「日本学生科学賞」応募まで半年を切った悠仁さま 新研究の協力者は? テーマは本当にトンボで大丈夫?

弊ブログで3月11日にお伝えしていたが、秋篠宮さまは令和元年のお誕生日会見のなかで、これまで赤坂御用地で確認されていなかった複数種類のトンボを、まだ小学校だった悠仁さまが発見したことを発表された。
いつの間にか「トンボ博士」になられていた悠仁さま。国立難関大学への推薦を手にするため、なんとしても日本学生科学賞などが欲しいところだが、トンボの調査研究はライバルがかなり多そうだ。研究のテーマは本当にトンボで大丈夫なのだろうか。それとも…?
数か月間、考えを巡らせた末、かつて『悠仁さまの「トンボ研究で東大推薦」報道の陰に置き去りにされ泣いていた「別の教え子たち」』という記事でお世話になった、皇室の事情にもトンボにも詳しい1名の方(以下Aさん)に、改めてお話を伺ってみた。
――Aさん、この度もまた、よろしくお願いいたします。2023年度の「日本学生科学賞」の応募期間まで、あと半年を切りました。研究のテーマがトンボである場合に注目したいのは、YouTuberの「あきらっちスカッと皇室」さんが発見された、NHK『ダーウィンが来た!』も関係するウスバキトンボの全国的な調査かなと思いますが…。
Aさん:はい。市町村単位で乗り出したところもあるようですね。長野県の伊那市にあるNPO法人は、昨年8月に「ウスバキトンボ採集大作戦」として生態調査に乗り出し、捕獲したトンボの羽に識別番号などを書いて放すことを大々的に行っていたようです。
――伊那市は「トンボの楽園」として知られているらしいですね。しかも甲斐駒ヶ岳、八ヶ岳とか仙丈ヶ岳の登山者向けバスが出ています。8月には標高2,500メートルあたりでもトンボが飛ぶらしいですよ。そういえば悠仁さまも昨年8月、トンボ調査で栂池高原へひとり旅を。おひとりで調査できるものですか?
Aさん:そうですよね。たとえば、アキアカネなどアカトンボ類の研究者として有名な石川県立大学の上田哲行先生も、複数人数で石川県の調査にあたっておられます。福井県勝山市で、平地から山に移動するアキアカネを国内で初めて確認した故・菅原みわさんも、ある調査グループの1名でした。
トンボのマーキング調査は一人では手が足りず、グループでやらないと追いかけられないです。誰かがマークしたトンボを誰かが発見し、大人がまとめる。悠仁さまには一体誰が付いているんでしょう。
――有名なトンボ研究者さんが何名かいらっしゃいますが、これだけ注目を集めてしまうと、万が一論文に手を貸したり自分の発見や手柄を悠仁さまに譲るなどして、週刊誌やジャーナリストに嗅ぎつかれたら大変ですよ。むしろ、大自然や昆虫が大好きでトンボにも詳しい一般の方が理想かなと。
Aさん:確かにそうですね。しかも、長野県の人とは限りませんよ。ブータン、小笠原諸島の父島でも思い切り自然にふれあったでしょうから、そこで関わった方の中から…という説も成り立つと思います。
――なるほど…。それから、メディアに “トンボ返り” などと報じられていましたが、悠仁さまはその後も再び長野県入りしたんですよね。
Aさん:はい、8月25~27日には秋篠宮ご夫妻とともに2泊3日で再び長野へ行っています。今度はその伊那市に近い八ヶ岳高原ロッジに宿泊されたんですが、天候のせいか、八ヶ岳に登ったという情報はないようです。調べたところ、栂池の時も到着日の19日以降は雨や曇天で、思うようなトンボ調査はできたのでしょうか。
――それは運が悪かったですね。ここでちょっと、昨年夏に全国向けに呼びかけられたウスバキトンボの調査について説明させてください。
*********************
熱帯・亜熱帯の地域から飛んできて、沖縄から北海道まで日本全国を移動していくウスバキトンボ。2016年には「最低でも7,100kmの渡りが確認された」という論文が発表され、そのような長距離飛行がなぜ可能なのかは謎のままだ。
そこでトンボを捕まえて羽に番号を付けて再び放ち、その後の日本各地の目撃情報と照らし合わせながら謎を解いていこうという試みが始まった。今回ほどの広範囲で大規模な調査は世界で初めてだという。
1日にどれくらい移動するのか?
移動は風まかせなのか?
一生の間に移動する時期としない時期があるのか?
すべての個体が移動をするのか?
南方向への移動はないのか?
なお、愛知県立岡崎高等学校・教諭の市川雄太さん、奈良教育大学・准教授の小長谷達郎さん、産業技術総合研究所・主任研究員の二橋 亮さん、トンボ研究家の新井 裕さんにより運営されている『ウスバキトンボ全国調査』というウェブサイトがあり、全国の調査参加者に捕獲状況ほか様々な情報を発信している。

そこには捕獲数のカウンターも設けられており、17,281のウスバキトンボの個体の羽にマークを入れ、再捕獲されたトンボの数は76羽とある。調査はそう簡単ではないことがわかる。

*********************
――つまり、「赤坂御用地でマーキングしておいたウスバキトンボが長野で捕獲された」とか、きわめて珍しい北から南方向への移動として、「長野県の栂池高原から放たれたトンボが120km南の伊那市で発見された」、「さらに甲斐駒ヶ岳、八ヶ岳とか仙丈ヶ岳の高い所で見つかった!」などは、おそらくすごい発見なんだと思います。
Aさん:それから成虫の保管方法というページに、捕獲したら水を含ませたティッシュを入れたタッパーウェアがいいとあります。「再捕獲された成虫はとても貴重なものです。より詳細な解析をすると世界初の発見があるかもしれません!」なんて書いてありましたね。

――トンボは種類によって「休み方」が違う、ウスバキトンボはまず止まってくれないというのは本当ですか?
Aさん:そうです。ウスバキトンボは常に飛び続けて、止まっているところをほとんど見かけない種です。トンボって、休む時に枝の先端に止まるもの、ぶら下がるように止まるもの、葉の上に止まるもの、杭や枝に平行に止まるものと分かれます。また、一ヶ月程度でヤゴから成虫になるもの、何年もかけてやっと成虫になるもの。実に多種多様です。
――そうなんですね。ところで皇居のような緑が豊かな所では、生物多様性の調査が盛んですね。自然環境の悪化や改善が如実に現れるんでしょうか。
Aさん:図書館で、国立科学博物館皇居生物相調査グループによる『皇居・吹上御苑の生き物』を見つけましたよ。刊行が2001年でした。内容は赤坂御用地についてではないのですが、類似点は多いと思いますし、とても参考になりました。
――文献は頼りになりますね。少し詳しく教えていただけますか?
Aさん:2019年の秋篠宮さまのお誕生日会見で、「前回の調査で確認されていなかった何種類ものトンボを、息子が発見した」という風に話されましたね。あれは、あくまでも成虫のことで、ヤゴや羽化殻は見つけていないという意味だと思います。
2002年から2004年にかけての調査で、赤坂御用地で6科24種のトンボが発見された旨については、悠仁さまがいつも参考にされているという国立科博専報(39)にも、2005年に記されていました。その時からかなり年月が経っていますし、複数種の未確認のトンボを悠仁さまが見つけることは、別段珍しいことではないと私個人は思うのです。
実はその「前回の調査」というのも、3年間のうちの16日のみで、ヤンマ類の動きが捕食のため活発になる黄昏の時間帯の調査は行われていない。17時で定時終了ってことでしょうか(笑)。
それに家の前に池があるからこそ、悠仁さまがその時間帯に偶然見つけたということも考えられるんです。ちなみに皇居は2000年の調査で、8科27種が発見されていたそうです。
――そうなんですね。秋篠宮さまの会見からは「世の中に公表すべき、ものすごい発見があった」という風に受け止めてしまいました。
Aさん:東京の他の区を見ても、葛飾区(1999年調査)は45種のトンボを確認したと発表しています。悠仁さまが発見したのは、あくまでも赤坂御用地で未確認だったトンボのことで、日本で誰も目にしたことがない新種を発見したのとは違いますからね。
――トンボが集まるって、水質も関係しそうですね。
Aさん:あれだけ広大な赤坂御用地の池の中でも、秋篠宮邸池は最も良好な環境らしいですね。御用地内で記録されたトンボの種類の半数ほどを記録したそうです。かなり良好な水域を保っている証拠だと思います。
――自然環境を守ることに、東京都や港区も力を入れていますからね。
Aさん:お誕生日会見での秋篠宮さまのそのご報告についてですが、2016年1月に港区が発表した『生物多様性緑化ガイド』のP62を見てください。
「緑地にトンボを集めていこう」という計画があって、赤坂御用地の秋篠宮邸の南がエコロジカルネットワークの強化箇所に選ばれているんです。ここに集めて羽化したトンボたちが他の場所に飛んでいく。そこの役割は拠点地になること。なので、休息地として秋篠宮邸に成虫が飛んで来ることは不思議ではなく、あてにされているのはヤゴが育つ環境でしょうね。

――なるほど、そんな計画があったんですね。それでは「発見」も必然的なことだったのでしょう。それにしても赤坂御用地の大きな池、あれはどれくらい深いんでしょうか。
Aさん:秋篠宮邸の池は深いところは1.3mらしいです。トンボを追えば足元も見ず夢中になりますから、大事な、大事な将来がかかっている男の子がひとりで追いかけるなんて、ありえますか? ボートを出したのでしょうか? それも含め、やっぱり庭園課の職員さんが頑張ったてくれたんじゃないかと思ってしまいます。
カワセミがいるんだから、ヤゴも成虫のトンボもいるんですよ。ヤゴが育ち周囲に広がることを港区が期待していると考えて、ヤゴの成長のためにはユスリカなどの餌が必要で、水場と木々は必須です。プール的なものではなく、ヤゴやトンボがぶら下がれるよう、水から出る枝などの突起も必要に。
それから、御用地内各所におけるウスバキトンボについてですが、2002〜2004年の調査期間中は「幼虫・羽化殻ともにまったく採集できず、発生の確認ができなかった」と記されているんです。成虫は御用地内の各所を飛び回っていたようですが…。
越冬はできないにせよ、1ヶ月という早い成長で世代交代しながら移動を続けていくトンボなので、是非ともヤゴが育つ場となって欲しいところでしょうね。

――トンボの研究って、種類も多いだけにとても奥が深いものだとか。
Aさん:一口にトンボと言っても、棲みかも生態も様々。渓流、開けた池、植物の多い沼、大きな川の下流域、人工池、水田、休耕田など大きく異なるんです。トンボは流れのある水域を好む「流水性種」と、流れのない水域を好む「止水性種」に大別されるので、赤坂御用地のトンボは止水性種だと思います。
秋篠宮さまの57歳の誕生日映像にて、ご家族4人で干上がった水路を眺め語っていましたね。何かをしようと計画されているのでしょうか、ちょっと興味を持ちました。
――具体的にどのトンボについての調査なら可能なんでしょうか。
Aさん:それが幼少の頃から今に至るまで、発表されたことがないんですよね。「トンボ」という総称と同じ表現の使い回しばかりです。もしも赤坂御用地のトンボ全体の環境調査なら、それは悠仁さまおひとりでは無理です。むしろ、国立科学博物館動物研究部の調査の成果ではないでしょうか。特定のトンボに絞るなら、研究内容によっては可能かもしれませんが。
――水、土壌、水田、どれも赤坂御用地にはそろっているのですよね。普段の手入れは大変そうですが…。
Aさん:江戸は元々低湿地帯で水の都、上水も発達し、江戸城と紀州徳川藩邸の間には人工のため池もありました。赤坂御用地となってから後は、関東の黒ボク土の土壌に広葉樹を植林し、リン酸も豊富な池という環境。赤坂御用地そのものが持つ自然の豊かさと、水域の豊富さのおかげだと思います。
赤坂御用地は、元は紀州徳川家の藩邸で水田だったところを、明治時代に池として造成したようですね。ガチガチの整備がされていなくても、しっかりと手入れはされている。それはやはり、宮内庁庭園課の人たちの努力のおかげでしょうね。
――とはいえ秋篠宮邸の周辺では、ご仮寓所も含め、ここまで長いこと大工事が続いていました。トンボの生育に最適と言われた環境も、それで一旦リセットされてしまったのでは…。
Aさん:ご仮寓所の着工が2017年1月、住み始めたのが2019年3月、新邸着工が2020年3月でした。赤坂御用地の秋篠宮邸周辺は、ずっと工事だらけで昆虫は寄り付きにくいでしょう。水路も田んぼも水が変わることで、生態系があっさり崩れることはあります。それは前出の『皇居 吹上御苑の生き物』でも示唆されています。
改修工事の際、水漏れのあった池周辺にて石の入れ替えもしたそうですが…。悠仁さまのためならと、庭園課の職員さんたちがどんなに頑張ってくださっても、生き物たちは正直ですからね。
――稲の研究、田んぼ作りという話も気になっています。でも結局は、職員さんたちが精を出しておられるような気も…。
Aさん:元は宮内庁職員のための住宅があって、それを壊し、大掛かりに掘って田んぼにしたのでは…という話がありますね。八十八の手間がかかるので「米」と呼ばれますが、田植えと稲刈りの他、日々の手入れがとても大変です。農薬は使わないとして、雑草とか害虫はどうしているんでしょう。誰がやっているのでしょうね。
益虫であるトンボが、ウンカやカメムシなど害虫を駆除してくれるのを期待していらっしゃるのでしょうが、雑草の刈り取りはやはり人の手だと思います。昔ながらの農法は本当に大変ですからね。
――最後になります。やはり高校生の研究となると、珍しいトンボを発見した、捕獲したというだけではダメなんですよね。
Aさん:はい。御用地にいるトンボを捕まえて、国立科博専報のリストを参考に同定していく作業、この同定は基本の基です。トンボ博士と呼ばれるもっと幼い子達も行っていますよ。大層なことのように公表されていますが、高校生がそれだけで大きな賞を獲るというのは難しいと思います。
――わかりました。Aさん、今回も様々なことを教えてくださって、ありがとうございました。
◆まとめ
せっかくの長野行きもあまり天候に恵まれず、思ったほどトンボの調査ができなかったとみられる悠仁さま。さらに、赤坂御用地は長いこと大がかりなご仮寓所の建設と宮邸の改修工事が続き、繊細な昆虫たちは姿を消していた可能性すらある。
加えて、17,000羽を超すウスバキトンボにマークが入れられても、再捕獲されたのはたったの0.43%だ。こうなってくると、ウスバキトンボで悠仁さまがあっと驚くような発見をする、日本学生科学賞のような賞を獲るというシナリオは、奇跡あるいは極秘のトリックが働かない限り難しいような気もする。
ただし、生物多様性の保全、ビオトープ、そして「大きいモノが好き」など、まだまだ研究テーマを探るキーワードはある。特に小笠原旅行で体験されたことには注目する必要がありそうだ。そのあたり、次回もAさんのご協力を得ながら推察を進めてみたいと思う。
(朝比奈ゆかり/エトセトラ)
画像および参考:
・『YouTube』あきらっちスカッと皇室チャンネル ― 【スクープ】悠仁さまウスバキトンボ協力に爆笑! 秋篠宮さま貴重なナマズ食べたことを暴露』
・『NHK』ダーウィンが来た! ★トンボ大調査 協力者募集します!★ ウスバキトンボの移動を全国調査します!
・『ウスバキトンボ全国調査』ウスバキトンボの謎
・『つくば生物ジャーナル』生物学類学生表彰を受賞して 市川雄太(筑波大学 生物学類 4 年)
・『小笠原ビジターセンター・大神山公園』NEWS LETTER ― 意外と知らないウスバキトンボの生態
・『エビ風サイエンスミネストローネ』「ウスバキトンボ」は少なくとも7100kmの距離を渡る事が判明 生物界最長の渡り
・『伊那谷ねっと』ウスバキトンボ採集大作戦 2022年8月18日
・『女性セブン』悠仁さまの夏休み 栂池高原ではトンボ観察、ご家族では八ヶ岳に2泊3日 2022.09.02
・『ウスバキトンボ全国調査』 ウスバキトンボ全国マーキング調査 ― 印付きトンボを探そう!
・『国立科博専報告』赤坂御用地のトンボ類(2005年3月25日)
・『東京都港区』生物多様性緑化ガイド(2016年)
・『エトセトラ・ジャパン』記者の奇妙なフォローで成り立つ秋篠宮さまの「お誕生日会見」 トンボ観察を応援も宮邸改修工事が延々続いた矛盾
・『エトセトラ・ジャパン』いい加減にしてほしい悠仁さまの「トンボ研究で東大推薦」報道 その陰に置き去りにされ泣いていた「別の教え子たち」の存在