【皇室、徒然なるままに】第86話:「男系男子」の呪い 西村 泰一
§1 Behind the Scenes
以下、どれも最近の皇室を論じている方の間ではよく知られた話ですが、その背後にある「男系男子」の呪いについてお話しましょう。昔のように、側室が沢山いた時代なら兎も角、今のように側室もおらず、おまけに晩婚化している時代には、「男系男子」の原理を貫徹しようとすれば、皇統は維持できなくなるということは、「男系男子」主義者の方にも、よく理解されている話です。ですから「男系男子」主義者の方は、皇統を維持するために、無理あるいは不正に手を出さざるを得ないんですね。それがこれなんです。
1.まず最初に取り上げるのは、皇位継承順位第一位の文仁君が美智子さんの妹さんからの養子だという件です。
その時点で、美智子さんには、既に現在の今上天皇という男のお子さんがおられました。又この頃は美智子さんは妊娠ができない状態にありました。御承知のように、皇室典範第9条で、天皇や皇族が養子をすることは禁止されています。したがって、養子をするとすれば、美智子さん自身が、さも妊娠したような偽造工作を行う必要があったわけです。
悠仁君が、例のトンボ論文で繰り広げた、さも赤坂御用地に絶滅危惧種のトンボがいたかのように装うための偽装工作と同じ類の話です。このあたりについては下の記事を御覧ください。
■『秋篠宮さまと安西孝之氏は「顔」も「手つき」もソックリ わが子全員にそちら側のDNAが現れるという皮肉
勿論、偽装工作といっても、一般庶民に対する偽装工作であって、美智子さんの近くの人達は、文仁君が養子であることをよくご存知です。特に、昭和天皇は、よくご存知でした。ですから昭和天皇は、晩年に何度も、「浩宮の次の天皇は浩宮の子」ということを、仰ったわけです。
それでは、何故美智子さんは、そこまでして、文仁君を養子にしたかったのでしょうか?そこで「男系男子」という話が出てくるんです。男のお子さんが浩宮さん一人だと、「男系男子」の原則を貫き通すことは、とても危ない話になるというわけです。実際、浩宮さんには愛子さんという女性のお子さんしかありませんでした。勿論、こんな話は、美智子さん御夫妻だけで決めて実行したという話ではなく、当然宮内庁あたりにいる「男系男子」主義者の方々の肝煎りで行われた事は、論を待ちません。そうした方々にとっては、悪いことをしているという意識は微塵もなく、皇室のために身命を擲っているという心持ちなんでしょうね。やれやれ。
2.次に紀子さんによる男女産み分けによる悠仁君の受胎の話を思い起こしましょう。
この頃、小泉純一郎内閣は、野党の同意も得て、女性女系天皇に突き進んでいました。それが悠仁君受胎で一瞬にして雲散霧消してしまいます。この男女産み分けによる悠仁君受胎の話ですが、文仁君と紀子さん二人だけの暴走ではありません。明らかに、二人の背後でまた「男系男子」主義者が暗躍していますね。二人はその話に乗ったに過ぎません。
3.最後に雅子様の適応障害の件について見てみましょうか。
美智子さんの虐めが原因となさる向きもあるようですが、美智子さんの虐めとして上がっているものを拝見しましたが、なんとも子供じみた虐めで、あんなもので雅子様が精神のバランスを崩されるとはとても思えません。雅子様というのは、とても強い女性です。私は、雅子様をあそこまで追い詰めたものは、雅子様の周りの「男系男子」主義者の方々の「皇后になる方の最大の務めは男の子をたくさん生むことです」といった趣旨の話が執拗に繰り返されたことではないかと思っています。
この話というのは、大変な物議を醸した柳沢労働大臣の「女は子どもを産む機械」発言と軌を一にするんですよね。紀子さんのような人であれば、こういう話はヘッチャラかもしれません。寧ろ喜んで「頑張ります」と仰るでしょう。しかし雅子様は所謂キャリアウーマンとして結婚前に既にあれだけの位置におられた方です。こんな話を執拗にされたら、自分の人生や人格をすべて否定されたと受け取られるのは、無理もない話です。たまったものではありません。こうして歴史上「浩宮の乱」と呼ばれる、今上天皇が皇太子の折に仰った「人格否定」云々の話に繋がってくるんです。
§2 「男系男子」は女性虐待である
国連の女性差別撤廃委員会で、日本の男系男子による皇位継承のあり方も検討されているようである。でも私に言わせれば、「男系男子」は単に女性差別なんじゃなくて、上記の3で見たように女性虐待を伴うんですよね。今では普通にやれば、男系男子だと皇統を維持できないので、どうしても皇后になる女性に不当な圧力をかけてしまうんですよね。
最近はハラスメントという言葉をよく耳にするようになりましたね。セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、アカデミックハラスメントといった具合に。今の時代、「男系男子」を無理に維持しようとすると、必然的にプレ・マタニティハラスメント(妊活ハラスメント)を引き起こしてしまうんですね。それは絶対にやめなければ、いけません。「雅子様の悲劇」だけで、もう沢山です。
§3 移りゆく時代の狭間で
私は昨年古希を迎えました。このくらい長く生きていると、随分と世の中は変わったなという印象を強く持ちます。それはPCやスマートフォンといった物だけではなく、人々の価値観も大きく変わってきたなと感じます。大学の先生をしていた折に、女子学生に「女の子がそんなことしちゃ駄目だよ」と注意して、笑われたことがあります。今は女性か男性かという性で、こうあるべきという規範が変わってくるような時代ではないんですよね。男性のやることは女性もやる、そういう時代なんですよね。あとLGBTの話なんかも随分と驚かされました。昔は、こういうのは、日陰者だったんですよね。
悠仁君は中学も高校も共学ですが、これまでのところ、彼にガールフレンドがいたなんて話は全く聞きません。彼は今忙しいとかいうことで、成人会見が先延ばしになっていますが、来年あたりに設けられるその成人会見で、「僕はGayです」なんて宣言されたら、コチコチの「男系男子」主義者の方はどうされるんでしょうね。電通の子会社の電通ダイバーシティ・ラボが全国の20-59歳の約7万人を対象に行なったインターネット調査によると、そのうちの7.8%が所謂LGBTに該当するのだそうです。ですから前記の話は十分にあり得る話です。
今皇室典範で悠仁君は養子をとることができません。でも悠仁君が結婚したいという相手がシングルマザーだったら、どうなさいますか?その方は、前の御主人とは交通事故で死別されたとでもしておきましょうか? 普通の男性であれば「普通養子縁組」か「特別養子縁組」で、それらのお子さんを養子にするのが通常だと思います。悠仁君は皇室典範でそんなのは駄目と一律に切り捨てられますか? あるいは皇室典範第10条で、悠仁君の結婚については皇室会議の承諾が必要となっていますので、そんな結婚は認められないと突っぱねられますか?
こうして見てくると、皇室典範、弄らなければいけないことが随分ありそうですね。
§4 Concluding Music
それでは、いつものように、音楽を聴きながら、終わりましょう。
(理学博士:西村泰一)
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【西村先生のご経歴】
1966年4月ー1972年3月 洛星中高等学校
1972年4月ー1976年3月 京都大学理学部
1976年4月ー1979年10月 京都大学大学院数理解析専攻
1979年11月ー1986年3月 京都大学附置数理解析研究所
1986年4月ー2019年3月 筑波大学(数学)
参考:
・『YouTube』《中國新說唱2020》純享:佚名廠牌張靚穎&GALI《Fighting Shadows》廠牌選手歸來團結助力|愛奇藝 iQIYI TW – Get the iQIYI APP
・『Wikipedia』人格否定発言
・『エトセトラ・ジャパン』秋篠宮さまと安西孝之氏は「顔」も「手つき」もソックリ わが子全員にそちら側のDNAが現れるという皮肉
香淳皇后は昭和天皇が側室を認めず、お子様に恵まれながら女児4名続いたが故に初めての男児出生が明仁サマで日本中で歓喜の渦であったようです。昭和天皇も相当なお喜びの様子が伝わっていますね。時代は軍靴の響きが大きく男子を押し上げる情勢だったのでしょう。
露わになってきた、敗戦後に当時GHQの意向で派遣されたらしい正田美智子サマとの婚姻が今日現在まで日本の国体に悪影響を及ぼしています。皇室を信頼する、信頼すべき、信頼したかった、国民の想いは無残に打ち砕かれてしまいました。英霊や戦禍の犠牲を想い、恨みさえ覚えます。
皇統簒奪を企てても、既に秋篠宮は破綻していて悠仁サマに継がせるのは不可能です。若し、敬宮殿下が男児であったとしても西村先生の御指摘通り、同じ論調で皇位継承の危機とされる状況は続くでしょうね。
先ず、素晴らしい成長を遂げた敬宮殿下に皇位を託し信頼を強め、時を追って盤石に固める方法を考えると日本は安定するでしょう。大いに期待します。
男系男子は妊活ハラスメント、言い得て妙ですね。
「男系男子」は古代、中世、戦前の性差別、女性蔑視、軍国主義の時代のやり方です。この様なやり方を国民は支持しません。
また、過去の時代において皇位継承の方法に民意が反映された事はなく「国民の支持」を得た伝統ではありません。
平成、令和の代替りは天皇直系の男子がおいでだったので「性差別の議論」が結果的に起きなかったのであって、直系が女子のみであれば国民的議論になったにちがいありません。
性差別継承を信奉する一派はいまだに「静謐な議論」と言う詭弁を弄して国民の声を排除する卑劣漢です。
天皇家に御立派に成人なさった皇女様がいらっしゃるのに、「男」と言うだけで傍系に皇統を変更するならば、「次の天皇」は「性差別天皇」として後指を刺され、国民の敬愛は当然ゼロ、天皇制はそこでおしまいでしょう。
いや、民意の大逆風で即位する事も不可能でしょう。