オオアオイトトンボにクロスジギンヤンマも…Google Earth Proに見るトンボ論文の矛盾 「悠仁さまのトンボ愛は本物なのか」

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1ヶ月ちょっと前、悠仁さまが筆頭著者を務めたトンボ論文のなかの写真19番「オツネントンボ」について、頸部に刺さった白い端子のようなモノ、そして腹の横に刺さった昆虫針のようなモノを発見された奈川県在住のHさん。Hさんは、実はこの論文の解説にもずっと矛盾を感じていたそうだ。

論文で強調されている「人の手による管理が行き届いたおかげで、赤坂御用地では前回の調査では確認できなかった種類を含め、38種ものトンボが確認された」という点。しかし実際は、宮邸改修・増築の大工事、池の浚渫工事のせいで、むしろトンボたちは追いやられていただろう。

もしも別の場所に幼虫を保護し、飼育を試みたのであれば、「悠仁さまは慈悲深い」アピールのためにもそう書きそうなものだが、そんな記載は見つかっていない。Hさんはそのあたりの真実を探るため、Google Earth Proを利用してみたそうだ。



Google Earth Proが提供してきた過去の写真を紐解きながら、秋篠宮邸周辺の変化の様子を説明してくださったHさん。トンボのための良好な生育環境がいとも簡単に、そして繰り返し破壊されてきたことが良く理解できた。

Hさんも筆者も、結論として感じるのは「人工の庭園なので時々工事があるのはやむを得ないこと。だが生息しているトンボへのケアがまるで感じられない。秋篠宮家、そして悠仁さまは本当にトンボを愛し、大切に感じていらっしゃるのだろうか」ということだった。

以下、Hさんからのメールをほぼ原文の通りご紹介させていただきたいと思う。

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2018年以降、毎年秋冬になると生息環境の平穏を乱される表町池のオオアオイトトンボたち。それでも彼らにとって、この池が「主要な発生地」であり続けたのだろうか…。

私がそう感じたのは、浚渫工事で影響を受けたと論文にあったトンボたちについて調べてみた時、p.139にあったオオアオイトトンボの2つの写真、そしてp.151にあったオオアオイトトンボの考察が「ちょっと変だな」と思ったことがきっかけでした。

 

「オオアオイトトンボについては前回調査では,大池,中の池,菖蒲池と表町池で調査が行われたが確認されていない.これらの池では今回の調査で本種が確認されたが個体数が少なかった.」

 

「現在個体数が多い表町池も,前回調査の期間が,本種の羽化が終わった後で未成熟個体が水域を離れてしまっており…」

 

「今回の調査では成熟個体は主に菖蒲池で観察されている.成熟成虫が9月から10月の短い期間で少数のみ菖蒲池の周囲に出現する」

 

個体数は少ないのか多いのか、どっちなのか。また「成熟個体は主に菖蒲池で観察されている」としながら、2018年の写真は11月に表町池で撮影され、2022年10月の写真には防火水槽で集団で産卵と。写真と解説がどうにもチグハグで、私は表町池を含めた周辺の環境の変化を調べることにしました。

そして結果的に、宮内庁の発注で工事や樹木の伐採など人手が想像した以上に加わっていることがわかりました。オオアオイトトンボにとっては大きな影響があったはずなのに、論文でなぜそのことについて触れていないのでしょうか。

 

秋篠宮邸のすぐ南側にある表町池は、かつての調査で「御用地内の池の中では、小規模な水域であるが、秋篠宮邸池(表町池)の植生、付近の環境が特段に優れている」と評価されていました。

にもかかわらず、2021 年から2022年にかけて浚渫工事が行われました。クロスジギンヤンマの幼虫も被害を受けたことでしょうが、そのことは書いてありません。「トンボにとって最も良好な環境」といった評価に反するような工事が行われたことは、隠しておきたかったのでしょう。

 

さらに今回の論文では「15. ヤブヤンマPolycanthagyna melanictera」について、こういう記載もあります。

「表町池では,2019年まで薄暗い場所に静止している成虫や産卵,幼虫がよく観察でき,黄昏飛翔も池周辺でみることができたが,池の東側を覆っていた樹木の伐採により池が明るくなり,2020年以降は個体数が減った.

 

国立科学博物館の刊行物で、斉藤 洋一氏、大和田 守氏、加藤 俊一氏による『皇居のトンボ類モニタリング調査(2001-2005)』を確認したところ、p.389には「常盤松御用邸の池の改修工事の際、事前に池の中の幼虫を採集して避難させ、工事完了後に池に戻した」といったことが記されています。

このたびの論文にそういった記載がないところをみると、表町池の浚渫工事の前に、幼虫を保護するなどの対策をしたとは考えにくいと思います。なお、その工事については宮内庁がPDFで公開している資料も確認済みです。

秋篠宮邸庭園の池の工事は、令和3年12月28日から3ヶ月間にわたって行われた(画像は『宮内庁』のスクリーンショット)
秋篠宮邸庭園の池の工事は、令和3年12月28日から3ヶ月間にわたって行われた(画像は『宮内庁』のスクリーンショット)

秋篠宮邸庭園整備工事
工事概要:基盤整備,池護岸改修,池駆体改修,給排水設備改修,樹木手入,樹木伐採,樹木植栽,地被類植栽 各一式
工期:令和3年12月28日〜令和4年3月25日 (工期延長の変更あり 3月31日まで)

 

ここからは、Google Earth Proを使った表町池の衛星画像がメインとなります。複数回撮影されていますので、変化を見ることができます。いずれの写真も左が北、上が東、右が南、下が西です。写真の左側に秋篠宮邸がちょっとだけ見えます。

下は、3ヶ月続いた工事も終わりに近づいた2022年3月10日、そして工事直後の4月2日に撮影された表町池の写真(※1)を並べたものです。

 

3月10日の写真(左)では池の水が無い状態で、庭まで茶色なのはその後に芝張り工事が始まるからでしょう。芝張り工事の後も、芝生が根付くまでは庭に立ち入れなかったと思います。

4月2日の写真(右:Google Earth, Image ©️ 2024 Maxar Technologies)では池の色が変化しており、浚渫工事も済んで池全体に水が張られたことが分かります。

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浚渫だけではありません。2020年以降の表町池の変遷も興味深いものがありました。

まずは2020年2月8日に撮られた池の写真(左)、白い線で囲ったエリアBにご注目下さい。右の2021年4月7日には木が伐採されており、池は日陰を失ってしまったように見えます。

 

下はその2021年4月7日の写真を拡大したもので、ここからはエリアAの部分にご注目下さい。

 

2022年2月27日に撮影された写真(Google Earth, Image ©️ 2024 Airbus)です。写真が暗いのは、南側に建つビル群の影です。池の形がわかるように白い線で示しました。

重機を使ってどこかの土と石を掘り出したのでしょう。宮邸の庭に積み上げた状態で撮影されています。

 

それからほどなく、明るい写真が撮れた2022年3月10日、樹木で覆われていたエリアAが完全に消えていることがわかました。

庭に積まれた多数の石は、おそらく池の護岸用に使われのでしょう。

 

ここで気になったのは、2021年4月25日に表町池で撮影されたというp.142の49番の写真です。クロスジギンヤンマのメスは産卵中だったのではないでしょうか。そうなると、この池で当時クロスジギンヤンマのヤゴが越冬していた可能性がありそうです。

表町池でクロスジギンヤンマのメスは産卵していたようだ(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)
表町池でクロスジギンヤンマのメスは産卵していたようだ(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)

 

クロスジギンヤンマは1年1世代で、幼虫はその年の秋までに終齢になり,そのまま越冬して翌春羽化するそうです。しかし論文・写真49番のキャプションに「産卵」の文字が入っていないのが不思議です。

論文の写真49番クロスジギンヤンマのメス、表町池で産卵を撮影したのではなかったのか(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)
写真49番のクロスジギンヤンマのメスは、表町池で観察・撮影されたのでは?(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)

 

「個体数は表町池がとりわけ多く,2021 年には連結中の雌雄を記録した.」とありますが、にもかかわらず「産卵は,杏水田,大池,菖蒲池,大土橋池で観察した」とあります。写真とp.141「17. クロスジギンヤンマ」の説明を照らし合わせると、何とも奇妙です。

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私がさらに気になったのは、表町池に生息していたオオアオイトトンボが産んだ卵です。論文p.135の「4. オオアオイトトンボ」にはこうあります。

これらの中では表町池が最も個体数が多く,特に池の東側の薄暗いところでよく見つかり,主要な発生地であると考えられる

 

2020年2月8日に撮られた写真を、もう1度ご覧ください。確かに池の東側(上)は、エリアBの木々のおかげで日陰ができていました。

 

ここにあった枝には、オオアオイトトンボの越冬中の卵が付いていたかもしれません。オオアオイトトンボは晩秋、池面に張り出した木の枝に産卵し、卵で越冬。春に孵化した幼虫が池の水面に落ちて成長します。繁殖活動は9月中旬から11月にかけて見られ、4〜5月に孵化するといわれています。

Google Earth Proで衛星写真を順に追ってみたところ、2020年4月8日時点でこのエリアBは存在していましたが、2020年の秋以降に伐採が行われたのか、2020年12月16日には消えていました。日陰を失ったせいで2021年に表町池で羽化したオオアオイトトンボの成虫が減少した可能性があります。

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それより前、2019年秋から2020年2月にかけても、池の東側に変化がありました。

2019年10月25日に撮られた池の写真(左)と2020年2月8日の写真(右)を比べてみました。すると、2019年10月25日には池(白い線)の東側にあった木CとDが、すっきりと伐採され2020年2月8日には地面が見えています。

おそらく2019年までの話ではないかと思いますが、p.133「10. 表町池」の説明においても、2021 年秋までの環境だとした上で、「池の東と西側は,マツ類やスダジイ,アオキなどに覆われ,1 年を通して暗く,特に夏期は終日暗い」とありました。

 

なお、この伐採については、埼玉県在住のSさんという方が考察された以前のブログ記事『悠仁さまはトンボ論文の筆頭著者ではない2大根拠 これにて “Q.E.D. 証明終了” か』で触れていた、「ヤブヤンマ」の説明にもつながります。

「表町池では,2019 年まで薄暗い場所に静止している成虫や産卵,幼虫がよく観察でき,黄昏飛翔も池周辺でみることができたが,池の東側を覆っていた樹木の伐採により池が明るくなり,2020年以降は個体数が減った.」

 

ところで、論文p,136-表1で、◎(幼虫または羽化殻を確認した種)が2021年はゼロだったのに、2022年になるといきなり◎だらけとなっています。

2021年にまるで確認されなかった幼虫または羽化殻が、2022年にはたくさん確認されたという(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)
2021年にまるで確認されなかった幼虫または羽化殻が、2022年にはたくさん確認されたという(画像は『J-Stage』のスクリーンショット)

 

表町池に注目すると、幼虫・産卵について「年」が書いてあるのは2019年以前の2種のみ。2020年以降の環境の変化はなるべく隠したかった、ということでしょうか。

 

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さらに、2018年から2019年にかけても大きな変化があったようです。

こちらは2019年3月14日の写真ですが、池の北東側の植栽がスカスカになっているではありませんか! 画像を拡大すると、細い枝が網のように張り出したまま残っていることもわかりました。

 

台風で倒れた樹木の始末やその他の手入れで2000万円かかることにも驚き(画像は『宮内庁』PDFのスクリーンショット)
台風で倒れた樹木の始末やその他の手入れで2000万円かかることにも驚くばかり(画像は『宮内庁』PDFのスクリーンショット)

 

2018年9月29日からの台風24号の被害で樹木が倒木し、撤去や伐採の工事があったのです。その時期はオオアオイトトンボが繁殖活動する時期と重なりますから、池面に垂れた枝にもオオアオイトトンボが産卵していたかもしれません。ただ、宮内庁の公開した資料を見る限り、孵化の時期が来る前にすべて撤去されてしまったように思います。

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以上が神奈川県在住のHさんから寄せられた考察である。

改めて筆者も、このたびのトンボ論文の最後となる「おわりに」に注目してみた。

「これらの環境の多くは野放しにされてきたわけではなく,人為的に管理されているものである.人の手が適度に加わって管理されてきたことが,トンボ類の種の多様性の維持に良い方向で影響を与えてきたことも示唆される」

 

「赤坂御用地内にはたとえ人為的要因であっても,多くのトンボ類を育むことができる多様な生息環境が保たれており,トンボ相の多様性を維持していく上で重要な役割を果たしているものと考えられる.」

 

悠仁さまがヤゴの飼育を頑張ったため、トンボたちの生息環境が良くなり絶滅危惧種まで発見され、一方、宮邸の大工事のトンボへの影響は殆どなかった、などという論文を仕上げたおつもりであろうが、矛盾や疑問を感じさせる点があまりにも多すぎる。

「人の手が加わった」にもいろいろある。Google Earth Proの画像を見る限り、池の浚渫工事や樹木の伐採で日陰を奪うなど、マイナスの意味の「人の手」こそかなり加わったと言えるのではないだろうか。

そこで、トンボ好きな悠仁さまが「工事なんてやめてよ。そこにはオオアオイトトンボの卵がいるんだ。大事な調査をしているんだよ!」となぜ言わなかったのだろう。表町池でグズグズ、ダラダラと続いた工事。悠仁さまは本当にトンボに夢中なのだろうか。

(朝比奈ゆかり/エトセトラ)

画像および参考:

『Google』Google Earth

『宮内庁』公共工事の入札・契約情報 令和3年度 指名競争 入札・契約調書 ― p.29〜p.30 秋篠宮邸庭園整備工事

『神戸のトンボ』 H004.オオアオイトトンボ Lestes temporalis

『神戸のトンボ』秋 金緑色に輝くイトトンボ

『特定非営利活動法人かわさき自然調査団』川崎の野生生物 オオアオイトトンボ

『エトセトラ・ジャパン』悠仁さまはトンボ論文の筆頭著者ではない2大根拠 これにて “Q.E.D. 証明終了” か

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