トンボ論文今度は写真No.18  オスをメスと、芝の紫色の穂をショウブと誤認で完全アウトか

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オツネントンボの写真データがどうにもめちゃくちゃである(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)
オツネントンボの写真に関して、どうもデータがめちゃくちゃであるようだ(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)

 

悠仁さまが筆頭著者となったトンボ論文について、次々と暴かれる驚きの事実。「オス」なのに「メス」と記し、「高麗芝の穂」を「ショウブ」と誤認するのであれば、筆頭著者となって論文を書くなど、あまりにも早すぎたのでは?と言わざるを得ないようだ。



このたびの発見は、1月7日付の『「82番の写真も奇妙ですよ。ちゃんとマクロレンズで撮影したのなら…」』という記事でお世話になった、大阪府在住のKさんという方から新たに寄せられたものとなる。

まずは問題のトンボ論文、『赤坂御用地のトンボ相 ―多様な環境と人の手による維持管理―』の「7/25頁」にあるオツネントンボの説明文をご覧いただきたい。

 

◆オスとメスを誤認された悠仁さま

オツネントンボのオスを発見されたようだが…(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)

「本調査では,2018 年7 月1 日に初めて菖蒲池のカキツバタ群落で未成熟1を確認した。」

 

あれ??? 「9/25頁」の写真No.18のキャプションを確認してみると、この通り「メス」と示されているではないか。

写真No18 のオツネントンボはオスなの?メスなの?(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)
写真No18 のオツネントンボはオスなの?メスなの?(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)
写真No18 のオツネントンボは尾の部分に上付属器、下付属器が確認できるためオス(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)
上付属器、下付属器がある写真No18 のオツネントンボ(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)

 

実際の写真は尾(腹の先端)の部分に、上付属器・下付属器と呼ばれるクワガタのツノのようなものがあるため、このトンボは正しくはオスであろう。

トンボの性は、このように尾についているのが上・下付属器(オス)なのか、それとも尾毛(メス)なのかで見分けることができる。それを誤認した論文を書いて、よく国立科学博物館の査読が通ったものだ。



◆ショウブの群落でもショウブの蕾でもない!

続いて写真No.19のオツネントンボについて、論文の説明はこうあった。

2022年5月3日に菖蒲池のショウブの群落でオツネントンボのオスを発見?(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)
2022年5月3日に菖蒲池のショウブの群落でオツネントンボのオスを発見?(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)

「2022 年には,5 月3 日に同池のショウブ群落で1 を,5 月25 日に同じくショウブ群落で1 ♀を確認した.」

 

え、ショウブの群落で…? こちらは論文の「9/25頁」にある写真No.19である。いやはや、これはどう見ても芝地であろう。

オツネントンボが止まっているのは、高麗芝に春になると生える穂であろうに。(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)
オツネントンボが止まっているのは、高麗芝に春になると生える穂であろうに(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)

 

高麗芝を敷いている庭では、春になるとこういう赤紫色の穂が生えてくるものである。しかし、5月なのにずいぶん枯れ草が多いものだ。

 

念のため、アヤメ、カキツバタ、ショウブ類について他のサイトも調べてみることに。こちらは神奈川県の公益財団法人「大和市スポーツ・よか・みどり財団」のウェブサイトが提供している画像である。中間にある開花の時期を見てみると、水色の枠で囲んだ一番右のハナショウブのみ、5月3日ではまだ開花していないことがわかる。

5月上旬にまだ咲いていないのは、一番右のハナショウブだけ(画像は『やまとナビ』のスクリーンショット)
5月上旬にまだ咲いていないのは、一番右のハナショウブだけ(画像は『やまとナビ』のスクリーンショット)

 

5月も下旬になると、ハナショウブもやっと蕾をつけるようだ。

5月下旬に咲くハナショウブの固いつぼみ(画像は『四季と自然とはりんこの花菖蒲』のスクリーンショット)
5月下旬に咲き出すハナショウブ。つぼみはこんな感じだという(画像は『四季と自然とはりんこの花菖蒲』のスクリーンショット)

 

しかしこの蕾は、オツネントンボ(写真No.19)が止まっている赤紫色の穂とは、形も色もまるで似ていない。



◆大量に目撃されたのなら、もっと良い写真があるはず

さらに、説明文に対して掲載されている写真がどうもしっくりこないのが36.シオカラトンボ(写真No.82)である。説明文は「18/25頁」に、写真は「21/25頁」にある。

シオカラトンボは頻繁に観察されたそう。ではなぜ、もっとよい写真を掲載しなかったのか(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)
シオカラトンボは頻繁に観察されたそう。ではなぜ、もっとよい写真を掲載しなかったのか(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)

「本調査では,表町池,杏水田,表町水田,大池,中の池,菖蒲池,黄金渓,心字池,大土橋池など広範囲で確認された. 植物群落がまったくない池でも岸辺などに止まっている姿がよく見られた.菖蒲池では個体数が特に多く,交尾・産卵など生殖活動も頻繁に観察された.」

 

この論文にある他のトンボの写真は、殆どが背景から浮き上がるようにトンボが美しく撮影されている。また、その多くが岸辺で撮影されている。シオカラトンボも岸辺で多く目撃されているなら、なぜ芝地で交尾する、こんなにもわかりづらい写真が採用されたのだろう。

赤坂御用地で頻繁に観察されたというシオカラトンボ。ではなぜ、こんなにもわかりにくい写真が掲載されたのか(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)
赤坂御用地で頻繁に観察されたというシオカラトンボ。ではなぜ、こんなにもわかりにくい写真が掲載されたのか(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)

弊ブログの画像は鮮明度に限界があり、皆様はどうか以下の論文を実際に開き、十分に拡大してご確認いただければと思う。

『J-Stage』赤坂御用地のトンボ相 ―多様な環境と人の手による維持管理―

『国立科学博物館』赤坂御用地のトンボ相 ―多様な環境と人の手による維持管理―

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実は今月13日、Tさんという別の方からも「82番のシオカラトンボの交尾(菖蒲池.芝地2022/04/23)の写真ですが、オスのトンボはどの草にもつかまっておらず、浮いて見えます。しかも19番のオツネントンボと同じく周囲は草ボーボーで、そんな中で交尾ってできるものなのでしょうか? 羽根も草に突き刺さりそうですし、傷つきそうですね」とのメールを頂戴していた。

このたびのトンボ論文に対し、国民からは多数の疑問の声が上がっている。おまけにオス/メス、ショウブ/芝の誤認まであるとは本当に驚いた。



◆筆者からもちょっと…

筆頭著者の悠仁さまのご指導をぜひとも仰ぎたく、筆者のなかでくすぶっていた、ちょっとした疑問もこの際ぶつけてみたいと思う。

トンボの交尾とは、オス・メスの体の向きがズレていても成立するものなのだろうか。まずは他の方がブログなどにあげていらっしゃる、ごく普通のシオカラトンボの交尾の写真を2点ご紹介してみたい。

シオカラトンボの交尾、互いの肩は同じ方向を見ているのでは?(画像は『野生の大田区』のスクリーンショット)
シオカラトンボの交尾、互いの体の向きはまったく同じ方向である(画像は『野生の大田区』のスクリーンショット)
シオカラトンボの交尾、互いの顔は同じ方向を見ているのでは?(画像は『野生の大田区』のスクリーンショット)
シオカラトンボの交尾、互いの顔は同じ方向を見ているのでは?(画像は『野生の大田区』のスクリーンショット)

 

ところがこちらはどうだろう。悠仁様の論文にある写真No.82のシオカラトンボは、後ろのメスが前のオスよりやや右を向いている。つまり、両者の正面の方向が揃っていないように見えるのだ。

論文の写真No.82のシオカラトンボたちは、羽の角度から見て、まっすぐに交わっていないことがわかる(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)
論文の写真No.82のシオカラトンボたちは、羽の角度から見て、まっすぐに交わっていないことがわかる(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)

翅を広げた角度から、それぞれのトンボの顔・肩・胸がどちらを向いているか正面がわかる。どうもこのペアは20~30度捻じれながら交尾を行っているように思うが、皆さんの目にはいかが映るであろうか。

(朝比奈ゆかり/エトセトラ)

画像および参考:
『mogblog – family challenge』 4月下旬・ゴールデンウィーク前、芝生に穂が出て花が咲いた

『やまとナビ』泉の森 アヤメ・ハナショウブの見分け方

『四季と自然とはりんこの花菖蒲』花菖蒲の表と裏

『善福寺公園めぐり』交尾についての覚え書き

『野生の大田区』東京都大田区自然探訪記 ― シオカラトンボの交尾