そうまでして「感動的なシーン」が必要か 子供たちが気の毒で涙が出る上皇后さまのチャリティーコンサート鑑賞
今月4日夕、東京・渋谷区のオーチャードホールで小児がんなどの病気と闘う子どもと支える家族を応援するチャリティーコンサートが開催され、そこに上皇后美智子さまが出席された。ただし、日テレNEWSがその話題を動画で報じると「子供たちがあまりにも気の毒」と言う人が続出。筆者も、かわいそうで涙が出そうになった1人だ。
1996年に始まったというそのコンサート。今回のタイトルは『谷村新司プレミアムコンサート 生きる2022~小児がんなど病気と闘う子どもたちとともに~』と決まり、会場には小児がんと闘っている子供たち、がんサバイバー、重い病の経験がある子供たちやその家族ら約1,100人が招待された。
上皇后美智子さまはコロナ禍でこれまで自粛が続いていたが、今回は3年ぶりにそのコンサートを鑑賞。おひとりで訪れ、谷村新司さんらの歌を拍手とともに楽しんでおられたという。
問題はその前後だ。体力のない子供たちが大勢いるというのに、基本的に立てる子供は立って上皇后さまの入場を拍手で迎えたとのこと。さらに、コンサートが終わったときの映像がこちら。あまりにも気の毒で涙が出てきた。
この皆さんは、上皇后さまの「おことば」を受けながらお見送りをするという名目で、どれほど前からこのように立って待っていたのだろう。携帯の酸素ボンベが脇にあり、まっすぐに立っているのがつらそうなお子さんもいるではないか。
こういうお姿は、世間に「慈しみの心でチャリティー活動に高い関心を寄せられる上皇后さま」という印象を与えるのだろう。だが、その慈善活動は誰のためのもので、主役は誰なのかを考えると、このような特別な登場人物を迎える演出は必要なのだろうか。
さらに、その皇族が鑑賞することでイベントとしての成功・収益につながるのか、主催者も宮内庁もしっかりと考えてみていただきたい。ただではないお衣装・小物代、警備費、確保するべき周囲の空席のことを思うと、そのお金をむしろ小児がん研究機関に寄付するという手もあるのにと筆者は思う。
とはいえ、上皇后さまにコンサートを鑑賞したい、国民とのふれあいを持ちたいというお気持ちがおありなのは、心身ともに健康な証拠。何より喜ぶべきことなのだろう。
画像および参考:
『日テレNEWS』上皇后さま チャリティーコンサート鑑賞
(朝比奈ゆかり/エトセトラ)