皇族と皇室の古美術品にぐいぐいと関わってくる外国人「C氏」と「A氏」 ふたりに共通する人脈について

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皇居・三の丸尚蔵館が傘下に加わることになった「国立文化財機構」(画像は『国立文化財機構』HPのスクリーンショット)
皇居・三の丸尚蔵館が傘下に加わることになった「国立文化財機構」(画像は『国立文化財機構』HPのスクリーンショット)

※ こちらは2022年4月~6月に執筆した複数の記事をまとめ、さらに加筆したものです。

小室眞子さんと皇室の古美術工芸品とメトロポリタン美術館。ここに関連している重要人物を考えてみたとき、デヴィッド・アトキンソン氏、ジョン・カーペンター氏という話題の外国人2名を結びつける点や人脈などはあるの?と思われる方もいらっしゃるだろう。今回はそのあたりを探っていくが、そこで注目したいのが「国立文化財機構」である。

 

◆国立文化財機構について

現在は建て替えのため休業している皇居・三の丸尚蔵館。再びオープンした際には、管理は宮内庁ではなく独立行政法人の「国立文化財機構」に移っている。ここは東京・京都・奈良・九州の4つの国立博物館などを運営してきたが、同機構ホームページの「令和3年度の決算書」によると、収入の合計は116億超。その殆どとなる90億円超は、国が交付する「運営費交付金」だといい、三の丸尚蔵館の参入でその金額はさらに増えるのかもしれない。

 

◆その理事長について

このたびの話題で注目したい人物は、その理事長である島谷弘幸氏だ。2017年10月から理事に就任し、昨年4月に理事長に昇格したといい、同機構のHPには「略歴表」「主要業績」の案内があった。九州国立博物館の館長も兼ねる多忙ぶりだ。

公開されている島谷氏の略歴書(画像は『人国立文化財機構』のスクリーンショット)
公開されている島谷氏の略歴書(画像は『人国立文化財機構』HPのスクリーンショット)

 

◆理事長の大きな実績

島谷氏の大きな実績に、長らく勤務していた東京国立博物館で2009年10~11月に開催された『特別展:皇室の名宝―日本美の華』がある。総入場者数が30万人を突破したことが大きく報じられ、その成功は皇室からも大きな信頼を得たことだろう。

国立文化財機構が三の丸尚蔵館をも傘下におくと決まった際、副館長としてその名宝展を成功させていた島谷氏が、トップに招かれたことは自然なことだったのだろう。ちなみに東京国立博物館の館長は、文科省の事務次官などが退職後に「落ち着く先」であるため、実権は副館長が握っていると言えそうだ。

その島谷氏が、小室眞子さんのメトロポリタン美術館就職の後押しをしていると噂がある、アノ外国人2名をよく知っていることがわかった。



 

◆理事長とA氏の関係

菅義偉前首相が官房長官だった頃から、経済政策のブレーンにとどまらず、「皇室の美術工芸品を観光資源として活用し、地方や海外に貸し出すとよい」と提言し続けていた英国人のデヴィッド・アトキンソン氏(以下A氏)。情報番組にコメンテーターとして登場していた元ゴールドマン・サックスの証券アナリストで、日本の寺社仏閣や古美術品の修復を行うことにおいては、業界最大手ともいうべき小西美術工藝社の社長である。

2019年11月、文化庁は「文化施設を中心とした文化観光の在り方に関する検討会議」を設置したが、そこから2020年3月末まで5ヶ月ほど、島谷氏とA氏は会議のメンバーとしてずっと顔を合わせてきた。その間にはさまざまな交流があったものと想像される。

約5か月間、検討会議のメンバーとして交流していた両名(画像は『文化庁』HPのスクリーンショット)
約5か月間、検討会議のメンバーとして交流していた両名(画像は『文化庁』HPのスクリーンショット)

そして2021年の4月、島谷氏は国立文化財機構の理事長に上り詰めた。

こちらは、宮内庁がHPで発表している「三の丸尚蔵館収蔵品の保存・公開の在り方に関する有識者懇談会」の委員名簿だ。「書跡部門」に島谷氏の、また「公開活用関係」にA氏の名があり、こちらでも交流を深めていたと思われる。

三の丸尚蔵館収蔵品の保存・公開の在り方に関する有識者懇談会でも一緒だった(画像は『宮内庁・公表資料等』のスクリーンショット)
三の丸尚蔵館収蔵品の保存・公開の在り方に関する有識者懇談会でも一緒だった(画像は『宮内庁・公表資料等』のスクリーンショット)

 

◆A氏の会社は社寺建造物美術保存業界で独り勝ち?

ここでちょっと小西美術工藝社について。一般社団法人・社寺建造物美術保存技術協会において、同社は『すいかずら』という会報誌の発行を担当するなど中心的な存在で、実績としても業界独り勝ちかもしれない。

修復作業はカテゴリー別に漆塗、彩色、剝落止め、単色塗、金具と5種あるらしく、現在その技術をすべて提供できる会社は小西美術工藝社だけ。日本各地の有名な寺社仏閣の修復事業を多々手掛けていることを、Facebookの公式アカウントでも確認できる。

協会の会員20社のうち、5種すべてに登録しているのは…?(画像は『社寺建造物美術保存技術協会』のスクリーンショット)
協会の会員20社のうち、5種すべてに登録しているのは…?(画像は『社寺建造物美術保存技術協会』のスクリーンショット)

 

また小西美術工藝社は、秋篠宮家が大好きであろう「金箔」にも強い。黄金に輝く国宝建造物で、2011年からは世界遺産にも登録された岩手県平泉町の「中尊寺金色堂」の金箔修復作業をも手掛けた。秋篠宮家にふんだんに金箔が使用されたというのも、ひょっとしてA氏の会社の施工であろうか。

国宝の金箔修復工事も手掛けるKB工藝社(画像は『Facebook』のスクリーンショット)
国宝の金箔修復工事も多々手掛けているようだ(画像は『Facebook』のスクリーンショット)

 

 

◆補助金制度がおいしすぎる!(※一部削除あり)

寺社仏閣、古美術工芸品の修繕作業に使用される材料や作業には、国や地方行政からたっぷりと補助金が支払われる。質も量も金額の相場も非常にわかりづらいにもかかわらず、だ。A氏に常にペコペコする内閣や文化庁。「日本はなんてチョロいんだ」と思われているということはないだろうか。

 

パネルディスカッションの部にC氏が登場(画像は『CULCON』のスクリーンショット)
パネルディスカッションの部にC氏が登場(画像は『CULCON』のスクリーンショット)



 

◆METにおける眞子さんの世話人C氏

続いては、NYメトロポリタン美術館(以下MET)のアジアン・アート部門に所属し、特に日本美術のキュレーターとして鳴らすジョン・カーペンター氏(以下C氏)について。

ロイヤルパワーを使って、何とかMETに就職しようとしていると報じられたM子さんに、展示する山田真山の掛け軸作品について解説を依頼するなど、積極的に手を差し伸べたC氏。彼も上述の島谷弘幸氏とは知らない仲ではない。

島谷弘幸氏とC氏の関係がわかったのは、あるシンポジウムに揃って出席している写真だった。こちらは2014年11月、上野の東京都美術館で「米欧ミュージアム専門家交流事業実行委員会」という組織が開催した『米欧ミュージアムの日本美術コレクションとその活用』というシンポジウム/ワークショップの様子を捉えたものだ。

東京都立美術館で行われたシンポジウムに島谷氏もC氏も出席(画像は『japan-art.org』のスクリーンショット)
東京都立美術館で行われたシンポジウムで、島谷氏とC氏はディスカッションの場に(画像は『japan-art.org』のスクリーンショット)

挨拶のなかで「東京国立博物館、文化庁、そしてカルコンの皆さまに心からのお礼を申し上げます」と述べたC氏。日本の古美術の研究家は世界に大勢いるが、そんな中でMETの日本美術キュレーターになって3年しか経っていない自分が招待されたことに、とても感激したようだ。それもこれも、秋篠宮家と知り合いだったからか。

『米欧ミュージアムの日本美術コレクションとその活用』は、2014年の11月8日から16日まで開催され、研修会あり、夕食会あり、バスでの小旅行ありと、メンバー同士は密度の濃い交流を楽しんだという。

記念撮影で島谷氏は前列ほぼ中央に C氏も前列だ(画像は『japan-art.org』のスクリーンショット)
記念撮影で島谷氏は前列ほぼ中央に。そしてC氏は前列左端だ(画像は『japan-art.org』のスクリーンショット)

 

◆C氏が九州国立博物館へ

カルコン美術対話委員会は2016年、九州国立博物館を会場に『世界と日本美術~2000年以降の動向を中心に~』というシンポジウムを開催した。主催者は島谷氏で、そこにはまたしてもC氏の姿があり、閉会の挨拶を担当したのは麻生セメントの麻生泰社長だった。

パネルディスカッションの部にC氏が登場(画像は『CULCON』のスクリーンショット)
パネルディスカッションの部にC氏が登場(画像は『CULCON』のスクリーンショット)

なお、カルコン(CULCON)とは日米文化教育交流会議(The United States-Japan Conference on Cultural and Educational Interchange)の略称だそうだ。

 

◆C氏は本当に日本通なのか

源平合戦(治承・寿永の乱)が幕を閉じたのは1185年。そして平清盛は、そのずっと前の1181年に64歳で病死していた。にもかかわらず、C氏は問題の掛け軸を「清盛は源平合戦に負け、頭を丸めた」と解説。そのため、Twitterでは「清盛は敗戦を経験していないのに」と話題に。C氏は、真の日本通というわけではないのかもしれない。

山田真山の真作か贋作かもわからない二連の掛け軸について、寄贈された後に史実と異なる解説文を添え、出光美術館の田中伝氏に誤りを指摘されていたC氏。そこで眞子さんに新たなる解説を依頼したようだが、ギャラリーでは眞子さんによる解説とは別に、修正前の解説まで添えてしまうというずさんさだった。

作品はそこそこ展示したが、すでに姿を消している。

 

◆2011年からMETに勤務したC氏、その前は…?

・1999年~2011年 ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)日本美術史の准教授、およびセインズベリー日本文化研究所ロンドン室長

 

(それと並行して日本やドイツの大学でも教鞭をとる)

 

・2004年~2005年 立命館大学アート・リサーチセンターの非常勤教授

 

・2007年~2008年 独ルプレヒト・カール大学ハイデルベルクで日本美術史を教える

 

・2010年~2011年 東京大学大学院人文社会系研究科「文化資源学研究室」の客員教授

 

◆C氏と秋篠宮家の関わり 

・2007年、秋篠宮殿下が東京大学総合研究博物館の特招研究員に。ここと連携している東京大学大学院「文化資源学」に、C氏が2010年から約1年、客員教授として勤務

 

・2016年~2021年、眞子さんが東京大学総合研究博物館の特任研究員に就任

 

・2017年、カーペンター氏は『第11回 国際陶磁器フェスティバル美濃』の陶磁器展に外国人審査員の1人として招かれる

 

・同フェスティバルの2014年・2017年・2021年の名誉総裁は眞子さんだった



◆まとめ

菅政権下で明確に打ち出された、価値ある皇室の美術工芸品を積極的に海外に貸し出そう(そのまま戻らない可能性も)という政策。円安の今、黙っていても日本には大勢の観光客が訪れる。それなら国内で展示すればよいのに、搬送や接触で作品が痛むにもかかわらず、なぜ海外に持ち出そうとするのだろうか。

皇室のなかで誰かがそれを望み、役目を果たした者に何のご褒美を用意しているのだろうか。そして、なぜそこに外国人を引っ張り込むのか。純日本人では国益を損なうようなことをしたがらないが、外国人なら感情抜きで働いてくれるということ…?

揃いもそろって、新生・三の丸尚蔵館の新しい管理者となる島谷氏と懇意にしてきたA氏とC氏。A氏がブレーンで監視役がC氏…? 考えるだけでめまいがしてきそうだ。

(朝比奈ゆかり/エトセトラ)



 

※ 削除についてお詫び

◆補助金制度がおいしすぎる!という部分において、かつて週刊文春が報じていた、日光東照宮の国宝「陽明門」と小西美術工藝社の関わりについて触れましたところ、同社の社長より事実ではないとのご指摘がございました。

また、「三の丸尚蔵館収蔵品の保存・公開の在り方に関する有識者懇談会」の委員でいらっしゃるため、古美術品も当然取り扱っておられると認識しておりましたが、誤りであるとのことで、該当部分を削除いたしました。心よりお詫び申し上げます。

画像および参考:
『japan-art.org』シンポジウム/ワークショップ「米欧ミュージアムの日本美術コレクションとその活用」2014開催報告書

『CULCON』2016カルコン美術対話委員会シンポジウム『世界と日本美術~2000年以降の動向を中心に~』

『週刊ポスト』麻生太郎氏が皇室問題懇談会座長に 注目される妹・信子さまが詠んだ歌

『宮内庁・公表資料等』宮内庁三の丸尚蔵館収蔵品の保存・公開の在り方に関する有識者懇談会

『九州国立博物館』島谷弘幸館長 主要業績など

『国立文化財機構概要』独立行政法人・国立文化財機構 基本情報

『J-GLOBAL』島谷 弘幸

『文化庁』文化施設を中心とした文化観光の在り方に関する検討会議設置要項

『国立文化財機構概要』独立行政法人・国立文化財機構 役員略歴

『国立文化財機構』独立行政法人・国立文化財機構概要2020年

『国立文化財機構』独立行政法人・国立文化財機構予算(令和3年度)

『社寺建造物美術保存技術協会』すいかずら

『社寺建造物美術保存技術協会』)社寺建造物美術保存技術協会 会員事業所別 所属準会員数及び上級技能者数

『日刊サイゾー』ビジョンなき菅首相がすがる金融、経済、医療、外交の怪しい人脈

『Facebook』【小西美術工藝社通信Vol.19】

『NHKニュース栃木』4年前に修理終えた国宝の陽明門に雨漏り確認 手直し工事へ

『エトセトラ・ジャパン』眞子さん作品“怪説”の謎ついに解明も… メトロポリタン美術館の新たなずさんさが発覚