科博から出た論文は引用されがちだから… たとえ悠仁さまでも誤りを指摘しなければならなかった専門家の正義と勇気
4月10日付の記事『トンボ学会会員や愛好家向け「トンボ通信」 悠仁論文の誤りに関する論考【全文】をご紹介』が、予想通り大きな反響をいただいている。Xでも拡散され、あの『赤坂御用地のトンボ相』論文に対する皆さまの関心の高さを、改めて感じることとなった。
そして今回の小関 裕兄さんとのやりとりは、筆者が誤解していたことや認識が甘かったことを反省することにもなったが、同時に、科博が長いあいだ説明もなく問題を放置していることに、改めて苛立ちを覚えてしまった。
◆研究者としての正義と勇気
改めて小関さんの論考を読み直してみて、深く心に残ったのが最後のこの部分だった。
科博の論文は、後の研究者や市民・教育関係者が「正解」として引用する資料です。誤った用語がそのまま「公式」として流通してしまうリスクを監修者は最も警戒しなければなりません。
以上の問題点の上で、論文における用語などには、より厳密な使用にすることが必要であると思う次第です。
互井先生も小関さんも、トンボを真面目に研究しようとしている子供たちのまっすぐな心をよく理解していらっしゃる。
そんなとき、どなたかの論文に誤りがあると気づいたら、正すのは当たり前のことなのだろう。たとえ悠仁さまという皇族が第一著者であろうと、見過ごすことはできないのだ。
そこで筆者は、記事の概要文にこんな一言を書いてしまったことを反省した。
あの『赤坂御用地のトンボ相』論文で、とりわけ疑義があがったトンボ写真No.66「アキアカネ」その他に関して、ついにトンボ学会の会員さんが論考を発表されたのだった。
小関さんは、一般の国民による疑義の訴えが科博に知らん顔をされている様子を、見るに見かねて立ち上がってくださったようにも感じるが…(以下、略)
筆者は最初、国民から上がる疑義の声がまったく科博に相手にされない様子に、互井先生や小関さんが同情して立ち上がってくださったのだろうと、そんな風に考えていたのだが、それは間違いだった。
さらに、写真、図、テキストからなる論文を冷静な目で判断することに集中し、そこに秋篠宮家や悠仁さまに対する批判のようなものは無いことも伝わってきた。
◆慎重には慎重を期して指摘する
小関さんから頂戴したメールには、こんなことも書かれていた。
私たちが公的な紀要の中に「不適切な誤用がある」と指摘する際には、誰が見ても明らかなミスとわかる部分のみを挙げます。
心霊写真を発見したような感覚で、ここがおかしいと指摘しても、(画像のノイズかもしれないため)なかなか受け入れてもらえないのが現実であります。
そして、あくまでも慎重には慎重を期して指摘していかない限り、残念ながら研究者たちを動かすことは難しいように思います。
それでも、国民から疑義が殺到するような学術論文を発表した責任著者の清拓哉氏に対しては、どうしても疑問に感じる点が多いです。
論文の誤りには、ケアレスミスで起きた誤記、そして知識不足からくる誤認に大別されるように思うが、じっくりと読んだ多くの方が『赤坂御用地のトンボ相』論文にはその両者が存在していると感じている。
◆「やはり餅は餅屋」だと痛感
鳴り物入りで世に放たれた『赤坂御用地のトンボ相』論文。筆者は実は、日本トンボ学会の皆さんは真剣にこの論文を読み、色々と気づいたにもかかわらず、大人の事情というやつで黙認しておられるのだと解釈していた。
ところがある時、研究職をなさっている方から「暇な研究者でもない限り、よそ様が出した査読付き論文などあまり見ないし、ミス探しもしないです。そんな暇があったら、自分が新たな発見をしたいと思うはずです」と言われた。なるほど…と思った。
そして今回、小関さんのお話を伺ったことにより、学術論文にミスがあると指摘して真剣に受け止めてもらえるのは、自身も同じ分野の研究者であることが重要なのだと痛感した。
私のような者がいくら「このトンボ、翅が、脚が、おかしいですよ」と声を上げたところで、専門的な用語や表現力を知らないため、取り合ってもらえなかったのだろう。やはり「餅は餅屋」なのだ。
◆ただし月日の経過は悠仁さまの評価を…
ただし、科博による「放置」はやはりよくないだろう。
素人の訴えになど耳を貸す必要はない、きっぱりと跳ねつけてやれ、といったプライド高き科博の姿勢は、悠仁さまをはじめ、共著者お二人のためにはならなかったように思う。
たとえば『赤坂御用地のトンボ相』のなかの、学名やオスメス、場所の記載ミスを国民が発見し、指摘してから科博が正誤表を出すまでには、かなりの月日が経過していた。
つまり、YouTube、X、匿名掲示板やブログなどを通じて、多くの方が「悠仁さまのトンボ論文ってオカシイ所が一杯あるのに、無責任にも知らん顔らしいね」と話題にした期間が延々と続いたのだ。
それでは将来、生物学者を目指すうえでイメージがマイナスになってしまう。悠仁さまのためにも「いったん取り下げ修正しましょう」と提言する人はひとりもいなかったのだろうか。
そして、科博が何か月も経ってから8つのミスに関して正誤表を出したあたりで、筆者は「紀子さまが~~を厳しく叱責した」といった報道があると予想したが、そうした話題は出てこなかった。
あの論文の真の筆者は誰なのか、メディアとしても、迂闊に触れるわけにはいかないタブーなのだろうと感じた。
一方で筆者は、3月24日付の記事『もうすぐ皇居トンボ相調査結果を報告する悠仁さま あのトンボ論文の疑義放置に疑うべきは「画像の極秘差し替え」』にも書いてみたが、科博はあの論文で捏造が疑われていたトンボ画像について、問題のなさそうな別の写真としれっと差し替えていたのだろうと疑っている。
いずれにせよ、もうすぐ「悠仁さまが大活躍」といった報道とともに、皇居のトンボ相調査第Ⅲ期の結果が報告されるのだろう。
今、筑波大で悠仁さまの目撃談がないのに、なぜ2年生に進級できたのかと話題になっているが、おそらく皇居のトンボ相調査と報告書を研究実績として評価してもらったのではないかと思う。
(朝比奈ゆかり/エトセトラ)