皇族が元受刑者を支援するなど、あってはならないこと 『赤トンボ先生教え子殺人事件』の裁判を深堀り【後編】

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一般財団法人にすると法人名義で財産を所有できる(画像は『一般社団法人設立.NET』のスクリーンショット)
一般財団法人にすると法人名義で財産を所有できる(画像は『一般社団法人設立.NET』のスクリーンショット)

先に『悠仁さまが家庭教師と論文で東大か京大に合格するなら… トンボ研究報道にある県民から不安の声』という記事を執筆していたが、そこに登場する “Mさん” は、福井大大学院の元特命准教授・前園泰徳氏でまず間違いないのだろう。今回の記事も、それを前提としてつづっていきたいと思う。

先の記事では【前編】として「客観的証拠がない以上、嘱託殺人はそう簡単には認められない」という事実をお伝えしてみたが、今回の【後編】では、多くの方が抱いている「親しかった秋篠宮家が助け舟を出したのでは?」という疑問について、筆者なりに考えてみたことをお伝えしてみたい。



まず最初に、「交際相手の女性を殺害した際、もしも嘱託殺人の主張が通ると量刑はかなり軽くなる」という事実を、以下の2つの事件とその後の裁判(ともに2016年秋)からご確認いただきたい。

 

■福井県勝山市および東京都小平市で起きた2つの殺人事件を比較

【福井地裁/入子光臣裁判長】

被告人:前園泰徳(当時44歳)
被害者:交際していた20代の教え子(被告人には妻子あり)
発端:痴情のもつれか
検察側の求刑:殺人罪で13年
判決:嘱託殺人が認められ懲役3年6月

(被害者がLINEで前園被告に「最初から私と一緒になる気が無かったくせに」などと送っていたことから、前途に絶望して自殺する意思を強めた、あるいは殺してほしいと頼んだ可能性が否定できないとして、入子裁判長は嘱託殺人罪の成立を認めた。ただし客観的証拠は得られていない。)

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【東京地裁立川支部/阿部浩巳裁判長】

被告人:高野隼一(当時26歳)
被害者:交際相手の20代の女性
発端:別れ話のもつれか
検察側の求刑:殺人罪で18年
判決:殺人罪で懲役16年

(弁護人は繰り返し「女性から殺してと頼まれた。嘱託殺人だ」と訴えたが、阿部裁判長は被害者の女性が看護師としての仕事に打ち込んでいたことを理由に、「信用できない」と嘱託殺人の主張を退け、高野被告に懲役16年の実刑判決を言い渡す。)

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いかがであろうか。被告人側が「嘱託(同意)殺人だ」と主張しても、普通は「信用に値しない」と退けられるのがオチなのだ。



■裁判に秋篠宮ご夫妻が関与するなど、あってはならないこと

客観的証拠もないなか嘱託殺人の成立を認めてしまうなど、福井地裁の裁きはずいぶん甘いものだったとして、世間ではこんな声が噴出している。

「秋篠宮ご夫妻がこっそりと裁判に関与したのでは?」

だが、その答えは絶対に「YES」であってはならない。たとえ、Mさんのおかげで悠仁さまが勝山市でたくさんの楽しい思い出を作り、トンボに興味をもたせてもらったとしても、また「早く出所してトンボのことをもっと教えてあげてほしい」と考えたとしても、だ。

 

■Mさんの「替え」は正直大勢いる

昆虫学の専門家はいっぱいいらっしゃる。Mさんの東京大学大学院・農学生命科学研究科時代の恩師である宮下直教授には現在もたくさんの教え子がおり、インターネットでも「トンボ研究者」を検索すると、さまざまな方のお名前が現れる。よって、秋篠宮さまは何が何でもMさんにこだわる必要はないだろう。

とにかく、ここは重要な点だ。裁判官の職権行使の独立に影響を及ぼすようなことは、たとえ皇族でもしてはならない。万が一そんなことが起きていたとしたら、それは皇室会議を開くべき大きな問題だろう。

 

■賠償金を秋篠宮さまが肩代わりするなど、あってはならないこと

民事裁判では負け、殺害した元教え子のご遺族に賠償金8,593万円を支払うよう千葉地裁に命じられたMさん。しかし図鑑などの著書も絶版となり、印税収入を絶たれてしまった。また、家族も離れて行ったとの情報に、世間からはこんな声も上がっている。

「秋篠宮ご夫妻が肩代わりしてあげたのでは?」

しかし、こちらの答えも絶対に「YES」であってはならない。皇族が殺人事件を起こしたような民間人のために金銭支援を行うなど、あってはならないはずだ。

 

■秋篠宮さまのチョッとした財団法人

ただし、親しい人が服役を終えて社会に戻って来たものの仕事がない、8,593万円もの賠償金支払いで困っているとわかったら、人の情けとして「支援してあげたい」と思うかもしれない。

万が一その肩代わりをするとしたら、一体どんな方法があるだろうと考えていたところ、ふとあることを思い出した。秋篠宮さまは、何か財団法人を持っていたような…。

こちらは2019年4月5日付の産経新聞の電子版だ。『皇室ウイークリー(585)陛下、改元政令にご署名・押印 皇太子さまにも公表前に伝達』という記事の最後に、こんなことが伝えられていた。

2018年10月に一般財団法人を設立した秋篠宮さま(画像は『産経新聞』のスクリーンショット)
2018年10月に一般財団法人を設立した秋篠宮さま(画像は『産経新聞』のスクリーンショット)

秋篠宮さまは2019年4月1日付で、「家畜資源学術標本基金」の総裁に就任された。同基金は2009年に任意団体の「秋篠宮学術標本研究会」として発足。鶏など家畜類の研究を続けられる秋篠宮さまの助言を得ながら、生物の剥製や骨格の標本を収集してきた。

Mさんが出所したのは2018年の9月頃だろう。そしてこの財団法人は「2018年10月5日に一財の認定を受けた」とある。ところが、一体何のために設立されたのか、どんな活動をしてきたのか、まったく実態が把握できないと言われてきた。

こんなわずかな情報しか開示されず、7名のメンバー構成も不明。ホームページも存在せず…(画像は『IR BANK』のスクリーンショット)
こんなわずかな情報しか開示されず、7名のメンバー構成も不明。ホームページも存在せず…(画像は『IR BANK』のスクリーンショット)

家畜資源学術標本基金については、法人番号と住所だけはわかった。東京都世田谷区上用賀2丁目4番28号は馬事公苑のすぐ北側であり、東京農業大学「食と農」の博物館や、大型の展示温室で有名な一般財団法人「進化生物学研究所」のバイオリウムも同じ住所を使用している。

 

■一般財団法人(一財)にした理由は?

一般財団法人(一財)とは、一定の財産に対して行政庁が法人格を与えるもので、理事3人、監事1人、評議員3人以上の計7人以上で構成される。

設立者が300万円以上の財産を拠出し、事業のために運用していくことになるが、『一般社団法人設立.NET』によると、2期連続で純資産額が300万円未満になると解散させられるという。

よくあるのは美術館だが、一般的には事業の内容や公益性は問われず、監督庁がないため事業報告の義務もない。最大のメリットは、法人名義で銀行口座を開設することができ、非営利事業と認められれば税制上の優遇が受けられることだそうだ。

一般財団法人にすると法人名義で財産を所有できる(画像は『一般社団法人設立.NET』のスクリーンショット)
一般財団法人にすると法人名義で財産を所有できる(画像は『一般社団法人設立.NET』のスクリーンショット)

 

皇族費と公務の謝礼(お車代も)のおかげで、なかなか懐が潤っていると噂の秋篠宮さま。一体どれほどの金額を拠出し、何の目的で、誰に声をかけてその財団法人を設立したのだろう。そしてホームページが立ち上がらないままなのは、早くに役目を終えてしまったということ…?

 

■まとめ

このところ、やけに「トンボの研究論文で科学賞を狙い、推薦制度で東大か京大へ?」と報じられるようになっていた悠仁さま。それがきっかけで、長いこと閉じられていたパンドラの箱が開き、福井県の人たちは忘れかけていたMさんの事件を思い出してしまったようだ。

Mさんは、ひょっとして後悔していないだろうか。「こんなことになるなら、最初から秋篠宮家の人たちと関わらなかったほうが良かった」と…。

(朝比奈ゆかり/エトセトラ)



画像および参照:
『エトセトラ・ジャパン』滅多にない「嘱託殺人成立認定」なぜ…? 注目の『赤トンボ先生教え子殺人事件』の裁判を深堀り 【前編】

『IR BANK』一般財団法人家畜資源学術標本基金

『一般社団法人設立サービスNET』一般財団法人のメリット・デメリット

『千葉日報』嘱託殺人認めず懲役16年 「女性が死望む事情ない」

『産経新聞』皇室ウィークリー585 ― 陛下、改元政令にご署名・押印 皇太子さまにも公表前に伝達