福岡市（博多）の夏には、780年以上の歴史があるとされる「博多祇園山笠」という祭りがあります。国の重要無形文化財・ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。

祭りに関わる博多の男たちはこの時期になると、仕事も手につかなくなるほど祭りの準備に大忙しです。法被姿は正装とされ、どんな行事にも会社にも着て行くくらい、祭り三昧の日々を過ごします。

「博多祇園山笠」は山を神様に奉納する神事であるため、山笠期間中は守らないといけない「禁忌（タブー）」「断ちごと」が存在します。

女人禁制もその一つで、舁き手の詰め所の入口に「不浄の者立入るべからず」という立て札が立てられていました。「不浄の者」とは喪中の人と女性で、女性は舁き手の詰め所に入れないしきたりがありましたが、「女性蔑視」という声が上がり、平成15年よりこの立て板は全廃となりました。

また「博多祇園山笠」には、太閤町割りの名残で恵比須・大黒・土居・東・西・中洲・千代の7つの流がありますが、今年は山笠の歴史上初めて、千代流が川崎幸子さんという女性に舁き山（最後に町を駆ける山で、町中の飾り山とは別）を依頼したというニュースを見ました。

川崎さんは、博多人形師として内閣総理大臣賞を５回も受賞されています。そのニュースの中で、千代流総務の川口俊二さんの「山笠も、時代とともに変化していかないといけない、悪しきはやめて、いいものをどんどん取り入れて……」という言葉が印象的でした。

ちなみに川崎さんが制作した「太陽の女神・アマテラス」は、柔らかい表情の中にも力強い人形です。詳しくは、こちらの動画をご覧ください。

「博多祇園山笠」という歴史と伝統のある祭りでさえ、時代とともに変化していきます。伝統は大切にしないといけませんが、伝統に固執しすぎては時代に取り残されてしまいます。

時代の流れとはこういうことなのだと感じたニュースでした。皇室も「悪しきはやめて変えていかないといけない」時代にきているのではないでしょうか。

（福岡県在住：Hさんより）

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