【皇室、徒然なるままに】第80話: 論文における謬錯 西村 泰一
§1 謬錯
悠仁君の例の論文『赤坂御用地のトンボ相』論文について、国際昆虫学会議ICE2024の直前に誤りの修正が発表されたということで、何か鬼の首でも取ったかのように大騒ぎなさっている向きもあるようだが、あれくらいの修正は別に大騒ぎするような話でもなんでもない。論文に誤りがあるのはごく普通のことで、大学の入学試験の問題なんか、我々の学術論文と比較にならないくらい細心の注意を払って作られても間違いが時々あり、ニュースになって世間を騒がせる。
もっと丁重に準備されているのが、かつてのセンター試験や現在の共通テストの問題であるが、それでも誤りが皆無でないことはご存知の通りである。Windowsの新バージョンなんかも、最初公開されたものがかなりの脆弱性を含んでいることは承知の事実で、購入後に何度も「更新して再起動」を行わなければいけない。
医療のような絶対に失敗は許されないような話でも、医療過誤で患者を死なせてしまったという話が新聞等を賑わせる。新聞等を賑わせる事件は実は氷山の一角で、闇から闇へと葬られた話は夥しい数に上るのであろう。人間というのは間違いを犯す生き物なのである。
余談であるが、私は筑波大学で大学入試の数学の答案の採点を何度もおこなった。その際、他愛もない計算ミスなんかは、本質に大して影響しなければ減点の対象とはしなかった。
日本で最初にノーベル賞をもらったのは、物理学者の湯川秀樹である、この方は京都大学で物理学を教えておられたのであるが、「前回の講義はすべて間違いでした。今日正しいのをお話します」と仰ることが再三再四であったと聞いている。ホームランバッターというのは、空振りも豪快なのである。
それより気になることがある。
正誤表を発表なさるのはよいが、その誤りは、このエトセトラ・ジャパン・ブログに情報を寄せた皆さまの指摘で気づいたのでしょう。なぜそういった方達に対する、簡単な謝辞を添えないのだろう?
悠仁君が一片の社会的常識を持ち合わせないということは、大分前から承知していたが、清拓哉氏もこの辺が怪しいのだろうか。
■悠仁さまトンボ論文の学名に複数のミス 指摘に「実力は国内トップクラス ケチをつけられるいわれはない」とは!
§2 学術雑誌とArxivと
物理学や数学といった科学研究で、然るべき情報は専門家の間で共有されなければいけないが、17世紀くらいまでというか、ガリレオ・ガリレイ、ニュートンやゴットフリート・ライプニッツが生きていた時代には、これは私的な手紙の遣り取りで行われていた。
「…息子さんはもう結婚されましたか?ところでこの間の貴君が仰っていた数学の問題、解けました。詳細は…」といった調子なのである。専門家の数も少なく、なんとも長閑な時代なのである。こんな調子だから、ニュートンとライプニッツの間で「どちらが微積分学の創始者であるか」といった論争が起きたりするのである。
科学者も増え、研究の生み出されるスピードも速まってくると、流石にこれでは追いつかない。それで17世紀の半ばあたりから、英国の王立協会(1660年)やフランス科学アカデミー(1666年)などの組織が立ち上がり、学術雑誌も発行されるようになる。1665年には、フランスのジュルナル・デ・サヴァン(Journal des sçavans)とイギリスのフィロソフィカル・トランザクションズ(Philosophical Transactions of the Royal Society)が、研究結果を体系的に発表し始めている。
学術雑誌における、所謂Peer review(査読)という考え方は、ドイツ生まれのイギリスの哲学者ヘンリー・オルデンバーグ(1619—1677)に帰されているようである。ただしPeer reviewという用語が用いられるようになったのは比較的最近の話で、1970年頃からと言われている。
ReviewerとかReferee(日本語では査読者)と言われる、投稿された論文を雑誌に掲載するかどうかを決める者は1名の場合もあれば、数名が割り当てられる場合もある。これはそれぞれの雑誌のPlatformによる。査読を行う者は通常匿名で、コネや私的な怨恨が働かないよう配慮されている。
学術論文の発表は、最近では私の周りを見渡す限り、学術雑誌にこだわらなくなってきている。インターネットが普及して、どこかのArxiv(物理,数学,計算機科学統計学、電子工学などの分野における、査読を通過する前のPreprintを受け付けているリポジトリ)あたりに置いてやれば、読みたい人は読んでくれるし、それで十分なのである。
例えば長年未解決であったポアンカレ(Poincare)予想は、ロシアのグリゴリー・ペレルマンという数学者によって解決をみたが、その論文はインターネットにPreprintとして置かれただけで、別にいかなる学術雑誌にも掲載されていない。
皇室についても、色々な人がYouTubeやブログなどで自分の見解を自由に述べているが、それと同じことである。私が今年1月に執筆した『Oops ! Prince Hisahito did it again!』なんかも、研究者向けSNSのResearchGateに置いてあるだけなのだが、既に世界各国の1万人以上に読まれている。
§3 不正論文
論文の正誤表を出されたことで問題がひとつ片付いた感はあるが、トンボの写真に関しては、いかがであろうか。こちらのブログに全国から集まった多くの疑義について、全くスルーしておられるのは、いただけない話である。
確か、YouTubeチャンネル「Real Imperial Story by 輸入食品」の一ノ瀬さんも、清拓哉氏に「もっと解像度の高い写真を」と求めておられたようだが、清氏からは梨の礫と承っている。この時点で正誤表をだされるのであれば、写真について反論されるもよし、未だ検討中とコメントされるもよし、しかし無視して何も語らずというのは、なんとも情けない話である。
いずれにしても、死んだトンボを恰も生きているように細工して写真を撮りました、といった話なら、正誤表で済まされる話ではない。論文の撤回が求められる上、清拓哉氏は懲戒解雇ぐらいは覚悟しておかねばならなくなる。
§4 善悪の観念自体が欠如か
先日、YouTubeチャンネルの「刺さらないニュース」さんが、悠仁君の耳の障害について、着床前診断の「男女産み分け」に伴うリスクに帰すような話をなさっていたが、悠仁君の障害は耳だけではなく、脳、就中(なかんずく)前頭葉あたりに深刻な障害があるように見受けられる。
人間は生まれた時からものの善悪の観念が備わっているわけではない。小学校低学年ぐらいで、その原初的なものが形成されると言われており、しかし悠仁君には善悪の観念自体が欠如しているように思われる。
普通の人間でも、高齢になってある種の認知症に陥ると、やはり善悪の観念が欠落してしまい、とんでもない行動をして、周りをヤキモキさせることがある。悠仁君のそういった障害も、やはり出生に纏わる男女産み分けのリスクに帰すべきものかもしれない。
§5 Concluding Music
それでは硬い話の後は、いつものように次の音楽でリラックスしてください。
『YouTube』Purple Town ~You Oughta Know By Now – Junko Yagami //[Sub. Esp];[Romaji] großartig
(理学博士:西村泰一/画像など編集:エトセトラ)
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西村泰一先生へ
(トンボ自然史研究所Xによる指摘反映済)
私が私淑する西村先生なのですが、今回は一面的に捉えた論考に見えました。
「赤坂御用地のトンボ相」がいかに構造的に仕組まれたものであるかの視点がなかったように思います。
〈解像度の高い画像を〉科博に要望している間に、一ノ瀬さんが照会していた世界トンボ協会(WDA)HPにある、トンボスペシャリストgroupのリンクが外されました。そこには3人のトンボスペシャリストが顔写真付きで載っていました。ジュネーブに本部のある国際自然保護連盟(IUCN)の1部門です。
IUCNには日本政府も拠出しており管轄は外務省です。当時(おおむね2月ごろ)いくら検索してもWDAのHPが見られない時期がありました。これらの点について、トンボ自然史研究所はXで次のように説明しています。
「世界トンボ協会(WDA)はジャーナル (IJO) の発行所を変更したことや、役員の改選などに伴い、今年、公式ホームページを大幅再編した可能性がある。そのHPからのIUCNのトンボスペシャリストGroupのリンクの解除についての言及がネット上で見受けられるが、これもその再編の一環である可能性がある。」
タイミングよくHPの大幅改変やリンク外しが行われたことは、「私は画像問題を大きくされてはいけなかった」のだと推測しました。また、IUCNは秋篠宮さまが名誉総裁を務めるWWF(JAPAN)とも密接な関係があります。
昨年11月の日本トンボ学会東京大会は科博で開催されました。科博との共催だったことを生方先生のブログで知りました。「博物館の通用門(館が共催ということで、こちらの門から大会参加者の入場が特別に認めらえた)に向かいます。」と書かれていました。
トンボ学会は経費負担が少なくすんだのかもしれません。共催の理由を考えると、この学会のシンポジウムには「赤坂御用地のトンボ相」「皇居(東京)のトンボ相」が上がっていたのです。どちらにも悠仁さまが関わっていました。宮内庁の広報もなく唐突な感じがしました。ねじ込んだかのように。
それをどなたかのYouTubeで配信され、それが困ったことだったのか、大会実行委員会HPもすぐに閉じられてしまい、アッと言う間に2023年トンボ学会プログラムはネット上から消えました。
唯一、生方先生の「トンボ自然史研究所」のブログにプログラムが記載されています。
トンボ学会はたかだか400人ほどの学会です。研究費補助でも出たのだろうかと思いました、世界の日本のトンボの専門家は口を閉ざされ、封じられた格好です。
この辺りもトンボ自然史研究所Xは
「日本トンボ学会を含め多くの学会の全国大会は開催を引き受けた地域で実行委員会を組織し、その組織ごとの運営方針で準備、運営、そして解散がなされるのが普通。 大会専用HPは臨時運用され、大会閉会後しばらくして停止されるのが通常であり、運用開始、停止の時期は実行委員会の専決事項。」
述べています。
これら一連のことは、意図的なものではないということですが、市井のトンボ好きの間で噴出している画像疑惑を専門家が分からないはずはないのです。専門家が口を閉ざしたら誰に検証してもらいますか。なかなか難しいです。
トンボ学会シンポジウムは2023年11月19日、科博の研究報告「赤坂御用地のトンボ相」は2023年11月22日発行。ひそかに進め,「日本学生科学賞」狙いだったのでないかと思います。エトさんはじめ世論が大きくなりこの計画は頓挫しましたが。
東大への道は着々と進められていました。さしてトンボ研究など興味もなく、子どものトンボ好き程度で研究者に祭り上げるために、多くの研究者が取り込まれているのが現状です。
科博の研究報告に投稿するには、規定上、科博の研究者が共著者でないといけません。清氏は名義貸しで必要だったのです。海外調査費用などの便宜を図ってもらったのだろうと想像しています。「清拓哉氏も怪しい」私はそうは思っていないのですが、それは分かりません。
この論文は異常です。2005年の前回調査「赤坂御用地のトンボ類」では、庭園課の職員の名前も挙げ、また調査員5、6名もすべて名前をあげ謝意を表しています。しかし今回の論文は調査した実動部員の名前は一切ありません。いかにも悠仁さまが全てしたように。誰も信じていませんが、そんな馬鹿げたことができるのです。
清氏の上には、林良博顧問、館長、副館長、部長、動物学グループ長、先輩主幹がいて、本人の下には2人いるだけです。この状態で何を発言できますか。発言する余地はありません。
私もエトさん同様、まだ諦めてはいなのですが、壁は大きく高すぎます。
*当初、トンボ学会のHP及び世界トンボ協会日本支部のHPも意図的に閉じられたかのような表現をしましたが、この2点についても、トンボ自然史研究所Xは以下の説明を投稿されました。
・「日本トンボ学会の公式HPは2022年以前から長期間運用停止状態でしたが、運用担当者交代に伴い2024年4月に再構成されたものが公開され、現在に至っています
参考となるSNS投稿: https://facebook.com/akira.ozono/posts/7030071220435797」
・「世界トンボ協会(Worldwide Dragonfly Association: WDA)日本支部は合議の上、2019年9月21日をもって解散されています。 したがって、同支部のHP: http://wda.odonata.jp もその時点で完全閉鎖されました。」
この2点は私の誤認であり、思い込みによる誤った情報を書いたことをお詫びし元原稿を修正します。ただし、これらの内容は6か月ぐらい前から科博に投稿していましたが指摘もなく、今回の生方先生のご指摘に心より感謝したします。
(うの きぬこ)
以前に、小保方さんを例にコメントをした者です。国立科学博物館がひさくんの論文のミスについて、ミスの責任は著者3人に等分にあるとのコメントを出しました。どこの小学校の学級会の平和解決かと呆れました。
論文に記載された最終著者で、特にアスタリスク * がついた最終著者は責任著者として、論文に責任を負います。ひさくんの論文では清氏にアスタリスクがついています。つまり、論文の内容についてはひさくんに説明責任があり、この論文を世に出した責任は清氏にあります。私が小保方さんを思い出したのは、画像の捏造という共通点があったからです。比べれば、ひさくんは小保方さんに、清氏は小保方さんを指導する立場にあった笹井氏に対応します。そして、笹井氏はなんの説明もなく自殺されました。西村先生のご指摘のように、清氏の責任は重いと思います。
ここまで書いて、でも、論文を主に書いたのも、写真を捏造したのも飯島氏なんだろうなと思い、アカデミックな世界とかけ離れたメチャクチャに、東大は本当にこの論文を認めるのかと、ただただ虚しくなります。
Voieというサイトによる赤門ネットワーク(Akamon Network)さんの署名活動、先につぶされた署名が増強した形ですが、ここの「活動詳細」の最後のほうに、やはり「写真の不正」についての言及がありました。以下、引用。
「念のためにお伺いしますが、悠仁様は、あのポンコツ論文で、写真の不正はなさっていらっしゃらないでしょうね?写真で不正をしていると、〝捏造〟ということになって、学問上は、これはミスではなくて、故意の〝犯罪〟ということになり、罪は一挙に重くなり、小保方晴子さんと同じになります。「正誤表(Errata)」では済まなくなって、「取り下げ」になりますので怖いですよ。」
むろん、この記述はエトセトラジャパンさんの写真の疑惑調査を元にしていると思われます。
また西村先生がご指摘されている「謝辞」も、同感です。社会的常識のない人間は「謝辞」ということすら思いつかないのです。
「別刷り」は今の研究者はもらわないのでしょうかね。(今は昔と違うので私はよくわからないが、自分の研究室の先生が別刷りを色々なところに送付しているのはよく見てました。)
主題から外れますが、最近経験した「謝辞」に関する非常識案件の紹介:
私は某「同人誌」の印刷原稿作りを、知人から頼まれたので好意でひきうけ、無償で一か月以上原稿作り作業しました。でも同人誌代表者による「あとがき」に一言の謝辞もなく、かつ実際に印刷されたであろう現物の送付もなかった。普通は刷り上がったものを最低1部ぐらいは送付してくるものです。
あまりの非常識さに驚愕してしまった。
(知人はある止むを得ない事情で途中から連絡が取れなくなったので、遠隔地に住む面識のない同人誌代表者とやりとりすることになった。)