KKさんを雇い続けるLS法律事務所内に渦巻く反感 「元・銀行員」を売り物にすることの危険性

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ローウェンスタイン・サンドラー法律事務所の評価は現在最悪の星1つ(画像は『Yelp』のスクリーンショット)
ローウェンスタイン・サンドラー法律事務所の評価は現在最悪の星1つ(画像は『Yelp』のスクリーンショット)

優しい語り口と正しいリサーチ力で、高い支持を得ている「輸入食品で楽しい毎日を応援!」でおなじみの女性YouTuber、一ノ瀬さん。KKさんが勤務しているローウェンスタイン・サンドラー法律事務所(以下LS)について、このたびとても興味深い動画をアップしてくださった。

一方で、KKさんはかつての銀行勤務の能力が高く評価され、LSで重宝がられているといった記事を書いたのはNEWSポストセブンだ。ある都市銀行の元行員だった筆者は、いつかこのことを書いてみたいと思っていた。覚えることが山ほどある都市銀行の世界で、KKさんの在職期間はわずか1年7か月。これでは話にならないはずで、「クビになった」という噂には、KKさんは本当に証券外務員資格の二種と一種を取得できたのか、という疑念すらわいてしまうのだ。



一ノ瀬さんが5月30日にアップした動画『KK勤務先の離職者&在職者の評価☆LS社の実態調査(ローウェンスタインサンドラー法律事務所)』で目を引いたのは、飲食店、各種サービス業、企業などの英語版レビューサイト『Yelp』に寄せられた、同法律事務所の評価。最悪の「星1つ」であり、読んでみると、その原因がKKさんの経歴に対する不信感にあるようなのだ。まずは2つのレビューをご紹介してみたい。

 

■グレースRさん(イリノイ州シカゴのループ地区在住)~ 2022年5月30日

I do not see why this firm still employs a certain law clerk who allegedly failed NY Bar Exam twice. I said “allegedly” because he has no ground to enter Fordham Law in the first place. Many think he was not qualified to take the exam, unless some special treatment took place, Already he received full Martin Scholarship for 3 years at Fordham, though his academic achievement was rated fair, as Fordham Law homepage shows, and he had no financial difficulties. He is the one who married an ex “royal” member,

 

(ニューヨーク州司法試験に2回も不合格だった事務員を、なおも雇用する理由がわかりません。特別待遇でもない限り、彼はそもそもフォーダム大ロースクールに入れる資格がなかったと多くの人から伝え聞いています。つまり司法試験を受ける資格もないと考えています。フォーダム大では経済的に困っているわけでもないのに、また学力が特に優秀だったわけでもないのに、3年間フルスカラシップのマーティン奨学金を受け取っていたのです。彼は元ロイヤル・メンバーと結婚した人です。)

 

His dubious profile included having received JFK courage award as well as 2 times award from a megabank in Tokyo where he worked only 19 months and none of his superiors or colleagues remember him being awarded.

 

(彼のプロフィールには、JFK Profile in Courage Awardを受賞した、そして、たった19か月しか働いていない東京にあるメガバンクから、2つの賞を受けとったという疑わしい点が含まれています。しかし、彼の当時の上司や同僚は『そんなこと全く知らなかった』と言っているそうです。)

 

LS still has his name on its homepage with 2 partners on SEC related message. LS should stop this favoritism and stop lowering moral among its employees.

 

(LSは、米国証券取引委員会(SEC)関連の文書をHPにリリースした際、作成者の欄に2人のパートナー弁護士に混じって彼の名も掲げているようですが、従業員のモラル低下にもつながる、このような特別待遇はやめるべきです。)

 

 

■VZさん(ユタ州在住) ~2021年9月29日

I have requested to fix one of their employee’s profiles as soon as possible according to the evidence I have sent by email. Unfortunately, they hide his/her profile from google searches instead of fixing them. His/her profile used to come up with a second result by searching his/her name.

 

(メールに証拠を添えて、ある従業員のプロフィールをできるだけ早く修正するよう依頼したにもかかわらず、残念ながら彼らはGoogleの検索に表示されないようプロフィールのページを隠しただけで、修正することはしませんでした。)

 

He/she will marry a royal member soon, and I would guess the company need to protect him/her since he/she probably used this connection to get this job.

 

(この人物はまもなくロイヤル・メンバーと結婚するでしょう。その特権を使ってここでの仕事を得たようなので、LSとしても守る必要があるのでしょう。)

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この2人は、共にKKさんの経歴をあやしんでいる。あのオバマ元大統領も受賞した「JFK Profile in Courage Award」は、あまりにも大それたハッタリだったが、職務上の自己PRがどうにもウソ臭いとして、そんな風に批判されてしまうのではないだろうか。

 

■驚くほど立派なプロフィール紹介
なにしろ、フォーダム大留学中に参加したニューヨーク州弁護士会主催の「学生向け論文コンペ」の時点から、彼のプロフィール紹介はこんな調子だった。

「東京の法律事務所と外国為替銀行に勤務した経験を持ち、認定証券ブローカー(日本の証券外務員のことだろう)の会員資格を持ち、外国籍の法人の融資と外国為替の取引を担当し、財務の分析も行っていました」

そしてLS法律事務所に入ると、「企業問題の全般について助言している」とある。起業、新興企業、投資家、ベンチャーキャピタルの資金調達、M&A、事業体の形成までありとあらゆる知識を持つというのだ。

驚くほど立派な自己アピールだ。弁護士だらけのニューヨーク市で生き抜くには、これくらいの強気さと度胸が必要なのはわかる。しかし、これを三菱UFJ銀行時代の同僚や上司が見たら驚いてしまうのではないだろうか。

 

■しかし在職1年7ヶ月では…
筆者の場合を思い出すと、入行してすぐに貸し方借り方の勘定から始まる簿記や伝票の扱い方、金融の基礎的な知識、そしてコンプライアンスなどを3ヶ月ほどかけて学び、輸出入や送金といった外国為替事務についての専門的な知識を教わり、やっと研修が終了した。

また、証券外務員試験を受けたのは、コンピューターベースに替わってまだ間もない頃だった。まずは投資信託、株式の現物取引ができる二種試験を受けて合格。しかしそれは、銀行でしか通用しない、試験内容がやや簡単な「特別会員資格」だ。さらには外貨建て生命保険を扱うため、必要な保険外交員(損害保険募集人・生命保険募集人 )資格を取得した。

銀行に入ったら、とにかく最初の1年は研修と資格試験取得に追われる。KKさんはプラス7か月だとしても、先輩の下で事務処理のノウハウを覚えるのが精一杯だったのではないだろうか。あれもこれもやっていました、はちょっと誇張しすぎな気がする。

 

■周囲のほとんどが資格取得後に入行
筆者のころと時代は変わり、金融機関に就職を希望する今どきの学生は、殆どが大学在学中にそれらの試験を自費で取得し、エントリーシートに証券外務員やFP(ファイナンシャルプランナー)の何級をいつ取得したなどと書いて志願するという。しかも証券会社でも通用する、難度の高い「正会員資格」だそうだ。

一方のKKさんは、そもそもアナウンサー志願だったというから、そうした資格を取得した上で銀行に就職したとは考えにくい。一般研修と並行して各種資格取得の座学と自宅での徹夜の勉強、そして試験、不合格ならまた挑戦、そんな日々が続いたものと想像する。

 

■合格できなければクビ?
なにしろ証券外務員は、「銀行員ならぜひ持っていたいですね」どころの資格ではない。持たずに顧客に投資信託などを薦めたり、売買に関わったりすれば、金融商品取引法に違反し、金融庁はそういう点にしっかりと目を光らせ、検査や監督を行っている。

つまり、その資格を取れなければ真の銀行員として認められないわけで、クビになる、居づらくなって辞めたというのは、たいがい資格試験でつまずいた人たちだった。銀行員や証券マンは、とにかく勉強好きでなければ務まらないのだ。

 

■なぜか持ち上げるNEWSポストセブン
NEWSポストセブンは当時のKKさんについて、こう書いている。

東京・丸の内支店勤務というエリート銀行マンだった。「キャリアは浅いが、大手都市銀行の勤務歴から、金融の知識を買われてアシスタントを任されたと思われます」(前出・皇室ジャーナリスト)

いやいや…、都市銀行は早稲田・慶応が最も多く、他に東大・一橋大・大阪大・京大などの優秀な人材が大勢採用されていると思うが…。

丸の内支店か否かにかかわらず、銀行の世界は「キャリアは浅いがOK」という話はまず通用しない。実務を通じて覚えることが山ほどあり、先輩について融資たるものをじっくりと学び、しっかりとした稟議書を書けるようになることがとても重要だ。

KKさんは、支店長をうならせるような稟議書を果たして書いたことがあるのだろうか。もしもその経験がない場合、ホンモノの金融取引のエキスパートと話をしたら、あっという間に薄っぺらさを見抜かれてしまうだろう。KKさんは銀行員だった過去をあまり売り物にしないほうが良いように思う。



参考および画像:
『NEWSポストセブン』小室圭さん「弁護士事務所で新たな職務」元銀行勤務の能力が高く評価されたか

『YouTube』KK勤務先の離職者&在職者の評価☆LS社の実態調査(ローウェンスタインサンドラー法律事務所)

『Yelp』 Lowenstein Sandler

(朝比奈ゆかり/エトセトラ)