悠仁さま東大進学ならこの苦痛に耐えられるのか 「科学研究における行動規範」「研究倫理綱領」を受講することに

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本日4月12日、東京大学は新入生さんのための入学式を日本武道館で開催したという。皆さま、本当におめでとうございます!

来年の春は、もしかすると秋篠宮家の長男・悠仁さまもその中に…? 実は数日前、東大のある研究室に秘書として勤務されている方からメールを頂戴した。そこにあった「この学内でまじめに研究している学生、研究者はみんな倫理を守って頑張っているのです。秋篠宮家の人々は、そのアカデミアのルールすら壊していくのでしょうか」という一文がとても印象的だった。



新しく東大に入られた学生さんたちは、そもそも非常に優秀で、誠実で責任感のある研究活動と不正のない論文の執筆が、キャリア形成のためにどれほど重要かをご存じだろう。それでもなお、東大は不正論文撲滅のための指導を徹底して行うそうだ。

論文には筆頭著者および共著者、そして指導者や査読者がいる。東大では学生や教員ばかりか関係する職員もそうしたプログラムを受講するといい、メールを下さった方も、毎年オンラインで「研究倫理教育」を受講していらっしゃるという。

専門家を迎えてのセミナーも含め、さまざまな講習会があるようだが、ここでは同大学の資料から以下のものを紹介させていただくことにした。

 

◆研究倫理:捏造・改ざん・盗用は厳禁

研究活動における3つの不正行為「FFP」。捏造(Fabrication)、改ざん(Falsification)、盗用(Plagiarism)により、著者はあっけなくキャリアと学位を失い、指導教員や関係者に多大な迷惑をかけることになる。

研究者のご法度な行為「FFP=捏造・改ざん・盗用」について(画像は『東京大学』PDFのスクリーンショット)
研究者のご法度な行為「FFP=捏造・改ざん・盗用」について(画像は『東京大学』PDFのスクリーンショット)

 

もしも悠仁さまが東大にご入学なら、他の学生とともに当然こうした説明を受けることになる。小笠原作文やトンボ論文におけるトラブルは、すでに多くの学生さんがご存じであろう。そんな状況下で、皮肉な言葉が満載のこの研究倫理の講習を受けるというのも、ちょっと残酷かもしれない。

 

◆「科学研究における行動規範」

こちらは、平成18年3月に東大の教育研究評議会が了承し、続いて役員会で議決されたという『東京大学の科学研究における行動規範』。今も変わらず、こちらを用いた指導が行われているそうだ。

内容がPDFで公開されているので、そのままをお伝えしてみるとーー。

1  科学研究は、人類の幸福と社会の発展のために欠くべからざる活動である。

科学研究の成果は公開されることにより研究者相互の厳密な評価と批判にさらされ、それに耐え抜いた知識が人類共有の財産として蓄積され活用される。

 

科学研究に携わる者は、この仕組みのもとで人類社会に貢献する責務を負っており、またそれを誇りとしている。この科学者コミュニティの一員として、研究活動について透明性と説明性を自律的に保証することに、高い倫理観をもって努めることは当然である。

 

2  科学研究における不正行為は、こうした研究者の基本的な行動規準に真っ向から反するものである。

のみならず、研究者の活動の場である大学に対する社会の信頼をいちじるしく損ない、ひいては科学の発展を阻害する危険をもたらす。それは、科学研究の本質そのものを否定し、その基盤を脅かす、人類に対する重大な背信行為である。

 

それゆえ、科学研究を行うにあたっては、捏造、改ざん、盗用を行わないことはもとより、広く社会や科学者コミュニティによる評価と批判を可能とするために、その科学的根拠を透明にしなければならない。科学研究に携わる者は、実験・観測等の実施者、共同研究者、研究グループの責任者など立場のいかんを問わず、説明責任を果たすための具体的な措置をとらなければならない。

 

3  科学研究に携わる者の責任は、負託された研究費の適正使用の観点からも重要である。

大学における科学研究を有形無形に支える無数の人々に思いをいたし、十分な説明責任を果たすことにより研究成果の客観性や実証性を保証していくことは、研究活動の当然の前提であり、それなしには研究の自由はありない。その責任を果たすことによってこそ、東京大学において科学研究に携わる者としての基本的な資格を備えることができる。



<行動規範及び規則制定にあたっての総長声明>

 

科学研究は、人類が未踏の領域に挑戦して知の拡大をはかり、その成果を人類全体が共有して社会に還元することを目的とする活動である。科学研究において研究者は、科学的手法を用いた研究によって得られた知識を学術論文として公知のものとし、人類共有の資産として蓄積していく。それらの知識は、客性や実証性に裏付けられたものであり、同時代もしくは後代の研究者による追試や評価を可能とするものであるがゆえに、その科学的根拠を科学者コミュニティが自ら保証するものである。

 

近代科学の歴史の中で人類が築いて来たこの科学研究の作法にしたがって行動することは、研究者の活動の自明の前提であり、現代においても研究者の基本的な行動規準である。また、今日のように、科学研究が細分化し専門化する状況の中においては、研究者がこうした行動規準を確実に遵守していることを、より積極的に社会に説明することが求められる。東京大学は大学憲章において研究の説明責任の重要さを掲げており、東京大学において科学研究に携わる者はそれを当然の原理としてきている。

 

しかしながら近時、この自明のはずの研究作法が遵守されていないのではないかという疑いをよぶ事態が生じていることは、まことに遺憾であると言わなければならない。大学は、科学研究を行うとともにそれを次世代に伝えるという教育機関としての責務を負っており、研究にあたっての行動規準は学問の自由と一体のものとして、きわめて厳格に遵守されなければならない。この規準に対する違反は大学の存立の根幹を脅かす重大な行為であり、大学がそうした違反を防止するための自律的な取組みを責任をもって行うことは、大学の自治の一部である。

 

そこで、このたび、東京大学として、科学研究の基本的な作法を行動規範として再確認するとともに、この行動規範を大学が自ら担保するための委員会制度を規則として定めることとした。こうした行動規範は、東京大学で科学研究に携わる者すべてが当然に血肉化しているはずのものであるが、万一の違反行為に対していっそう厳正かつ確実な対応が行われるようにすることが、あえてここに明文化することの目的である。

 

今後、研究費の獲得をめぐる競争が激しくなる中でも、科学研究の原点に対する意識をたえず喚起し、研究者が相互に忌憚なく論じ合える風通しのよい研究環境を整えることによって、東京大学における科学研究の質をさらに高めていくことに努めたいと考えている。

 

国語の成績が…という話がある悠仁さまゆえ、やや難しい言葉が並ぶこの総長声明に「ふわわわぁ~っ」とあくびの1つも出てしまうのではないだろうか。

 

◆理学系研究科のための「研究倫理綱領」

東京大学大学院理学系研究科・理学部は、大学院理学系研究科・理学部憲章に定める精神に則り、 自然界の普遍的真理を解明し、 豊かで平和な人類の未来社会を切り拓く先端的な理学の教育・研究を推進することを目指している。

 

すべての構成員は、憲章の理念のもとに、高い志を持って、教育と研究に臨まなければならない。 以下に示す、研究倫理綱領は、理学系研究科・理学部の構成員たる教員、職員、学生、研究員、研究生等が、 その教育・研究にあたり認識すべき考え方と遵守すべき基本的指針を示したものである。

 

これらは、理学系研究科・理学部で行われる教育活動(学生実験・演習・実習など)と 研究活動(理論・実験・観測研究など)のすべてに適用される。

 

1. 研究における誠実さ
科学の研究は、論理的思考と、自然と真摯に向き合う精神をもって行わなければならない。 自然界の真理を解明するには、実験や観測のデザイン、データの解析、結果の解釈において、 自らの先入観や偏見をできるかぎり排除し、研究対象に誠実かつ客観的に向き合わなければならない。

 

データのねつ造や改ざんのみならず、他者のアイデア、データ、研究成果の盗用は、 真理の解明を目指す科学者としての精神に反する行為であり、許されない。 研究が誠実に行われたかどうかについての説明責任は、その研究を行った個人にあり、 研究の目的、手段、経過、結果とその解釈のいずれについても、詐称や虚偽は許されない。

 

研究は、そのすべての段階について、事実に基づいた客観的な説明ができるものでなければならない。 研究活動のみでなく、教育活動においても同様の精神をもって臨まなければならない。

 

2. 研究の独創性
科学の研究において最も尊重されるべきことは、独創性である。 個々の独創的な研究が蓄積され、それらが人類共有の知的な財産として後世に残されることが、 自然界の真理の解明につながる。

 

したがって、研究者は、自らの研究とその背景となった他者の研究成果や過去の知的財産との関係を 正しく把握・認識し、自らの研究の独創性を客観的かつ正確に示せるよう努めなければならない。

 

3. 研究の経過と結果の正確な記録
研究が誠実に行われたことを示す最も有効な手段は、 研究のすべての段階において可能な限り正確な客観性のある記録を残すことである。

 

特に、結果の正当性や再現性を証明することができるデータ、研究手法・経過を記録した研究ノート、 さらに研究によっては、研究に使用した試薬や試料などを保存しなければならない。

 

独創的研究による結果や発見は、他者による検証に耐えてはじめて、自然界の真理として成立する。 得られた結果が再現可能なように、研究の経過と結果を正確に表現し保存することは科学研究者の義務である。

 

4. 責任ある公表
研究成果を報告書や論文(卒業論文、修士・博士論文、学術雑誌への投稿論文)、 あるいは講演として公表することは、その研究成果の独創性と意義とを正確に伝え、 研究成果についての評価を確立するために不可欠である。

 

この活動は、人類共有の知的財産や文化の蓄積としての貢献のみならず、研究を支える国民への発信、 広く社会への研究成果の還元へと発展する。研究を行った者は、研究の誠実性、客観性、正確性、他者の研究の正当な引用、 知的財産の尊重などに十分配慮した公表を行い、公表内容に対し説明責任を負わなければならない。

 

公表内容に誤りがあることが明らかになった場合には、その修正を公表すべきである。 また、過去に公表した研究結果を新しい結果として再び公表するなどの虚偽行為は許されない。

 

5. 共同研究者としての責任
共同研究あるいはグループ研究においては、個々の研究者が、 共同研究者やグループ構成員の研究倫理の遵守に対して連帯責任を負わなければならない。

 

6. 教員の責任
教員には、学生が研究倫理に則った独創的研究が行えるように、理念を伝え、方法論や手段を指導する責任がある。また、教員には、研究室等の自らが属する研究グループの構成員の研究倫理保持に努める義務がある。 教員は、高い倫理性が保たれた研究活動が行われるよう、 教育・研究の指導者あるいは責任者としての責任を果たさなくてはならない。

 

(平成22年9月15日 に理学系研究科教授会が制定)



◆まとめ:どんな形であっても入学には反対!

筆者はこれまで、時々だが「皇室特別枠でのご入学で、通学もゼミも試験も不要。名誉学士号を即日発行していただければ」などと書いてきたが、それでは周囲の士気が萎えてしまう。実力が伴わないなら、やはり東大へのご入学には反対と申し上げたい。

「東大が秋篠宮夫妻から破格の寄付金を受け取っていたなら、入学させるしかないのでは?」と言う方もいらっしゃるが、そんな必要もないだろう。何しろその原資は国民が納めた税金である。医学など人々に大きく寄与する分野の優れた研究費用に充てていただければ、それでよいのではないかと筆者は思う。

(朝比奈ゆかり/エトセトラ)

画像および参考:

『東京大学』東京大学の科学研究における行動規範

『東京大学』研究倫理

『東京大学』研究評価に関するサンフランシスコ宣言(DORA)への署名について

『東京大学』研究倫理綱領