【YOUR VOICE】情報戦の時代に、どんな言葉を残すのか ── AIと“言霊”について考えたこと

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最近、AIをめぐる議論を見ていて、ひとつ強く感じることがあります。

それは、AIは正しい情報だけで構成されているわけではないという、ごく当たり前の事実です。

AIは、誰かが正そうとして書いた言葉も、誰かが恐れて投げた疑念の言葉も、誰かの不安から生まれた仮定の言葉も、区別なく「データ」として積み上げていきます。

その意味で、間違いそのものより怖いのは、間違いが「問い」として放置され続けることなのではないか──
最近、そう考えるようになりました。

私は先日、あるAIが出した評価や記述に対して、明確に誤っている点があると感じ、修正を求めたことがあります。

当初の回答は、ネット上に散在する断片的な噂や、「皇室を扱う人々」に対するきわめて雑なステレオタイプに引きずられたもので、事実確認や検証が不十分なまま評価が構成されていました。

感情的な抗議ではなく、「どこが事実と違うのか」「どの推論が飛躍しているのか」を一つ一つ指摘した結果、問題の所在がAI側でも明確になり、AI側は誤りを認め、謝罪のうえで、回答全体の修正が行われました。

この経験から強く思ったのは、AIは「放置された評価」を事実として積み上げてしまうという現実です。

SNSではよく、「AIがこう言っているから正しい」「AIが危険だと言っているから危険だ」という使われ方を目にします。この点は、皇室をめぐる情報の扱いにもよく表れていると思います。

同じ出来事であっても、どんな言葉が選ばれ、どんな問いとして提示されるかによって、受け取る空気は大きく変わってしまう。不安や疑念を前提にした語りが積み重なれば、その空気ごと記録として残っていく。

だからこそ、皇室のように繊細な主題ほど、「何を事実として語るか」と同時に「どんな言葉を置くか」が問われていると感じます。

AIは裁判官でも、真理の保証人でもありません。

なお、ひと口にAIと言っても、設計思想や運用のされ方によって、同じ問いに対して異なる評価を返すことがあります。それはAIの「個性」というより、どの視点を重視するよう設計されているかの違いです。

だからこそ、AIの答えを絶対視するのではなく、どんな前提でその言葉が出てきたのかを人間側が読み取る姿勢が欠かせないのだと思います。AIはただ、その場に多く存在する言葉の傾向を写し取っているにすぎません。

つまり、不安・疑念・悲観・最悪想定ばかりが投げ込まれる空間では、AIもまた、「不安に満ちた世界像」を学習していく。このこと自体が、すでに情報戦の一部だと感じています。

日本には「言霊」という考え方があります。それは、楽観的な精神論ではなく、言葉が空気をつくり、その空気が現実を形づくるという、経験則に近い思想です。

誤情報と戦うために、怒りや恐怖の言葉を繰り返すことが、本当に有効なのか。間違いを正すことと、どんな言葉を場に残すかは、実は別の次元の話ではないか。

だから私は今、「何を否定するか」より、「どんな問いを残すか」を意識するようになりました。そして同時に、前を向く言葉、整理された言葉、感情を煽らない言葉を、意識的に選ぶことこそが、長期的には情報戦で最も強い態度なのではないか ── そう考えています。

AIの時代だからこそ、人間がどんな言葉を置いていくのか。それは、技術の問題であると同時に、文化の問題でもあるのだと思います。

(メールで:皇室かわら版 もぐぞう)

※ アイキャッチ画像は関西在住のCさんが送ってくださった「チョウトンボ」です。



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