【皇室、徒然なるままに】第5話 宮内庁広報室がやるべきこと・前編 西村泰一

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あまりにも事実と異なる報道がなされら、正確な事実関係を指摘するとある(画像は『宮内庁』のスクリーンショット)
あまりにも事実と異なる報道がなされたら、正確な事実関係を指摘するとある(画像は『宮内庁』のスクリーンショット)

 

宮内庁はこの4月から広報室を立ち上げ、こう伝えています。

最近の報道の中には,事実と異なる記事や誤った事実を前提にして書かれた記事が多々見られます。このことにより,事実でないことが事実として受け止められ,広く社会一般に誤った認識が生ずることが懸念されます。このため,あまりにも事実と異なる報道がなされたり,更にはその誤った報道を前提として議論が展開されているような場合には,必要に応じ宮内庁として,正確な事実関係を指摘することといたしました。

これは大歓迎です。虚偽の報道は排除されるべきです。小室眞子さんの結婚騒ぎ以来、秋篠宮家およびその周辺に対する批判が激しくなっていることは事実です。そこに紛れて事実でもなんでもなく、単なる誹謗中傷の類にすぎない「攻撃」が含まれていることが間々あり、これは大きな問題です。



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まず “報道” と言う言葉で、週刊誌や新聞のようなメディアをお考えのように見受けられますが、情報の拡散の主流は、今はインターネットに移りつつあります。その意味では徐々にインターネットも対象に加わるのではないでしょうか。

今、インターネットで拡散されている情報のひとつに、「秋篠宮さまは上皇さまの実子ではないのでは」というのがあります。論拠としておられるのは、おふたりの容姿があまりにも似ていないということのようで、本当の父親としてAnz氏、Iri氏という2人の男性が取り沙汰されているようです。

私も写真を拝見してみたのですが、Iri氏があまりにもよく似ているので、正直驚いているところです。ただ、それだけで結論めいたことをいうのは、軽率の謗りを逃れられません。同時に今は、すこぶる信頼できるDNA鑑定という手法がありますので、それで白黒をはっきりつけていただくのが賢明かと存じます。

特に、男系男子で皇位継承をということで、秋篠宮さまが皇嗣を名乗っておられるため、この点に関する疑義が払拭されない状態に留めおくのは、天皇制の根幹にかかわる由々しき事態かと思われます。



 

次に、天皇家ともゆかりのある鵜飼の屋形船を運営する会社の前社長が、使途不明金に関して訴えられた嵐山通船事件について、今年2月に『日刊サイゾー』さんが掲載した記事を見てみましょう。

その裁判の過程で、前社長のXが、「秋篠宮の側近から100万円を要求され渡した」と証言したと、文春が報じているのである。一民間企業の経営者から多額の金銭が、その側近を経由して秋篠宮に渡っていたとすれば、秋篠宮家の家名に傷がつきかねない。経緯を見てみよう。

 

この側近というのは奥野卓司で、文化人類学者で、公益財団法人「山階鳥類研究所」の所長も務めていた。ここは昭和天皇のいとこで鳥類学者の山階芳麿が1932年に設立した「山階家鳥類標本館」が前身だった。秋篠宮は、20歳になって初めて、公的な肩書として就任したのが、この研究所の総裁だったそうだ。

 

(中略)

 

X前社長がいた「嵐山通船」(京都市右京区)は創業1909年という老舗で、船頭たちが主な株主で、記念の売上高は1500万円前後で推移していたという。Xが社長に就任したのは2017年1月だが、この年、感染症の流行で10羽以上の鵜が病死してしまったそうだ。

 

窮状を聞きつけた地元の宮司が奥野をX社長に紹介したという。2人は、感染症対策を強化した新しい鵜小屋の建設と、鵜飼文化の振興を目的に2018年2月に、一般社団法人「嵐山鵜飼観光文化振興協会」を立ち上げ、奥野氏は副理事長から、翌年に代表理事になった。 2018年秋には鵜飼協会も京都府の許可を受け、鵜小屋の建設もスタートしたそうだ。

 

順風かと思われた「嵐山通船」だったが、経営に異変が起きていたと現社長の小島義伸がこういう。

 

「それまでは安定して黒字の会社やったんです。けど、Xさんが社長に就任してから突然赤字に転落した。十九年に純損失が二千五百五十万円に膨らみ、翌二十年には累積赤字が四千万円に積み上がっていた。株主総会で支出の内訳を見たら、以前は年百万円程度だった『交際費』が、五百万円前後まで急増していた。株主からも批判が噴出したんです」

 

結局、Xは2000年4月に解任された。だが、金庫にも通帳にも一銭もなく、新しい鵜小屋の建設費1億円超を会社の不動産を担保に借りていたため、銀行から「このままだと取引を中止する」といわれ、Xを京都地裁に訴えることにしたというのである。

 

(中略)

 

「帳簿で目立つのは、奥野氏に対する多額の支出だ。視察旅行などの旅費や飲食費に加え、奥野氏が鵜飼協会の副理事長だった十八年四月から十九年三月まで、毎月二十万円を『奥野卓司 鵜飼研究費』などの名目で支出したとされている」(文春)

 

(中略)

 

これだけではなく、「店C 紀子妃殿下お土産5/12 18519円」「店D 悠仁親王プレゼント 5/18 37038円」、さらに「11/20 店D 秋篠宮様プレゼント(鵜飼船箱入り)18408円」というものまであるというのだ。その上、2018年の帳簿には「5月28日 秋篠宮様へ 1000000円」と記されているというのである。

 

これについてXは、準備書面でこう主張しているという。

 

「一社(鵜飼協会)の名誉顧問に秋篠宮に就任頂く計画があり、サミット前に奥野氏に現金百万円を渡した。奥野から『秋篠宮殿下に百万円を渡したほうがいい』とのアドバイスがあったからである」

 

サミットとは、2019年9月に嵐山で13年ぶりに開催された「全国鵜飼サミット」のことで、裁判で原告側の代理人が、「サミットに来てもらうためのというお話だったんですね」と尋ねると、Xは「そうです」と認めているという。

 

*『使途不明金で裁判中の元社長「秋篠宮の側近から100万円を…」』より引用

 

 

ここで言われている裁判は、3月中旬に京都地裁で原告勝訴の判決が出ています。嵐山通船の前社長は、請求があった1,100万円のうち約944万円の賠償を命じられました。ただ前社長は、一審の判決は不服だとして大阪高裁に控訴しています。

特に問題となるのは、帳簿上は秋篠宮に支払われたという100万円です。それが本当に秋篠宮に渡ったかどうかは現時点では不明ですが、嵐山通船の前社長はその100万円を、山階鳥類研究所の当時の所長で、秋篠宮の側近中の側近である奥野氏に支払ったことは間違いないでしょう。

こうした経緯に鑑み、広報室を通してどうのこうのというより、秋篠宮自身が「菊のカーテン」の向こう側に隠れていないで記者会見を開き、ちゃんと説明することを求められている話と思われます。

 

新しい鵜小屋を建設したり、よく経緯がわからないまま、鵜飼文化の振興を目的にした「嵐山鵜飼観光文化振興協会」を立ち上げることになり、嵐山通船は会社の不動産を担保に入れて借金をし、1億円を超える負債を抱えてしまいました。一方で事件のあちこちに、陰に陽に、秋篠宮という皇族の名前が見え隠れするのです。

このあたりについては、第一級のジャーナリストである篠原常一郎さんが、とても熱心にお調べになって詳しい情報を発信されているので、そちらを御覧ください。

嵐山通船事件というのは氷山の一角で、この裁判で問題となった1,100万円に限られる話ではないかもしれない ― そう思う国民は大勢いるのではないでしょうか。秋篠宮が行くべき晴れ舞台は、5月6日の英国の新国王の戴冠式なんかではなくて、まさにこの記者会見の場なのだと思います。

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そういえば、『Newsweek』さんが興味深い話を伝えていました。5月6日の戴冠式を待つイギリスのチャールズ国王とカミラ王妃について、オーストラリアのサイモン・ドランテ・デイさんという男性が「自分はおふたりの隠し子です」と名乗りを上げ、写真3枚を公開したのです。

国民の間から「DNA鑑定を」と求める声が上がりましたが、チャールズ国王夫妻はそれを拒否しているそうです。違うという自信がおありなら、騒動を鎮めるためにもDNA鑑定に応じればよいと思うのですが。

もっともDNA鑑定というのも、差し替えやデータの捏造を避けるため、検査は信頼できる海外の検査機関にゆだね、サンプル採取から判定まで状況をリアルタイムに公開し続けるなど、工夫が必要かもしれません。

 

【皇室、徒然なるままに】第6話 宮内庁広報室がやるべきこと《後編》も、ご期待ください。

(理学博士:西村泰一/編集:エトセトラ)

 

★ここでちょっと西村先生のデザイン画を紹介★

2009年の作品『Born in this Planet』 2009年10月19日から25日まで、ギャラリー八重洲にて展示された
2009年の作品『Born in this Planet』 2009年10月19日から25日まで、ギャラリー八重洲にて展示された

【解説】
現在の宇宙が誕生してから約137億年、地球の誕生は太陽系の誕生と同じ頃で約46億年前のことである。生命と呼べるものが地球に誕生するのは約40億年前で先カンブリア時代の話である。それ以後生物の大量絶滅は少なくとも7回起きている。

最初の大量絶滅は先カンブリア時代と古生代の境目付近で見られ、超大陸の形成と分裂が原因と推定されている。この大量絶滅の後に三葉虫のような硬骨格をもった生物が出現している。この三葉虫は今から約4.35億年前のオルドビス紀末の大量絶滅で半減し、すべての生物種の85%が絶滅したと言われている。

次の大量絶滅はデボン紀末で約3.6億年前のことである。この時もすべての生物種の8割以上が死滅している。次の大量絶滅はペルム紀末のことで、約2.5億年前のことである。全生物種の9割以上が死滅し、古生代を通じて繁栄した三葉虫もこの時に死滅している。

次の大量絶滅は三畳紀末で2億年ちょっと昔の話である。全生物の7割以上が死滅したと推測され、これ以後恐竜が急速に発展していく。その恐竜も、約6500万年前の白亜紀末の大量絶滅で消滅している。この時、全生物種の7割が死滅したと言われている。この後哺乳類が多様化し、ほどなく霊長類も出現する。そして一番怖いのは現在進行中の大量絶滅で、死滅する生物のなかに人類が含まれないことを祈るばかりである。

☆☆☆ この作品では、美しくも壊れやすい地球をシャボン玉で表現してみた。それを眺めているのは、地球に生存する生物を代表して、我が家の箱入り娘の猫のDetelinkaである。彼女は何を考えているのだろうか?

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【西村先生のご経歴】
1966年4月ー1972年3月  洛星中高等学校
1972年4月ー1976年3月  京都大学理学部
1976年4月ー1979年10月 京都大学大学院数理解析専攻
1979年11月ー1986年3月 京都大学附置数理解析研究所
1986年4月ー2019年3月  筑波大学(数学)

画像および参考:
『宮内庁』皇室関連報道について

『日刊サイゾー』宝塚の壮絶イジメの“文春砲”第3弾、他スクープ14本

『MBS NEWS』日本有数の観光名所に『2年間放置の謎の小屋』計画途中で法人解散”宙ぶらりん”…元理事を直撃「もうなんとも言えない」

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