17歳映像で悠仁さまが見つめた桃1個は収穫期が6月の品種 まさかロボットが獲り忘れたとでも…?

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つくば市の農研機構の圃場で、たった1個のモモを眺められる悠仁さま(画像は『YouTube』のスクリーンショット)
つくば市の農研機構の圃場で、たった1個のモモを眺められる悠仁さま(画像は『YouTube』のスクリーンショット)

悠仁さまが17歳のお誕生日を迎えられた。そこで宮内庁からメディア向けに提供された映像は、「夏休みに茨城県つくば市にお出かけになられ、ある研究機関で稲やモモなどを観察された」というものだった。

たった1個、木になっている成熟したモモの実 ― 筆者も当然そこに大きな興味を持ってしまった。



 

◆つくば市のどちらへ?

悠仁さまがつくば市でモモを観察されたのは、国立研究開発法人・農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)が全国に擁する研究施設のうち、茨城県つくば市藤本にある「果樹茶業研究部門」の圃場(ほじょう)だ。

そのウェブサイトから果樹茶育成品種紹介のページを見てみたところ、様々なモモの木が栽培されている様子だ。しかし、ここ10年の間に果実を食する目的で手掛けられているのは「さくひめ」と「ひめこまるこ」の2種のようだ。

つくば市の農研機構の圃場で栽培されているモモの木、果実が食用となるのはひめまることさくひめ。他は花弁を観賞するためだという(画像は『農研機構』のスクリーンショット)
つくば市の農研機構の圃場で、ここ10年の間に新しく力を入れて栽培されているモモの木(画像は『農研機構』のスクリーンショット)

なお、黄色で囲んだもの以外の3種は、庭木として花弁を観賞するのに適している種類だという。

 

◆V字の枝に驚いた悠仁さま

ウェブサイトでは「スマート農業」と呼ばれていたが、果樹園における栽培管理の機械化、最先端を行く品種の研究開発、遺伝資源の保存やゲノム編集など、優れた研究のおかげで、近年の農業システムは非常に賢くなっているそうだ。

悠仁さまが「枝は同じ形なんですか?」とお尋ねになったという、枝がV字に広がるように育てられたモモの木。それは「V字樹形」と呼ばれるもので、2020年12月には宮内農林水産副大臣も視察。スマホひとつで圃場への給水が可能であることや、収穫ロボットまで存在することが話題になっていた。

 

◆モモの収穫期間は非常に短い?

「ひめこまるこ」は平均170グラムで直径7~8センチとやや小ぶりで、値段は高めだが糖度はトップの15.3%。一方の「さくひめ」は平均250グラムで少し大きい。いずれも収穫期は6月の上旬から中旬までで、一つの木から収穫できる期間は10日間程度と短いそうだ。

収穫時期の違う品種を多数栽培すれば、6月から8月まで長くモモを収穫できることはできる。だが、農研機構の果樹茶業研究部門が「さくひめ」と「ひめまるこ」を育てているように、今の日本では「6月のできるだけ早いうちに収穫したい」と考える農家さんが増えているという。

理由は、梅雨と温暖化の影響で台風被害やせん孔細菌病の発生が増加したため。台風に遭遇する可能性が低く、かつ梅雨入り前に収穫できる品種の開発が急務だったそうだ。農研機構のホームページを読んでいると、特に「ひめまるこ」に大きな期待が寄せられていることがわかる。

 

悠仁さまは「さくひめ」を?

「北関東のとある田舎町でいろいろな果樹を植えて楽しんでいます」と謳う、ホワイトモグタンさまによる『ENJOY THE FRUITS』というブログがある。そちらにお邪魔してみたところ、「ひめまるこ」の木の葉は周囲が結構ギザギザしているようだ。

葉のふちに細かい鋸歯、ギザギザがある「ひめまるこ」(画像は『YouTube』のスクリーンショット)
葉のふちに細かい鋸歯、ギザギザがある「ひめまるこ」(画像は『YouTube』のスクリーンショット)

 

図鑑のウェブサイトでモモの木全般の特徴を見たところ、やはり「葉縁に粗い鋸歯あり」と書かれていた。そこで「さくひめ」も探してみたところ、東海テレビさんによる今年5月のニュース記事を見つけた。

葉のふちの鋸歯、ギザギザを殆ど感じさせない「さくひめ」(画像は『東海テレビ』のスクリーンショット)
葉のふちの鋸歯、ギザギザが「ひめまるこ」ほど強くない「さくひめ」(画像は『東海テレビ』のスクリーンショット)

お誕生日映像(トップの画像)に出てくる葉と同様に、ふちがややツルンとして見え、緑の色も淡いため、もしかすると悠仁さまは、この「さくひめ」を見つめておられたのかもしれない。

 

◆まとめ:まさか釣り糸で?

悠仁さまがご覧になっていた、たった1個のモモ。「せっかくのご視察でカメラも回るのに、葉っぱだけというのは…」などと気を回した職員さんが、成熟した桃を釣り糸か何かでそっと枝に吊るしておいた、ということはないだろうか。

何しろ収穫期はとっくに過ぎており、おまけにその圃場には収穫ロボットすらいるという。1つだけ獲り忘れたということは、どうしても考えにくいのだ。

また、その果樹茶業研究部門ではリンゴ、ブドウ、梨、栗、ミカンなど他のものもたくさん扱っている。なのに、よりによって皇室献上詐欺行為が明らかになったきっかけの「モモ」を見つめていただくというのは、設定としては非常にシュールである。実はちょっと苦笑してしまった。

(朝比奈ゆかり/エトセトラ)


画像および参考:
『読売新聞オンライン』悠仁さま17歳

『YouTube』テレ東BIZ ― 悠仁さま17歳 異例の誕生日映像【皇室ちょっといい話】(110)(2023年9月6日)

『農研機構』果樹茶業研究部門/果樹茶育成品種紹介

『農研機構』さくひめ

『農研機構』ひめまるこ

『農研機構』モモ新品種「ひめまるこ」標準作業手順書 -公開版-

『農研機構』6月から食べられる「もも」のお話

『ENJOY THE FRUITS』ひめまるこ 収穫開始

『東海テレビ』珍しい桃の温室栽培…早生品種の桃『さくひめ』出荷始まる 日照時間が十分確保され甘くてジューシーに 愛知