悠仁さま珍質問「なぜ毎年、栽培するのか」でまさかの京都大学へ? 近年の稲作研究を知る人が読み解くと…

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秋篠宮家の長男・悠仁さまに、このところやけに目立つ「稲の遺伝子研究にご熱心」という記事。異様なアゲっぷりに、先月下旬こちらでは「地方の農業高校こそ真剣に取り組んでいますよ。稲の遺伝子研究でハイレベルの論文を書いた少年もいます」という記事を執筆していた。

すると数日後、愛知県在住のBさんという方からご連絡が。何点か大切なお話を伺ったほか、農業の道を歩もうとする若い世代にお薦めの書籍なども紹介された。

次世代の農家に求められている稲の品種改良は、従来の農法の概念を覆すものになりつつあるといい、悠仁さまが茨城県つくば市の農研機構で「なぜ毎年、イネを栽培するのですか」と尋ねた件も無関係ではないようなのだ。



 

◆奇妙に聞こえた悠仁さまのご質問だが…

極東の気候を熟知し、美味しいお米の安定的な収穫を目指し、農民と研究者のたゆまぬ努力と経験でイネの品種と栽培方法を改良させた日本。

悠仁さまによるその質問を、世間は「無知すぎる」「小学生か」「面倒くさがる人に農業は無理」などと笑ったが、Bさんによればこの発想は次世代に向けた稲作農家の本音であり、作業をラクにさせる新農法のためのイネの品種改良、および田んぼでの実践がすでに進んでいるそうだ。

日本ではイネは一年草(単年草)として育てられ、苗代田で12cmほどに成長した苗を田んぼに移植する作業が「田植え」である。そのためイネを一年草だと思い込んでいる人が殆どだが、イネとは元は多年草だという。

 

◆薄っぺらい知識なら言葉にしないほうが

農業に携わる若者が真剣に読み漁る書籍は多いだろう。今は『おいしい穀物の科学』や『稲の多年草化栽培』などが評判だそうだ。

農業に関わる若者なら必ず読むという「おいしい穀物の科学」という本(画像は『Amazon』のスクリーンショット)
農業に関わる若者には必ず読んでほしい「おいしい穀物の科学」という本(画像は『Amazon』のスクリーンショット)
稲を多年草として栽培する方法を解く本が(画像は『Amazon』のスクリーンショット)
稲を元来の多年草として栽培する方法を解く本が話題に(画像は『Amazon』のスクリーンショット)

 

では悠仁さまも、こうした本を読まれた上でそう質問をなさったのだろうか。だが、Bさんはこのように書いておられる。

「一流進学校に通う高校生が本気でイネの研究者を目指しているなら、『なぜ毎年、栽培するんですか?』と質問するのは、ちょっとあり得ないという気がしました。」

 

「どこかでイネは元来多年草だったと知り、ひょっとしたらその部分だけを記憶して『すごいだろ、僕はこんなことを知ってるんだ』と知識をひけらかしてみたかったのかもしれません。」

 

「多年草だったのになぜ一年草として育てるに至ったのか、どういう経緯をたどっていったのかが大事ですから、そこから学ばないと。」

 

◆多年草化栽培の試みは既に始まっている

めぐみネット(共同通信アグリラボ)というウェブサイトは昨年春、神奈川県の篤農家が秋に刈り取った稲の株を越冬させ、3年連続で収穫する稲の栽培技術を開発し、普及活動を始めていることを伝えていた。

その方こそ、上で紹介した『稲の多年草化栽培』という本の著者、相模原市在住の小川誠さんである。



小川さんは10年ほど前、冬場も田に水を張って観察してみたところ、稲の株の一部が越冬し、翌年新たに芽吹くことを知った。その後、さまざまな品種で試行錯誤を繰り返した小川さんは、「3年連続で収穫できる農法」を確立。現在は4年連続を目標に研究を続けていらっしゃるという。

越冬し多年草と化した株は太く強固で、1株に茎が100本育つことも。ただし根を張ると育つ場所が点在し、収穫時期もばらつく。機械を使わず穂先だけを切りとる「抜穂(ぬきほ)」という手作業が2、3回必要になるが、1名でも関われる新しいタイプの稲作農法である。

自家栽培・消費を目指す方、忙しい兼業農家が関心を示し、小川さんは全国各地で講演会・学習会を開催。自身の営農する水田での研修会も盛況だという。

稲の多年草栽培を学ぼうとする講習会は常に大盛況(画像は『Amazon』のスクリーンショット)
稲の多年草化栽培を学ぼうとする講習会は常に大盛況(画像は『Amazon』のスクリーンショット)

 

悠仁さまもイネの多年草化栽培のことが気になるなら、圃場の見学だけでなく、小川誠さんによる水田での研修会や講習会に参加されてみてはいかがであろうか。

 

◆真剣に多年草化栽培を学びたいなら京都大学へ?

稲の多年草化栽培は新しく実践が始まったばかりなのかと思いきや、実はそうでもなかった。

Bさんはお子さまが京都大学を受験した20年ほど前、この大学に関して「田植え無しの春先直播きで一株が現在の数倍になり、収穫も大幅増。イネの品種を開発し、種もすでに保存済み」という記事を読んで驚いた記憶があるそうだ。

もちろん学力が伴えばの話だが、「イネの品種改革の研究であれば、筑波大や東大より京大のほうがよろしいのかも」とBさん。異種間交配、アジアやアフリカなどの品種の研究、高精度ゲノム解読、そして種の品種登録や商標登録など、京大農学部は目覚ましい実績を誇っているようだ。



 

◆筆者のなかにある強い疑問

筆者はそれとは別に、実は悠仁さまのもう1つの質問「品種の大きな違いは?」がとても気になっている。焦点が絞られていない、実に漠然とした質問だからだ。

この世の中、そういう質問をする人に限って「知りたい」という意欲に欠けていることが多く、真に受けて詳細を説明したところで、相槌も表情もどこか上の空だったりする。悠仁さまのお相手をされた研究者の方も、おそらく疲弊してしまわれたのではないだろうか。

研究者の卵の最低限の礼儀として、まずは自身の知識を整理し、レベルの高い的を射た質問ができるよう、しっかりと準備しておくべきだったように思うが…。

(朝比奈ゆかり/エトセトラ)

画像および参考:
『Amazon』おいしい穀物の科学 (ブルーバックス) 新書

『Amazon』稲の多年草化栽培 単行本 – 2022/4/1

『めぐみネット』越冬する新しい稲作 小規模栽培向け、普及始まる

『エトセトラ・ジャパン』悠仁さま「ご成長」報道に脚長フォトショ疑惑 稲の遺伝子研究は地方の農業高校こそ真剣に取り組んでいる!