒲池,黄金渓,心字池,大土橋池など広範囲で確認された.植物群落がまったくない池でも岸辺などに止まっている姿がよく見られた.菖蒲池では個体数が特に多く,交尾・産卵など生殖活動も頻繁に観察された.

 

次に、図版に付されたキャプション(同様に原文のまま)を見てみよう。

81:シオカラトンボ♂(表町池,2018/06/02)
82:シオカラトンボ交尾(菖蒲池 芝地,2022/04/23)

 

以上がシオカラトンボに関する記述の全てである。論文中、他に確認年月日の記述は見当たらない。

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これらに基づいて表1をみると、論文と符合するものは2018年と2022年だけで、厳密に言えば、2018年のみとなる。なぜなら2022年は「◎」に符合する記述が見当たらず、「◯」に訂正をして、かろうじて2022年の欄を埋めることが可能になったからである。

 

4.裏付けもなく、記号が表記されている例も

「表1」では、このように裏付けとなる記述がないにも拘らず、記号が表記されている例が多数存在する。

*以下の表中「̶」は裏付事項無記載のため抹消、「◯」は訂正追記

元学芸員のKさんが、トンボ論文の「表1」を読んで直感したこととは…
元学芸員のKさんは、トンボ論文の本文と表1を照らし合わせてみたという

 

例えば「ショウジョウトンボ」について、論文中の記述を抜書きする。朱字の部分は、学名表記に誤りがあることを示す。(以下原文のまま)

33. ショウジョウトンボ  Crocothemis servila mariannae (Dury, 1770)(図77, 78)
前回調査では表町池,大池,菖蒲池で普通に観察されている.本調査では,表町池,大池,中の池,菖蒲池,黄金渓,大土橋池で確認された.いずれの池でも水生植物がある場所でよく見られ, 産卵はアオミドロなどがある場所で観察された. 菖蒲池では個体数が多く,幼虫や羽化殻,交尾,産卵も確認できた.

 

一方、図版に付されたキャプション(同様に原文のまま)では…

77:ショウジョウトンボ♂(菖蒲池, 2018/07/01)
78:ショウジョウトンボ♀産卵(大池,2021/06/05)

 

以上が論文中におけるショウジョウトンボに関する記述の全てである。シオカラトンボ同様、他には確認年月日の記述がない。

これらを基に表1 を見てみると、論文と符合するのは2018年と2021年のみである。「菖蒲池では個体数が多く,幼虫や羽化殻,交尾,産卵も確認できた.」についても確認年月日の記述は無い。にも拘らず、2017年に「◎」を表記する根拠は何だろう。



以上、2例を挙げてみたが、確認記録の記述もないまま作成された表を見せられても、読者は「あーそうですか」としか言いようがない。

特記するまでもないが、杜撰な「表1」では論文のまとめにも多大な影響を及ぼす。つまり、研究論文として成立しなくなる恐れがある。研究論文とは、論文中に記されているデータが全てであり、それらを以て全てを言い尽くさなければならない。

既に多くの方々から疑惑が呈されているこのトンボ論文だが、科博の刊行物に掲載されたという現実には、ただただ驚くほかはない。科博の権威は何処に…。

 

5.気になるのは2022年7月のデータ

論文を基に2022年のみの調査日と種名を表にしてみると、実に興味深い事柄が導き出される。

それは2022年の7月に顕著となった。なんと1日間で絶滅危惧種を含む「3種」ものトンボを記録し、その翌日には新たに「1種」を確認している。7月以外でも1日間で2種を確認という日が複数存在するようだ。

僅か2日間で4種も確認するとは驚異的な調査力である。この件については、後ほど纏めてみたいと考えている。

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以上が元学芸員のKさんから表1に関して寄せられた考察である。



◆同様の指摘が別の方からも

先月6日、こちらで『悠仁さまトンボ論文の写真22、30、80番に超基本的なミス これでも撤回・修正しないとは…』という記事を出した。Xで相互フォローの関係にあり、貴重な情報をたびたび寄せてくださるU.K.さんの考察をご紹介したもので、やはり「2022年に集中して、何か無茶をした感じがする」というお話だった。

U.K.さんはエクセルでこんな表を作り、そのあたりをわかりやすく示してくださっていたので、改めてご紹介させていただきたいと思う。

 

まずは2017年から2021年までの間に撮影されたトンボたちから。5年間で16種類を撮影したという。

 

続いては2022年に撮影されたトンボたち。わずか1年で上の表(5年分)よりぐんと多い、22種類を撮影したことになるという。

 

「高校1年生になられた悠仁さまは2022年、以前にもまして本格的なトンボの撮影に挑み、絶滅危惧種などを次々と発見された!」「秋篠宮邸大改修・増築工事は、トンボの生育環境に何ら悪い影響を与えなかった!」などとアピールする目的でもあったのだろうか。

だが悠仁さまの肌の色はただ真っ白で、画像を見る限りイキイキとしているように見えないトンボが数匹いる。画像に奇妙な加工が施されているような写真も少なくない。

「アオモンイトトンボ、ノシメトンボ、マルタンヤンマは22年の写真だけです。どんどん珍しい種類のトンボを探し、年内に論文を仕上げよとの至上命令でも下ったのでしょう」とU.K.さんは想像しておられるという。

 

◆まとめ

悠仁さまのトンボ論文は、はっきり言って「うちの庭にこんなトンボがいたよ。いつだったか、どの池かも忘れたけどすごい珍しいトンボを次々と目撃したんだ」という子供らしい目線での報告書に過ぎない。

それを無理やりサイエンス系の学術論文に仕立てようとするから、様々な矛盾や誤記、誤認などの不具合が発生してしまったのだと感じる。図表と本文の整合性は最も基本的かつ、執筆上、最も注意するべき点であろう。本当に、これでよく査読が通ったものだと思う。

トンボ論文でこの調子では、イネの遺伝子研究といったさらに難しい内容のものなどどうなることやら。何か論文を発表したところで、「農研機構のイネの専門家・飯島 健氏におんぶに抱っこだったのでは?」と疑わずにいられるだろうか。

(朝比奈ゆかり/エトセトラ)

画像および参考:
『J-Stage』赤坂御用地のトンボ相 ―多様な環境と人の手による維持管理―

『国立科学博物館』赤坂御用地のトンボ相 ―多様な環境と人の手による維持管理―

『エトセトラ・ジャパン』悠仁さまトンボ論文の写真22、30、80番に超基本的なミス これでも撤回・修正しないとは…

『エトセトラ・ジャパン』【UPDATE】絶賛の東大理系教授も真っ青!? 悠仁さまトンボ論文に学名誤記4か所 なんと南国のトンボが赤坂御用地にいることに!