ヤフーニュースでも話題に 英『Daily Mail』は “トンボ王子” と日本の皇位継承問題をどう書いたのか
9月11日、こんなコメントがある読者さまよりブログに寄せられた。
今朝、ヤフーニュース(女性自身)で『「“絶滅”の脅威」悠仁さま成年式を報じた海外メディアで使われていた「不穏すぎる表現」』というタイトルの記事が出ていました。
(https://news.yahoo.co.jp/articles/af47561909a247f36816fc7d6e7b5088e0e953c5)
その中に、「日本では悠仁さまがトンボをお好きなことは微笑ましく思われていますが、欧州ではトンボは“魔女の針”とも呼ばれる不吉な昆虫とされていますので、慶事の記事としてはあまりふさわしい表現とはいえません」と書かれていました。
「特にイギリスのタブロイド紙『デイリーメール』は電子版で7本もの記事をアップしていました。
ただ見出しも《Japan’s Prince Hisahito is the first male royal to reach adulthood in 40 years. He may be the last(日本の悠仁親王は40年ぶりに成年に達した男性皇族となる。彼が最後かもしれない)》といった、皇室の将来を心配するようなものもあったのです。
(一部抜粋)
海外が日本の皇位継承問題について、また秋篠宮家について、どういった記事を書いているのか気になる方はとても多い。また、その『Daily Mail』の記事をきちんと和訳して紹介してほしいといったリクエストも頂戴したので、今回はそちらのほぼ全文の和訳をお伝えしてみたい。
非常に長いため、数か所は割愛させていただくことをお許しいただきたい。また、意訳も含まれることをご了承いただければと思う。
■『Japan’s ‘dragonfly prince’ marks his coming of age: Country’s Prince Hisahito is the first male royal to reach adulthood in 40 years – could he save the nation’s monarchy amid threat of ‘extinction’?』 By MONIQUE RUBINS, FEMAIL REPORTER and ALANAH KHOSLA, FEMAIL REPORTER 8 September 2025
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『日本で40年ぶりに男性皇族による成年式 成年した「トンボ王子」は日本の皇室を「絶滅」の脅威から救うことができるのか?』
悠仁さまが日本の男性皇族として40年ぶりに成年し、週末には皇室の伝統に則った成人式が盛大に執り行われた。天皇陛下の弟である秋篠宮さま(皇位継承者)と紀子妃の一人息子で日本が男子限定と定めている皇位継承制度により、悠仁さまは1500年の歴史を持つ「菊の玉座」の継承順位が第2位である。
65歳の徳仁天皇と皇后雅子さまには、一人娘で23歳の愛子さまがいる。国民からは大変人気があるにもかかわらず、19世紀に日本は女性の皇位継承を認めなくなったことから、父の跡を継ぐことができない。
まだ子どもがおらず、生物学を学ぶトンボ好きの学生である悠仁さまが土曜日に成人式を執り行ったことで、日本の皇位継承問題は危機が一層浮き彫りになった。2006年9月6日生まれの悠仁さまは、昨年、成年に達したが、大学入試を控えているとして儀式を延期すると発表した。
(省略/儀式の流れなど)
また、戦後の皇室の伝統に従い、悠仁さまには大勲位菊花大綬章が授与された。祖父母にあたる上皇明仁さまと上皇后美智子さまにも挨拶をされた。その夜には都内のホテルで、秋篠宮夫妻が息子の誕生を祝うプライベートな宴席を設け、親族が集まりお祝いをしたという。
今週初め、悠仁さまは日本の神道の最高峰とされる伊勢神宮、奈良にある神武天皇陵、そして東京の郊外にある曽祖父・昭和天皇の陵墓を参拝。水曜日には石破茂首相をはじめとする高い官位に就く人たちを招いて昼食を共にした。儀式の様子などは日曜日に宮内庁の公式インスタグラムページで公開され、一連の写真に12万1,000件ほどの「いいね!」が付いた。
そのインスタグラムアカウントは、英国王室が参加して10年以上が経った2024年4月に開設されたばかり。国民にもっと皇室のことを知ってもらいたいとする取り組みの一環と考えられており、世界最古の世襲制君主制である日本の皇室のウェブサイトも今年初めに刷新された。TBSニュースによると、オンラインで皇室の最新情報を発信することで、若い世代に対しても存在感を高め、距離を縮めていきたいと考えているもようだ。
明治時代に定められていた家督相続(男子長子相続制)の結果として、皇室は現在不安定な状況に陥っている。現在の日本は女性の皇位継承権を認めておらず、そんななかで女の子の出生が続いたことから皇室は皇位継承問題に直面し、なんらかの対策を練る必要がでてきている。現在、皇位継承権がある男子は3名のみ。継承順位第1位は秋篠宮文仁さま(59歳)、2位は長男・悠仁さま(19歳)、そして3位は常陸宮(89歳)である。
皇太子はおらず、皇室は全体的に高齢化が進み、昨年11月15日に三笠宮妃百合子さまが薨去され、皇族の数も急速に減少し16名に。うち7名は60歳以上である。
日本の皇室に生まれた女性たちは、必ずしも羨ましい地位というわけではない。今の制度では、一般人と結婚すれば皇室を離れ、皇族の称号を捨てなければならない。生まれた子供も皇室の一員となることは決してないという。
徳仁天皇の娘、現在23歳の愛子さまも厳重な警備に囲まれ、政治的意見を持つことも投票することもできない中、皇居で両親と暮らし、枠にはめられ決まりごとだらけの日々を過ごしながら、日本赤十字社の編集者としてのお仕事と皇室の公務を両立させている。現在は公務に献身する愛子さまだが、いとこの小室眞子さんのような生き方も気になるのではないだろうか。眞子さんは現在、ニューヨークで上流階級らしい静かな生活を送っている。
(省略/小室夫妻の出会い~結婚~結婚一時金受け取り拒否など)
1947年に制定された現・皇室典範では、男系男子のみが皇位を継承できることになっている。日本には6世紀から18世紀までの間に8人の女性天皇がいたが、いずれも男系で女系ではない。また、そのほとんどがいずれ男性の皇位継承者が決まるまでの中継ぎであった。
その皇室典範を改正しようという動きのなかで、女性皇族が結婚後も皇族の地位を保持できるようにし、将来もしも男子が誕生するならその子に皇位継承権を得られるようにすることも選択肢の一つとなっている。
もう一つの可能性として考えられているのは、第二次世界大戦の敗戦を機に米国による占領下で皇族としての地位を失っていた旧皇族の男系男子を天皇家に養子に迎える案となる。さらにまた別の選択肢として、旧宮家の男性皇族の皇籍を復活させようという案もあるようだ。
日本の皇室は世界最古の君主制であり、2000年もの長い歴史を誇る男系男子の万世一系で継承されてきた。皇室の末永い存続を願うなら、あらゆる方策を練るべきだとする人がいる一方、保守派は皇位継承規則のいかなる改革、いかなる案についても正統性、安定性に欠くとして反対している。皇室の神話によると、徳仁天皇に至るまでの126人の天皇の初代は、太陽神で皇室の祖神(皇祖神)とされる天照大御神の子孫、神武天皇である。
2024年6月、皇后雅子様と共に英国を公式訪問されるにあたり、徳仁天皇より皇室が直面している危機について、「皇室の男性皇族は減少し、高齢化が進み、女性皇族は結婚により皇室を離れています」という異例の発言があった。皇族と結婚すれば皇室に留まることが可能とされる女性皇族だが、その結婚相手となる男性皇族が存在しない。陛下は「これは皇室の将来に関わる問題ですが、法制度に関する事項については、コメントを控えたいと思います」などとも述べられた。
第二次世界大戦の敗戦以来、天皇が政治に関する発言をすることはなく、陛下のこの発言は皇室のあり方についての貴重な洞察となったことだろう。
2019年、上皇明仁さまの退位で、男性皇族はわずか4人になってしまった。日本の皇室が先細りとなってしまった一因は、皇族の男性のみが皇位を継承できるとする、厳格な男子長子相続制にある。天皇皇后両陛下には一人娘の愛子さまがいらっしゃるが、女性ゆえに彼女は皇位に就くことができず、代わりに陛下の弟が継ぐことになる。
しかし、最近の日本の世論調査では、国民の90%が女性の皇位継承を認める法改正を支持しているという。欧州の君主制は概ね女性統治者を受け入れているが、日本の与党である自民党を中心に、少数ながら権力を持つ保守派議員たちは、女性天皇を認めれば数千年にわたる皇室の伝統が破られる、神武天皇は天照大御神の直系の子孫であり、ここまでずっと男系男子で継承してきた血統が断絶されるなら、国民は天皇の必要性を感じなくなる、などと主張する。徳仁天皇を、初代の神武天皇(紀元前711年~紀元前585年)にまで遡る天皇家の皇統の直系子孫だと信じているためだ。
今年初め、日本の政治家たちはこの問題解決のために話し合いを行ったが、そこに女性天皇容認の議論は含まれていなかった。ジャパンタイムズは2023年11月、皇族の高齢化や退位、一般人との結婚で降嫁したりして、皇族の数が減少していることを理由に公務の見直しが求められていると伝えていた。
もしも悠仁さまに男の子が生まれない場合は、皇位継承者がそこで途絶えてしまう。世論調査では、国民が広く女性天皇制を支持していることが判明しており、日本では皇室典範の改正をめぐる議論が巻き起こっている。保守派はこの考えに強く反対するが、日本には過去に8人もの女性天皇が存在した。最後の女性天皇である後桜町天皇が即位したのは、今から約250年前のことである。
◆まとめ
ゴーストライター説や剽窃行為などが起こった小笠原作文、画像捏造疑惑が何ら解決していない『赤坂御用地のトンボ相』論文、本当にいろいろとあったが、少なくとも小笠原作文に関しては、海外大手メディアにより醜聞は広く拡散されてしまった。
日本の外国人記者クラブには大勢の記者さんがおり、日々アンテナを張りめぐらせ、皇室に関する情報を集めていらっしゃる。不吉な生き物とされるトンボが肩書きになってしまったプリンスに関しても、おそらくは色々な事情をわかっているのだろう。
敢えて書くことはしないだろうが、悠仁さまが心身ともにご健康で、罰則付き報道規制なども敷かれず、進学時の特別待遇疑惑もなく真にご優秀で、秋篠宮夫妻も国民からの信頼、尊崇、敬愛といったものを集める存在であったなら、日本の皇位継承問題はここまでゴタゴタしただろうか、と…。
どの国にも、それぞれの言語で「子を見れば親が分かる/子は親を映す鏡」ということわざがある。秋篠宮家の近年の評判を考えれば、清廉潔白で頭脳明晰な天皇皇后両陛下の直系長子でいらっしゃる愛子さまが次期天皇になる以外、日本の皇室を救う道はないように感じられる。
(朝比奈ゆかり/エトセトラ)
画像および参考:
・『Mail Online』Japan’s ‘dragonfly prince’ marks his coming of age: Country’s Prince Hisahito is the first male royal to reach adulthood in 40 years – could he save the nation’s monarchy amid threat of ‘extinction’?
・『エトセトラ・ジャパン』「文章盗用騒動も賞を手放さない15歳」 複数の英大手メディア驚きのタイトルで悠仁さまについて報道