マイナ保険証の危険性 「他の医療機関受診がバレるのはいや」どころじゃない深刻な理由がある

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厚生労働省が「従来の健康保険証は、これからは新しく発行されません」と決めた12月2日まであとわずかになった。

金融機関や納税の情報と紐づけていることもあり、「カードを落としたら一大事」「認知症にでもなって、嫁が管理するかと思うとイヤ」と言う声もあれば、「他の医療機関の受診状況を閲覧されてしまうのがイヤ」という声もある。

だが皆さんは、2023年に東京・池袋のパスポートセンターで中国籍の女が起こした個人情報漏洩事件を覚えていらっしゃるだろうか。実は、その事件の犯人の女が勤務していた時期にパスポートを更新していたことに気付いた友人が、当時のことをちょっと教えてくれた。「窓口の人が日本人ではないことの恐ろしさ」を痛感したというのだ。

 

今回は皇室の話題を離れ、マイナ保険証に反対する筆者なりの理由を綴らせていただきたいと思う。



 

◆マイナ保険証の一般的なデメリット

厚生労働省は、マイナンバーカードのICチップに税や年金の情報、病歴等、プライバシー性の高い情報は記録されていないと説明している。顔認証と暗証番号を組み合わせなければ、税や年金、医療情報も確認できないというのだ。

ただし、セカンドオピニオンやドクターショッピングのような情報を、普段かかっている医療機関に知られてしまう可能性はある。

救急や災害時の医療対応に役立つ、基礎疾患などを正確に把握してもらえる、高額医療の限度額を超える支払が免除になるといったメリットがあると知って、「診療・薬剤・特定健診等の情報提供に同意する」とした方は、医療機関や薬局が別の医療機関や薬局の利用状況をオンラインで閲覧することに承認したことになるそうだ。

 

◆池袋パスポートセンター事件ここが怖い

もしもこのように個人情報を盗まれたら…?マイナンバーカードなら写真もついている(画像は『TBS NEWS DIG』のスクリーンショット)
もしもこのように個人情報を盗まれたら…?マイナンバーカードなら写真もついている(画像は『TBS NEWS DIG』のスクリーンショット)

 

2023年11月、東京・池袋のパスポートセンターに2020年5月から2023年3月まで勤務していた中国人の派遣社員の女(52)が、旅券を申請した人たちの発給申請書や戸籍謄本などから、氏名、住所、電話番号など1,920人分の個人情報を持ち出したとして、警視庁公安部に書類送検されたことが公表された。

戸籍謄本の提出や緊急連絡先の記載があるせいか、朝日新聞によると、申請者ばかりか家族の氏名、住所、生年月日、電話番号まで漏洩していたという。

筆者の友人はまさにその期間にパスポートを更新していた。報道では「中国人女性の背後に国家的な組織の関与の有無や第三者への漏洩を、警視庁公安部は現時点で確認できていない」とあり、ただちに新聞にあった「この件に関するお問い合わせ先(03・5388・3700)」に電話してみたという。

 

◆「あなたは大丈夫」と言われても不安

友人は電話でパスポートナンバーと氏名などを告げ、被害状況を照合してもらい、1分ほどすると「大丈夫です。該当しておりません」という返事を得た。お詫びの言葉もそれなりにあったそうだ。

友人が「中国国籍の人が受付業務をしていたこと、周囲で働く方々は承知していたんですか?」と尋ねたところ、電話口の職員さんは「承知していました」とのこと。パスポート、顔写真、住民票、戸籍謄本といった最重要の個人情報を扱う場所に、なぜ中国籍の派遣社員が…? 危機感のなさに、もう唖然としてしまったそうだ。

なお、この女の様子について都は警察に相談していたが、2023年3月28日から31日までの間に受付をした申請者の個人情報が書かれた「1枚の付箋」を持ち出したことで、やっと窃盗事件として書類送検することができたようだ。

 



◆なぜ一般人の個人情報が狙われる?

このパスポートセンター個人情報漏洩事件で最も恐ろしいのは、目的が「背乗り(はいのり)」を目論む人物への提供であった場合だ。実在する日本の一般人の身分・戸籍を乗っ取って、その人物になりすまそうとする工作員や犯罪者のためにである。

また、たとえば財界政界の著名人がその時期に池袋のパスポートセンターを利用していた場合、その個人情報は大変高額で取引されたのでは…などと疑いたくなる。

 

DIAMOND Onlineは、日本カウンターインテリジェンス協会代表理事の稲村 悠氏による『中国籍のパスポートセンター職員が「1920人分」個人情報持ち出しか、スパイ防止法があれば事件は防げた?』という記事を出した。

 

第三者に直接会って個人情報が記載された紙やパスポートのコピーを手渡すなどアナログな手法を取っていれば、捜査機関はそれを“現認”しない限りは「確認できない」と言うほかない。“現認”のためには、捜査機関が被疑者の行動を常に把握しなければならない。

 

(略)

 

外務省関係者は、日本のパスポートには、偽造対策としてICチップが内蔵されており、偽造や改ざんは難しく、むしろ、考えられるリスクとしては、他人になりすましてパスポートを不正取得することだという。不正取得したパスポートにより、不法な出入国に使用され、テロや不法移民等の国際組織犯罪の発生を助長する危険性がある。

 

(略)

 

特に危険なのが、パスポートを公的身分証として示し、他人名義で借金をしたり、特殊詐欺等の各種犯罪に使用するための銀行口座の開設や携帯電話などの契約に悪用したりするなど、多くの犯罪被害につながるおそれがあることだ。



◆中国人は「国家情報法」を主張する

中国籍の人々や企業は、国内外どこにいようとも「国家情報法に基づき、中国政府のために情報収集活動をする」という義務を負っている。日本に帰化した人たちでさえ、そこは忠実だろう。

日本全国、大きな病院が受付業務を外部に委託していることは多い。住所、氏名、年齢、電話番号などが顔写真つきで印刷される危険性があるマイナ保険証になるのであれば、池袋パスポートセンターの個人情報漏洩事件で学んだことを無駄にしないためにも、せめて「採用は日本国籍の人のみ」と限定するよう心掛けるべき。それが保証されないなら、マイナ保険証はやはり怖いというほかない。

(朝比奈ゆかり/エトセトラ)

画像および参考:

『TBS NEWS DIG』【速報】都パスポートセンター 受付担当の中国人元従業員を書類送検 個人情報の付箋盗んだ疑い 東京都は1920人分持ち出しと発表

『朝日新聞』都パスポートセンターで情報流出1920人分 中国籍の元職員関与か

『DIAMOND Online』中国籍のパスポートセンター職員が「1920人分」個人情報持ち出しか、スパイ防止法があれば事件は防げた?

『読売新聞』パスポートセンター元職員、個人情報記載の付箋紙盗んだ疑いで書類送検…1920人分持ち出しか

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