早稲田大学入試問題漏洩事件にみる「裏口入学」の危険さ 疑惑を向けられた3人が自殺

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身に覚えがある人ばかりか、身の潔白を証明したいという人までが自殺を遂げた(画像は『Wikipedia』のスクリーンショット)
身に覚えがある人ばかりか、身の潔白を証明したいという人までが自殺を遂げた(画像は『Wikipedia』のスクリーンショット)

 

わが子には何としてでも有名な難関大学に通ってもらいたい ― たとえ「裏口入学」であっても…?

そんなことを画策している親は、巻き込む「関係者」にどれほどの精神的負担をかけているか、考えたことはあるだろうか。多分ないだろう。そして、こんな事件が日本で起きていたことも、恐らくはご存じないだろう。

裏口を交渉してくる親は特別な権力や財力を持っていることが殆どである。忘れてならないのは、大学の職員もノーと言えないまま裏口入学の片棒を担いでしまうと、刑事告訴に巻き込まれる可能性があることだ。

今回は、早稲田大学で実際に起きた裏口入学の悲惨な事件についてとなる。

 

◆きっかけは埼玉県在住のSさんのメール

秋篠宮家の長男・悠仁さまのトンボ論文、国際会議でのポスター発表に関し、国立科学博物館、文化庁、文部省、東京大学などに次々と苦情や問い合わせのメールを入れてくださっている、埼玉県在住のSさん。この記事の執筆を思い立ったのは、Sさんがある時メールにこう書いてくださったからである。

 

もう40年以上も前のことですが、早稲田大学商学部入試問題漏洩事件というものが起き、大きな社会問題となりました。当然、関わった教職員は逮捕され、不正に入学した学生は全員、入学取消しとなりました。

 

さらに、捜査の過程で関与を疑われた教職員3名が自殺するという、悲惨な結末を迎えています。裏口入学というのは、それほど重大な事件なのです。

 

裏口入学を隠そうという意図でもあるのか、幼稚園から高校入学まで特別ルールを作ったりしていた秋篠宮家を、良識ある国民は決して許さないでしょう。

 

早稲田大学の入試といえば今年2月、創造理工学部の入試問題を眼鏡に付けた小型カメラで撮影し、外部に送信して解答を助けてもらっていた疑いがあるとして、18歳の男性が書類送検になったことが話題になっていた。

 

◆40年前の「早稲田大学商学部入試問題漏洩事件」

Wikipediaで、Sさんから教わった早稲田大学商学部入試問題漏洩事件について紐解いてみた。ざっとこんな感じであったようだ。

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1980年(昭和55年)2月、早稲田大学商学部の入学試験問題が事前に漏洩し、不正に合格した学生や漏洩に関与した関係者が処分を受けた事件。試験前に自身が目にした問題と、入試試験が酷似していることに気づいたのは、試験官として立ち会った学生たちだったという。

毎日新聞には早稲田大学商学部の入試問題が漏洩したとタレコミがあり、記者たちは独自調査を開始。大学理事、模範解答を作成した学習塾や、これを解いて報酬をもらおうとした早稲田の在学生らから裏取りをした末、3月6日の朝刊で事実をすっぱ抜いた。大学には苦情の電話が殺到し、在学生がキャンパス内に抗議の看板を立てる事態となった。

この事件の最重要人物は、学習塾に問題を持ち込んだ元高等学校の男性教諭。一部の早稲田大学職員と共謀して「裏口入学斡旋グループ」を作り、長年にわたって早稲田大学の入試で不正行為をおこなっていたことを認めている。

 

◆おどろきの手口が次々と展開される

彼らは試験中に具体的にどんな不正行為を行ったのか。そのトリックについてWikipediaにはこうあった。

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当初は、裏口入学者の答案を合格点以上の答案に差し替える手口を用いていた。しかし1979年(昭和54年)に、裏口入学に携わっていた職員が全員異動したため、この手口が使えなくなった。

そこで、大学直営の印刷所に勤める監視役の職員に、親戚の子供だけに見せると言う名目で依頼し、監視の目を掻い潜って盗み取る手法に切り替えられた。

印刷所職員は問題用紙を抜き取り、ロッカーに保管し、厳戒態勢が解かれてから外部に持ち出して大学職員に手渡していた。大学職員は謝礼金として印刷所の職員に500万円を渡していた。

盗まれた入試問題(英語、国語及び日本史、世界史、地理Bの三教科五科目)は、元教諭を経て、学習塾に流れ、その模範解答が作成された。

この時、本来の予定では、模範解答の作成は国公立大学の学生が行うことになっていたが断られ、急遽、早稲田大学の学生が模範解答の作成をすることになった。そして、今回の入試問題の漏洩が発覚した。

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模範解答の作成にあたるはずだった国公立大学の学生が断った。そしてピンチヒッターとして登場した早稲田の学生が、まさか受験の日に試験官として立ち会うことになるとは…。

天網恢恢疎にして漏らさず ― 悪いことはできないものである。

 

◆警視庁に目を付けられ、世間の目は厳しく…3名が自殺

関与したすべての人々を不幸にしたこの事件。Wikipediaにはさらにこうあった。

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3月8日、警視庁は、裏口入学斡旋グループの中心であった大学職員2名と、元男性教諭、および印刷所の職員を、窃盗の容疑で逮捕した。早稲田大学はその入試問題を不正に入手した受験生9人の合格を取り消した。さらに過去にさかのぼって調査を行い、同グループの斡旋で不正入学していることが判明した卒業生42人と在学生13人に対し、入学取消と学籍抹消の処分を下した。

3月11日には漏洩事件に介在していたとして、教育学部教授であった市原康允が解任され、3人の受験生の父母から各1000万円の謝礼を受けたこと、 2人の浪人受験生に問題と模範解答を見せたことを認めた。

3月13日には商学部長・田中喜助が引責辞任。3月22日には元早稲田大学総長室調査役で早稲田高校に出向中の商学部系事務職員OBが電車に飛び込み自殺。遺書には、疑惑の目で見られるのが耐えられず死を選ぶ以外なくなった、一連の疑惑には断じて関わりないとあり、最後に「早稲田大学万歳」とあった。3月24日には教育学部長が引責辞任した。

4月9日には、前月15日に保険学で知られた商学部教授が縊死していたことが判明、新聞社の調べでは不正入試に関係していた疑いが濃厚とされたが解明はされなかった。また4月20日には身の潔白が証明されていた大学総長室調査役(商学部系事務職員OB)が飛び降り自殺を図り、「私は不正入試に全く関係していない。もう世の中が嫌になった」とメモを残していた。

1981年、逮捕の大学職員二名は懲役二年、印刷所係長と元高校教員は執行猶予三年で結審した。

 

◆加担したら何年でも「バレないか」と悩むことに

他の犯罪と比べ、関わる人間の数が多いという特徴がある裏口入学。金銭授受が発生していることは疑いようもなく、刑事告訴されれば自分も子供も人生が一転する。

仮に入学は成功しても、親も関係者も「誰かがふと正義感に目覚めたらどうしよう。裏切ってマスコミにタレこむ者は現れないか」といった不安に延々と苛まれることになるようだ。

特別な権力を持った者が裏口からの入学を求めてきたら、学校側も「ノー」となかなか言えない。勇気や正義感、教育者としての正しい倫理観を持っていても、「こんな重大な秘密を知らされてしまった以上、ノーと言ったら大変なことになる」という心理も働くだろう。

 

受験におけるカンニング行為や替え玉(なりすまし受験)がどんな罪に問われるのか、弁護士さんによるわかりやすい解説を見つけたので、こちらをどうぞ!

『e-falcon』なりすまし受験(替え玉受験)は犯罪|成立要件・共犯関係・量刑などを弁護士解説

『LEGAL MALL』替え玉受験は依頼した方も犯罪!刑罰や発覚したときの対処法は?

 

◆「配慮」受験の申告が8月1日から始まる

なお、東大を含む国立大学は「配慮」受験というものを提供しており、心身の特殊な症状について正しい申告があると、受験当日に様々な配慮を受けられるようになっている。

例えば大腸に問題を抱え、トイレが近いなら扉付近の座席が準備され、聴覚障害があるならレベルに応じて座席の位置、イヤホンやヘッドホンの利用、リスニングテストそのものの免除といった様々な配慮がなされるそうだ。

そして、広い教室ではなく個室での受験が可能になるのが発達障害。自閉スペクトラム症(ASD)と診断され、見知らぬ人が大勢いる集団の中で長時間過ごすことに強い違和感がある場合、試験官と自分だけの別室で試験を受けるといった配慮がなされるようだ。

この、受験における弱者を守るためのシステムを悪用した裏口入学の話は、まだ聞いたことがない。万が一、ここでそれが起きてしまうなら、学問の神様・菅原道真が黙ってはいないだろう。

(朝比奈ゆかり/エトセトラ)

画像および参考:
『Wikipedia』早稲田大学商学部入試問題漏洩事件

『東京新聞』スマートグラス使い早稲田大学入試でカンニング疑い 18歳男子を書類送検へ 撮影し外部に送信、解答求めたか

『e-falcon』なりすまし受験(替え玉受験)は犯罪|成立要件・共犯関係・量刑などを弁護士解説

『LEGAL MALL』替え玉受験は依頼した方も犯罪!刑罰や発覚したときの対処法は?

『エトセトラ・ジャパン』悠仁さまが大学入試センターに聴覚・腸・発達で「配慮申請」なら 個室での試験やリスニング免除の可能性も

2件のコメント

  • 表向きには特別な警護や待遇を嫌われ、一見国民への迷惑に配慮されているかの如く言動をなさる秋篠宮家ですが、全て裏を返せば強欲、利己的、特権乱用です。この推薦入学も来年の共通一次受験が別室での「配慮」となれば、多くの受験生の知るところとなります。
    それは即ち、皇室典範第三条皇嗣(皇位を嗣ぐ資格のある者、つまり跡継ぎの意)に精神若しくは身体の不治の重患があり…に該当することに他なりません。
    一般受験生と同室会場で受験し8割をクリアするか、「配慮」で第三条に触れなお裏口入学と後ろ指を指されながらも皇位継承資格を辞退されるか、どちらかです。一般受験生なら「配慮」も可能ですが、悠仁さまは皇位継承者と言う特別な皇族なのです。ゆめゆめ刑事告訴等事件沙汰にならぬよう道徳倫理観を肝に銘じて下さい。

  • 配慮入試は駄目でしょう。
    それが必要な方では天皇の重責は難しい。
    それにH君は園遊会には出席しようとしているわけで、そういう人が配慮入試を許されるのは道理が合いません。

    ただ、2日間に渡って長時間にわたる複数科目の試験をとにもかくにも席について受験しなければなりませんね。
    周囲の受験生は集中してH君の様子など気にも留めないでしょうが、試験官はおります。
    さすがに居眠りなどしては受験生にも気付かれるかもしれませんね。
    緘口令を引きますか?
    全科目受けることが出来れば、「ご優秀な成績でした」にするための策をこうじるでしょうが、そこにも緘口令?
    恐ろしい事です。

    まさか、「他の受験生の方々の集中を邪魔しない様、特別に別室で受験されました」……は、さすがに許されませんよね。

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