国連・女性差別撤廃委員会の「皇室典範」男女差別批判 これが内政干渉なら旧統一教会の過激な記事は?

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日本の皇位継承・皇室典範について、明治時代に伊藤博文の下にいた男尊女卑のキカナイ法務官僚のせいで、なぜか「天皇は男系男子が継ぐ」と決められてしまったことを、先の記事でお伝えした。

そんな中で18日、時事通信社ほか複数のメディアが国連・女性差別撤廃委(略称:CEDAW/本拠地:ニューヨーク)が対日審査で夫婦別姓と皇室典範に言及したことを伝え、大きな反響を呼んでいる。これに男系男子派インフルエンサーたちは、SNSなどで「とんだ内政干渉だ!」と激怒している様子だが…。



 

◆国連・女性差別撤廃委員会は日本について

女性差別撤廃条約は国連総会が1979年に採択し、1980年に日本政府が条約に署名していたもの。2020年3月、女性差別撤廃委員会が日本政府につきつけた「事前質問票」の内容は、以下の通りである。

【主な指摘事項】

皇室典範(女性による皇位の継承について)

 

 民法(選択的夫婦別姓の導入。再婚禁止期間の撤廃)(離婚の際の財産分与・養育費の確保。出生届の記載を含む婚外子への差別撤廃)

 

 刑法(性暴力犯罪を被害者視点で見直す)

 

 刑法・母体保護法(堕胎罪の撤廃を含む安全な中絶へのアクセス)

 

 労働法・均等法(同一価値労働同一賃金。セクシュアルハラスメントの禁止)

 

 税法(家族労働に関する所得税法の改正)

 

 年金法制(高齢女性のための最低所得補償)

 

 社会的給付(災害時の弔慰金など)からの間接差別の撤廃

 

◆日本の政府関係者は「国民の支持を得ている」と

その国連・女性差別撤廃委員会は10月17日、スイス・ジュネーブで日本の女性政策を審査する会合を8年ぶりに開き、委員からは「選択的夫婦別姓」「皇室典範」に関して意見が交わされたという。男女差別のない平等な内容に改正されるよう、近く改善勧告を含む報告書を公表するそうだ。

「男系男子のみに皇位継承を認める」と定めている皇室典範について、日本の政府担当者から「歴史や伝統を背景に国民の支持を得て今日に至っている」と説明された議長は、「差別的な法律のある全ての国に質問しているだけだ」として、同委で扱うことは不適切という主張には異議を唱えたという。



◆「とんだ内政干渉だ!」と男系男子派 

これに対して男系男子派のインフルエンサー、例えば世良公則さんなどがX(Twitter)で「とんだ内政干渉だ」などと激怒していることがわかった。概して「伝統と歴史を重んじてきた日本の継承問題に、海外からああだこうだと言われたくない。腹が立つ」といった感じだ。

それでは今上派のこちらとしても、一言申し上げてみたい。韓国が発祥の旧・統一教会が、機関紙『世界日報』を通じて男系男子論を押し付けていたことも、同様にかなり不快であった。彼らはこんな記事を出していたのだ。

『世界日報』【社説】皇位の安定継承 「男系男子」を揺るがすな(2024年5月13日)

『世界日報』「皇位」の安定継承 「女帝論」は順位を乱す(2022年1月29日)

『世界日報』リベラル紙が固執する女性・女系推進論は「もうひとつの天皇廃止論」( 2022年1月18日)

『世界日報』【社説】皇位安定継承 皇族数確保は「皇統」前提に(2024年5月22日)

 

特に、2022年1月の記事『リベラル紙が固執する女性・女系推進論は「もうひとつの天皇廃止論」』について。「今上天皇の次は、陛下のなさりようから自然に帝王学を学ばれた敬宮愛子天皇を」と望むと、なぜ天皇廃止論者にされてしまうのか。その発想の乱暴さには驚くばかりだ。

「二重橋を破壊し、裕仁天皇を暗殺する」などという恐ろしい言葉を放つ皇室破壊論者だったと報じられたのは、むしろ旧統一教会の教祖・文鮮明(故人)である。その影響力を思い切り受けている機関紙が、「男系男子、秋篠宮家に皇統を移すように」と推していることの方が不思議でならない。

 

◆まとめ:政府が男尊女卑だから

人権ライブラリー/人権教育啓発推進センターがPDFで発表した『女性の人権をめぐる今日の課題』のうち、G7比較・ジェンダーギャップ指数(世界経済フォーラム)』を見て見ると、2006年には146位中79位だった日本は、2022年にはなんと116位にまで転落している。

 

日本のジェンダーギャップ指数はここまで低い 2006年の79位よりさらにぐんと下がってしまった(画像は『 』のスクリーンショット)
日本のジェンダーギャップ指数はここまで低い 2006年の79位よりさらにぐんと下がってしまった(画像は『人権ライブラリー』のスクリーンショット)

 

2006年といえば、第1次安倍内閣が発足した年である。その後、不穏な力に支配されるようになった政府のせいで、日本は国力、経済力、国民の幸せ度ほか、何もかもズルズルと下落していった。こんなになってしまった国を立て直すのに、もはや男系男子論など何の意味も持たないだろう。

(朝比奈ゆかり/エトセトラ)


画像および参考:
『時事通信社』夫婦別姓、皇室典範に言及 女性差別撤廃委が対日審査―国連 2024年10月18日

『東京新聞』日本の女性政策が変わるきっかけになる? 10月に「国連審査」 別姓導入を求める団体が期待する「強い勧告」

『世界日報』【社説】皇位の安定継承 「男系男子」を揺るがすな (2024年5月13日)

『人権ライブラリー』女性の人権をめぐる今日の課題

『世界日報』「皇位」の安定継承 「女帝論」は順位を乱す (2022年1月29日)

『世界日報』リベラル紙が固執する女性・女系推進論は「もうひとつの天皇廃止論」( 2022年1月18日)

『世界日報』【社説】皇位安定継承 皇族数確保は「皇統」前提に(2024年5月22日)

『YouTube』「日本はとんでもない間違いをした」岸信介、安倍晋太郎、安倍晋三…3代続く関係性から見える旧統一教会が目指した“国家宗教”【報道特集】|TBS NEWS DIG

『エトセトラ・ジャパン』「天皇家は2600年以上も男系男子」に騙されないで《その4》 男系男子を定めた明治の官僚は娘ばかり3人で長女に婿養子!

『エトセトラ・ジャパン』旧・統一教会系新聞が「皇統は男系男子・悠仁さまへ」と 皇室破壊論者だった亡き教祖の遺志?

2件のコメント

  • いろいろな物が値上がりしていて、特にご家族の多いご家庭は毎日のやりくりに大変だろうと思います。
    買えば買うほど払わなければならない消費税。
    こんな国民の苦しさを思いやるどころか、自分達の懐は痛まない贅沢三昧のA宮家。
    イギリスのエリザベス女王が国民に慕われた上、立派な直系長子が維持されているのに日本はなんで男系男子にこだわるのか…。
    今上両陛下のもとで帝王教育を自然と身に付けられた敬宮愛子内親王さまの素晴らしさは一目瞭然ではないですか‼️
    昔流行った「遠い世界に」の歌詞で「雲に隠れた小さな星は これが日本だ 私の国だ」と言う大好きな曲があります。
    この誇れる大好きな日本の中心人物が将来あのA宮家では絶望しかありません‼️

  • 小林よしのり氏 本当の保守は“女性・女系天皇”の道を拓くべき「“男系闇堕ち”した石破首相はエセ保守と変わらない」

    2024/10/20 NEWSポストセブン

    上記文言で検索を、、

    >来る総選挙は、自民党総裁の石破茂首相と野党第一党・立憲民主党の野田佳彦代表がともに「保守」を自任する政治家としてぶつかり合う。だがこの2人、果たして“本物の保守”なのか。漫画家の小林よしのり氏が、石破首相について分析する。

     * * *
     わしはずいぶん早くから、石破氏には期待をかけていたんだよ。安倍晋三的なネトウヨ議員ではないと思っていたからね。

     本当の保守であれば、日本の皇統を守るためには「女性・女系天皇」の道を拓かなければならない。旧宮家系の男系男子で皇族になってもいいという者はいないんだから、何もしなければ皇統が絶えてしまう

    それなのに、安倍氏に影響された議員たちは、「女系反対」「絶対男系だ」とネトウヨの望むことばかり言って、人気を得ようとしている。高市早苗氏もそうだ。自民党内全部がネトウヨ化しちゃったなかで、石破氏はそうではないとわしは思っていた。

     ところが、彼は自民党総裁選で推薦人20人を集めるのに長島昭久氏ら男系固執議員の推薦を取り付けて、ようやく出馬にこぎつけた。長島氏は、石破氏を支持するにあたって「皇位の男系継承堅持をご本人に確認して決断」したとX(旧ツイッター)で明かしている。その言葉通りに石破氏は、総裁選出馬表明後は「悠仁さままでの継承は決してゆるがせにしてはならない」と繰り返し、ついには女系天皇に関して、「容認するとは言っていない」とまで明言した。男系固執議員に大きな「借り」ができて、完全に“男系闇堕ち”したのだ。
      
       (以下本文で)

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