秋篠宮邸なぜ改修・増築工事に50億円も…? 一級建築士さんは「工事費の融通が新たな財布かも」と

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「秋篠宮邸」、佳子さまのための分室(旧ご仮寓所)そして「赤坂東邸」(画像は『Google Earth』のスクリーンショット)
秋篠宮邸、佳子さまのための分室(旧ご仮寓所)、そして吸収されようとしていたことがわかった赤坂東邸(画像は『Google Earth』のスクリーンショット)

 

秋篠宮邸改修・増築工事は、一体いつ完成するのだろうか。度重なる随意契約で、あっという間に総事業費は44億円を超え、今は「50億円を超えた」とも報じられてしまっている。

さらに、当初は「秋篠宮邸」から「赤坂東邸」までを覆う(渡り廊下でつなぐのではない)豪邸を築く計画であったことが、今年6月に明らかにされた。もしもこれらの建物を覆うとしたら、驚くほど巨大な「お城」になっていたことだろう。

筆者には建築関連の知識がほとんどない中、ありがたいことに、この件についての率直な感想をNさんという一級建築士さんから伺うことができた。「私の想像の範囲ですが、経験的に言えることをいくつか挙げます」として、Nさんは以下の通り回答して下さった。



◆秋篠宮夫妻による2つの要望といくつかの疑問

秋篠宮夫妻は、1972年に建てられた旧秩父宮邸を改修するにあたり、「皇嗣にふさわしい宮邸にするため」との理由から、以下の2点の要望を宮内庁に出されたといいます。

1. 現法規で不適格とされる部分を適合させると共に、お代替わりに伴い大幅増員された職員の事務スペースと公室部分の拡張と改修をする。

 

2. 吉田五十八氏により設計された美しい内装、外装を大切にしてほしい。必要最小限の予算で行ってほしい。

 

ところが、ここでいくつかの疑問が湧きました。

1. 増員されて50数名となった職員にふさわしい事務スペースの面積は? 職員といっても様々な職種が有り、皆が事務室にこもってデスクワークをしているとは思えない。

 

2. 分室(旧御仮寓所)が佳子さまの邸宅となったために、現在事務室を含む5棟の新たな建築工事が行われている。秋篠宮邸内にも事務室を増築したはずだが、本当に拡張が必要なのか。バラバラと纏まりのない印象を受けるが、きちんと計画されていたことなのだろうか。

 

3. 現在、接遇などは赤坂東邸で行われることが多いと思うが、秋篠宮邸での公室の利用頻度はどれほどなのか?

 

4.数寄屋建築近代化の巨匠である吉田五十八氏によって設計された公室部分は、現法規に合わせて壁下地など大幅な改修が行われた。木製下地に壁紙を張っていたが、耐火石膏ボードを下地にして50年前の壁紙を特注し、復元したとのこと。しかし、公開された映像では、吉田五十八の名残を感じない平凡な造りとなっている。

 

5. 秩父宮さまがお住まいになられていた頃と皇嗣家では、公務の質も量も異なり、必要な公室も50年前と同じとは考えられない。誇りを持って接客にあたるスペースとするためにも、レイアウトや内装は変更した方が良かったのではないだろうか。

 

この4.について、建築とは「物と物が当たる所」がとても重要で、特に日本建築は細やかです。

壁と床が当たる所には幅木という木や、畳寄せと呼ぶ木を入れますが、その幅木と壁は同じ面にせず、ほんの少し、5mm以下ですが幅木を前に出します。窓枠廻りも気を遣います。

現在は内装の耐火基準も変っているため、木の壁にクロスを貼っていた50年前の建物に対し、この度の改修では、耐火石膏ボードを貼って、その上に当時を再現するクロスを特注して貼ったようです。そのために壁面が3cm程度内側になり、部屋のプロポーションが変わった可能性があります。

目には見えなくても、壁の下地が木かどうか、使われている木材がムクかハリボテか、そういうものはプロなら感じ取ることができます。

下地が木だった時より部屋のコーナーの角が鈍くなり、音の反響や光の反映も変わります。 幅木や窓枠を元の寸法で取り付けても、元の厳格さは再現できません。

改修された御所や仙洞御所の映像から「違和感」を感じないのは、仕上げが木の壁だからかもしれません。

数寄屋建築の巨匠である吉田五十八氏が設計に関わった広間や応接室の改修後の映像が、 平凡な公民館のように見える理由は、耐火基準のためにやむを得なかったことですが、 古い建物を引継ぐのは簡単ではないと納得がいきました。

 

◆秋篠宮邸と旧ご仮寓所の坪単価

次に、「高すぎる」と言われる秋篠宮家の改修・増築工事について。本当に高いのかを、最初に公表された基礎資料を元に検証してみましょう。

【秋篠宮邸(旧秩父宮邸+増築)】
構造:鉄筋コンクリート造
規模:地上2階、地下1階建
延べ床面積:2.972.63㎡(約900坪)
工事費:建物26億円、庭園など4億2千万円
坪単価:289万円

 

【分室(旧御仮寓所)】
構造:鉄筋コンクリート造
規模:地上3階建
延べ床面積:1,378㎡(約417坪)
工事費:9億8千万円
坪単価:235万円

 

「坪」は、面積の単位として1966年に尺貫法により取引や証明に用いることが禁止されましたが、20㎡というより6畳という方が広さをイメージできます。

「1坪」は約90cm×180cmの畳2枚分で、「面積×0.3025=坪」 となります。また、建築費を坪面積で割った「坪単価」は、建築費の目安によく使われます。

地域や規模、構造や用途などによって建築費は一定ではありませんが、国土交通省の建築着工統計調査をもとに坪単価を求めると、鉄筋コンクリート造の新築で約104万円となっています。

一般的に鉄筋コンクリート造の新築坪単価は、内装の密度によって変わりますが、100~120万円が目安です。 古い建物なので耐震補強をしたと思われますが、 2階建てなら高額にはなりません。

秋篠宮邸の改修および増築における延べ床面積は、元の建物より2倍近い2,972.63㎡(約900坪)で、坪単価は289万円。つまり、秋篠宮邸および分室の坪単価は相場より2倍~2.5倍高いといえそうです。



◆4億7,400万円の追加工事 新たに180坪の事務棟は必要なのか

秋篠宮邸では現在、事務棟(180坪)、倉庫棟(253坪)、車庫2棟(33坪×2=66坪)、ごみ置場(2坪)の計5棟(501坪)を工事費4億7,400万円で新たに建設しています。一般的に倉庫、車庫、ごみ置場は事務棟より坪単価が安いはずですが、おしなべて計算すると坪単価が94万6千円にもなります。

ここで、「秋篠宮邸の増築で事務スペースを拡張したのに、さらに180坪もの事務棟が必要なのか」を検証します。

「労働安全衛生法に基づく事務所衛生基準規則」は、オフィスの面積について1人当たり4.8㎡(約1.4坪)以上を確保すると定めています。この数値には設備類も含まれるので、設備を除けば1坪が最低ラインです。

では、秋篠宮邸の事務スペースの1人当たりの面積はどうでしょう。

紀子さまのお誕生日の文書では、「私室部分2割、公室部分3割、事務所部分5割と聞いております。」と説明されました。改修・増築後の秋篠宮邸の延べ床面積は約900坪。その5割が事務所部分なので、450坪となります。

この450坪と新築中の事務所棟180坪を合わせると、事務所部分は合計630坪になり、仮に60人が事務所スペースを使うとすると、1人当たり10.5坪にもなり、90人に増えたとしても7坪確保できます。

事務スペースを必要以上に広くしてしまうと、従業員や来訪者の動線が悪くなり業務効率が落ち、光熱費などのコストもかかります。秋篠宮邸では、この広いスペースでどのような事務作業が行われているのでしょう。

一般的には設計や見積りに相当時間を掛けるのですが、秋篠宮邸はそれもせず、バナナの叩き売りか何かのように追加、追加で2億円とか5億円をポンポンと。温室も建てているようだというYouTuberさんもいますし、あまりの無計画さに驚きます。

 

◆そんな高額になった理由を考察すると…

1.高価な材料や設備、手の込んだ細工などを使った

公開されていない私的部分には、イタリア産の大理石やドイツ製のジャグジー、地下にはパーティールームやシアタールームも造られているという噂がある。

2.秋篠宮が所蔵している剥製や工芸品を収蔵するスペースが必要

様々なニワトリ、大鯰、大ガエルなど扱いに注意が必要な物を多く所蔵している。

3.工事費の一部が工事に使われず、別の用途に流れている

建築業界では、受注を取るために「キックバック」として金品の授受がよく行われている。建設会社は仕入れ値を工夫したり、下請けに水増し請求をさせたりして、予備のお金を用意する場合があり、実態は把握しにくい。

4.計画から完成までの手順が一般とは大きく異なってしまった

一般的に建物を建てようとした場合は、設計士や建設会社に依頼して、要望を取り入れ、法令に合わせた大まかな図面(基本設計図)を作る。建物の仕様とイメージを共有することが目的で、それを基に見積もりをし、具体的に図面化(実施設計)をする。

設計士に監理を委託した場合は、素人である建築主に代わり、図面通りに建物が施工されるかを見守り、追加や要望があれば建設会社と書類を交わして実現する。

 

◆金と高級大理石を多用という噂について

わからないのが私的スペースです。茶室や剥製の陳列棚を金や高級大理石で造ったとか、保存冷蔵室を多く造ったとか、そういうことはあるのかもしれません。例えば、エルメス・バーキンのバッグが60万円以上するように、主が望めばバカバカしい要求でも実現させてもらえます。

ご夫妻には価格やグレードについて何ら見識がないでしょうから、施工会社にとっては「扱いやすい客」と言えるでしょう。秋篠宮邸の坪単価がなぜ相場の2倍以上高くなってしまったのか、私的スペースは公開されないでしょうから、その理由を明らかにするのは難しいです。

 

◆呆れた「赤坂東邸と一体化」構想

秋篠宮邸と赤坂東邸を一体化させ、より巨大な建物にする計画があったことを知り、とにかく呆れました。皇嗣となった以上、東宮御所に劣らない面積を確保しようということだったのでしょうか。

「秋篠宮邸」と「赤坂東邸」を一体化させるとしたら、建物はどれほどの大きさになっていただろう(画像は『日本経済新聞』のスクリーンショット)-eye
「秋篠宮邸」と「赤坂東邸」を一体化させることを見送った宮内庁(画像は『日本経済新聞』のスクリーンショット)

 

「秋篠宮邸」は当初、「赤坂東邸」をも抱き込み巨大な建物になる予定だった(画像は『Google Earth』のスクリーンショット)
「秋篠宮邸」は「赤坂東邸」をも抱き込む広さになる予定だった。左下の職員官舎から、その巨大さをイメージできるだろうか(画像は『Google Earth』のスクリーンショット)

 

こうしたことは設計段階で明確にし、適切な計画を立てて国民にきちんと説明しておくべきものです。莫大な公費を投入している以上、その内容が適切だったかどうかを精査し、公表しなければ国民の信頼を得られないでしょう。

テレ東BIZさんは昨年11月下旬、動画『なぜ44億円?秋篠宮邸の公開映像すべて…どこよりも詳しい皇族邸公開』の中で以下のように述べています。

「秋篠宮邸の改修は、取材するたびに計画が変わっていったのが実際だった」

 

「最後まで造ってみなければわからない」

 

「予算を請求した後に、臨機応変に計画の内容が変わっていくのが意外でした」

建築主が現場担当に直接変更を依頼するというのは、一般的ではありません。変更する場合は設計図書にし、見積を取り、お互いに確認の上で工事をしなければ、後にもめる原因になりかねません。

 

 ◆費用は宮廷費のどこから?

皇室関連の予算について大別すると、まずは皇室費と宮内庁費に分かれ、さらに皇室費は、内定費、皇族費、宮廷費と分かれ、その宮廷費の中の「皇居等施設整備費」が秋篠宮邸改修に使われたのだろうと思います。

宮内庁全体の予算は概算要求として財務省に提出されますが、庁内の個々の明細は公開されていません。秋篠宮邸改修工事は、単年度予算枠で小分けにして、名称を曖昧にして公表されるので、いつまで続くのか、総額がいくらになるのかを把握するのは困難です。

ましてや、工事が適切に行われたかどうかを精査する機能が無いように見受けられます。

◆随意契約発注工事の情報を見て

宮内庁の随意契約発注工事の情報公開を見ました。設計料の予定価格を5,000万円に22万円を足して設定し、落札価格を5,000万に16万円足した価格に。これにより落札率99.9%というのが見つかりました。

発注工事の内容が多岐に渡るので、一般の基準価格とは違うのかもしれませんが、これはアバウト過ぎる印象です。公共工事の「基準単価」は民間より高くチェックも甘いので、美味しい仕事と明言する人も少なくありません。

いずれによ、アバウトに予算を請求して、思い付きで工事をしながら進める。こんなやり方、一般では絶対にあり得ません。

 

◆大きなお金が絡むところに、いつも秋篠宮さまの名

秋篠宮さまは内定皇族にならなかったことで、公務でお車代を受け取ることに制限はありません。山科鳥類研究所の奥野卓司元所長と親しく、京都・嵐山鵜飼観光文化振興協会、ODA政府開発援助、WWF世界自然保護基金など、大きなお金が絡む話題にも事欠きませんね。

ひょっとしたら、宮邸の工事を通じて「工事費の融通=新たな財布」を見つけたのかもしれません。工事が適切に行われたかどうかを精査する機能も働いていないように見受けられますし、そうなってくると、いつまでこんなことが続くのか、総額がいくらになるのかを把握するのも困難です。

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以上が、一級建築士のNさんから伺ったお話である。

今上陛下ご一家のための皇居・新御所の改修工事が、総事業費は8億7,000万円で計画通りに完了したのに対し、秋篠宮邸は何千万円、何億円とかけて追加工事がダラダラと続き、いつまでも終わる気配がない。

そこにどんな理由があるのか、建築業界の皆様は口には出さないものの、心の中でそれなりに色々なことを想像していらっしゃるのだろう。

(朝比奈ゆかり/エトセトラ)



画像および参考:
『YouTube』テレ東BIZ ― 紀子さま57歳の誕生日…率直に伺う住まいの改修・佳子さまの分室住まい・コロナ感染【皇室ちょっといい話】(111)(2023年9月11日)

『東洋経済ONLINE』皇室とそのお金事情、今さら聞けない超基本 池上彰が皇室典範と皇室経済法から徹底解説

『YouTube』テレ東BIZ ― なぜ44億円?秋篠宮邸の公開映像すべて…どこよりも詳しい皇族邸公開【皇室ちょっといい話】

『Google Earth』赤坂御用地

『日本経済新聞』秋篠宮邸、赤坂東邸との一体化見送り 宮内庁

『エトセトラ・ジャパン』秋篠宮邸工事に45億円投じることのアホくささ その1:同額をかけた地方自治体の新庁舎はここまで立派