有名企業が続々とスポンサー契約から撤退し、解体待ったなしなどと報じられているフジテレビ。実は皇室関連の報道においても、産経新聞とともに「秋篠宮家」の偏重ぶりにはウンザリするものがあった。

◆民放の中で際立った韓流推し

筆者もかつて、夢中になってDVDをレンタルした韓流ドラマに『天国の階段』がある。それをお茶の間に紹介するなど、民放テレビ局のなかでもフジテレビは圧倒的に韓流びいきであったと感じる。

ちなみに、『冬ソナ』による韓国旅行熱は1990年代になってからのものだが、秋篠宮妃紀子さまは日韓の交流がまったく乏しかった1984年、大学一年生の夏休みに韓国を旅行されたそうだ。

『土曜ワイド・韓流アワー』というフジテレビの韓国エンタメ情報やドラマは、大変な視聴率を稼いでいたようだが、そのナビゲーターは、今ちょっと話題になってしまっている佐々木恭子アナウンサーであった。

そんなフジについては2011年、「韓国資本に牛耳られている？」という噂まで浮上したが、故・安倍元首相の襲撃事件をきっかけに日本で旧・統一教会の問題が大きく取り上げられると、そこで報道姿勢が問われることになった。

◆旧・統一教会の問題は触れたくなかった？

2022年8月、ヤフーニュースでジャーナリストの松谷創一郎氏による『テレビは旧統一教会をどれほど報道してきたか？──ミヤネ屋／モーニングショー　／報ステの報道時間』という記事が話題になった。

安倍元首相が銃殺されるというショッキングな事件が奈良市で起き、「旧統一教会への強い恨みがある」という犯行動機に国民は大きな関心を示した。にもかかわらず、朝・昼の情報番組やニュース番組で、局により扱い方に差が出たのだ。

かつてのオウム真理教・坂本弁護士一家殺害事件では、同弁護士の放送前インタビュー映像を番組プロデューサーがオウム側に見せ、それが殺害事件のきっかけとなったとも言われたTBSは、その反省を生かしたのだろう。よく取材して情報を集め、信頼されている論客を招き、放送時間も多く割いたと高く評価された。

一方、フジテレビの『FNN Live News α』の報道姿勢は、特に消極的だったと松谷氏。「系列の産経新聞とともに、故・安倍元首相に近いタカ派傾向が関係している可能性もある」「岸信千世氏（岸信夫前防衛大臣の子、安倍氏の甥）がフジテレビ政治部に２年前まで在籍していたことや、旧統一教会の強い支援を受けたと見られる北村経夫参院議員が産経新聞の政治部長だったことも関係しているかも」と論じておられた。

◆秋篠宮家のためなら映像の加工さえも

皇室系人気YouTuberの「あきらっちスカッと皇室（@seijisenmon）」さんが、秋篠宮家に関し、昨年9月に気になる情報を発信してくださった。

まずはYouTubeにアップされた、ANNnewsCHの『悠仁さま山形の夏休み　秋篠宮さまに太鼓“指南”も(15/07/18) 』というニュース映像をご覧いただきたい。

（スタートは合わせてあります）

ところが悠仁さまの右手の動きについて、世間から「聴覚障がいのお子様が学ぶマカトンサインでは？」といった声が上がり、するとフジテレビは映像を驚くほど加工してしまった。

それに気づいたのが、あきらっちスカット皇室さん。X（Twitter）では2つの映像が並べられており、右がオリジナルの映像（ANN News）、左がフジテレビが加工した映像である。

秋篠宮さまのDNA鑑定もそうだけどもフジテレビの捏造鑑定もしてほしい。なぜ他の皇室系ユーチューバーは悠仁さまが手話をしていないことにしたフジの捏造に優しいんだろう。
フジの捏造を許すなで署名活動したら全力で支持するけどな。#秋篠宮にDNA鑑定を pic.twitter.com/KtS3VW0VC7

— あきらっちスカッと皇室 (@seijisenmon) September 22, 2024

◆大ひんしゅくの誤植騒動

昨年10月、敬宮愛子さまは初めての単独地方ご公務として佐賀県を訪問され、国民スポーツ大会、赤十字血液センター、和紙の制作工房などを視察された。同11日には佐賀城を訪問されたが、フジテレビは生放送の「イット！」で『愛子さまが刺殺（正しくは視察）されている』との字幕を出し、大ひんしゅくを買っていた。

その話題はメディア、YouTuberにより大きく拡散され、「天皇皇后両陛下の大切な皇女・敬宮さまになんと不敬な」と人々は激怒。まさか故意にそんな誤植を行ったわけではあるまいな…。

◆フジ・サンケイグループはガチの男系男子派

フジテレビとともに、フジ・サンケイグループの看板である産経新聞は、旧統一教会を叩いた文春を批判して世間を驚かせたが、強烈な男系男子派が論客として集い、悠仁さまという男児が生まれた秋篠宮家をアゲる。

たとえば昨年、悠仁さまが18歳になられた際、「社説」にまで祝いの言葉をつづった新聞大手は産経新聞のみ。「今上陛下、秋篠宮皇嗣殿下、悠仁親王殿下へと続く、男系による正統は確立している」「秋篠宮家や悠仁親王殿下に関する事実無根の中傷が最近見受けられる」「内閣や宮内庁はいったい何をしているのか。全力でお守りしなければならない」と鼻息を荒くした。

マイクロソフト運営のMSNまとめサイト（ニュース）で、皇室記事のコメント欄に天皇家サゲ秋篠宮家アゲの人達が多く集まることを数日前にお伝えしていたが、この件も無関係ではないと感じている。

そのサイトは2016年まで産経新聞との共同事業で、名称も「MSN産経ニュース」であった。読者層、コメント投稿者も当時のカラーをそのまま継いでいるのかもしれない。

◆離脱する神社が相次ぐ神社本庁

また故・安倍氏の下、自民党を中心に結成された神道政治連盟国会議員懇談会と共に活動してきたのが、全国の神社を統括する神社本庁（民間組織）の関係団体である神道政治連盟（神政連）。産経新聞はこの組織ともタッグを組んでいる。

「女性天皇の容認にノー」などというパンフレットを作るなど、強く男系男子論にこだわっている神政連は、公式ホームページを拝見すると引用するのは産経新聞の記事ばかりであることに気付く。

ちなみにPRESIDENT Online は2020年6月、神社本庁についてこんな記事を出していた。

ここ20年たらずで、明治神宮（東京都、04年離脱後、10年に復帰）、気多大社（石川県、10年離脱）、梨木神社（京都府、13年離脱）、富岡八幡宮（東京都、17年離脱）、建勲神社（京都府、19年離脱）と、全国各地の有名神社が次々と神社本庁から離脱。また最終的には離脱とならなかったものの、09年には宇佐八幡宮（大分県）でも離脱騒動が持ち上がったことがある。そして今回、金刀比羅宮までもが神社本庁からの離脱を決断した。

納得できない上納金システム、人事への干渉といった不自由さを理由にあげる報道は多かったが、その記事は『大激震! ｢神社本庁は天皇陛下に不敬極まる｣…”こんぴらさん”離脱で離散危機に』というタイトルである。

その通り、神社本庁は男児が誕生した秋篠宮家を熱烈に応援してきた。秋篠宮夫妻も彼らの設立60周年および70周年の記念式典に臨席し、開会の言葉を述べている。

◆まとめ

昨年の春に共同通信が行った世論調査では、回答者の90％が女性天皇を認めることに賛成し、女系天皇についても84％が賛成した。

にもかかわらず以上のような理由から、フジ・サンケイグループの看板であるフジテレビが、皇室関連の報道において「秋篠宮家推し」を控えるなど、とても期待できそうにない。申し訳ないが、筆者も「フジテレビは存続の方向で！」となかなか思えずにいる。

（朝比奈ゆかり／エトセトラ）

画像および参考：
・『Wikipedia』夕刊フジ

・『X』あきらっちスカッと皇室@seijisenmon

・『ヤフーニュース』テレビは旧統一教会をどれほど報道してきたか？──『ミヤネ屋』『モーニングショー』『報ステ』の報道時間

・『PRESIDENT Online』大激震! ｢神社本庁は天皇陛下に不敬極まる｣…”こんぴらさん”離脱で離散危機に

・『女性自身』「これは酷い」日本テレビ　愛子さまが「やばいやばい」とご発言？テロップミスに批判続出、広報は「はずすことにした」と認める

・『エトセトラ・ジャパン』安倍氏亡き後も神道政治連盟とズブズブな産経新聞　統一教会叩きを批判する記事を掲載

・『エトセトラ・ジャパン』「神社本庁」　万世一系・男系男子論で秋篠宮家を推し、やがて天下を取ろうと…!?

・『エトセトラ・ジャパン』悠仁さまご成年「社説」で祝った大手は産経新聞のみ　統一教会を叩く文春を批判した記事が記憶によみがえる