安倍氏亡き後も神道政治連盟とズブズブな産経新聞 統一教会叩きを批判する記事を掲載

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統一教会を叩く記事を出した文春を批判(画像は『産経新聞』のスクリーンショット)
統一教会を叩く記事を出した文春を批判(画像は『産経新聞』のスクリーンショット)

 

14日、産経新聞・電子版の『花田紀凱の週刊誌ウオッチング』シリーズは、“(886)情けない『文春』の統一教会叩き”なるタイトルの記事だった。これだけ安倍晋三氏、自民党と統一教会の関係が問題視されているなか、なおもこのような記事を掲載する産経新聞には困惑するばかり。さらに、神道政治連盟との密な関係にも驚かされる。



連載で「週刊誌ウオッチング」を執筆する花田氏は、『文藝春秋』や『週刊文春』を経て、2004年に編集長として『WiLL』を創刊し、さらに現在は『月刊Hanada』の編集長だ。Hanadaの2022年9月号 (7月26日発売)は、240ページを使っての『安倍総理・追悼大特集』。安倍氏を思い切りヨイショしている様子だ。

花田氏が批判したのは、かつて古巣だった文春の『統一教会の大罪 安倍晋三元首相と統一教会全内幕』という記事。10年以上前のことをほじくり返してまで「統一教会の噓を暴く 献金極秘文書」なる内容を書いたとし、文春までが統一教会叩きに熱中するとは情けないとバッサリ。新聞、テレビ、週刊誌は安倍元総理を批判するため、統一教会の力を意図的に過大評価しているのでは、とまとめている。

ここからが本題となるが、産経新聞に対する筆者の個人的な感想であることを先にお断りしておきたい。

 

■「神道政治連盟」は産経ベッタリ

産経、読売、日経は常に安倍氏寄りといわれてきたが、安倍氏が特に産経をかわいがっているのもミエミエだった。また、KK問題により世論が秋篠宮家に皇統が移ることに抵抗を示し始めても、「神道政治連盟(以下:神政連)と産経は常に歩調を合わせつつ、男系男子の尊重、維持、皇籍復帰にこだわってきた。

「女性天皇の容認」にノーというパンフ作りに懸命になる(画像は『神道政治連盟』HPのスクリーンショット)
「女性天皇の容認」にノーというパンフ作りに懸命になる(画像は『神道政治連盟』HPのスクリーンショット)

 

全国の神社を統括する神社本庁(民間団体)の関係団体で、安倍氏主導の神道政治連盟国会議員懇談会とタッグを組みつつ、その活動を推し進める神政連。産経はここと切っても切れない仲だ。神政連の公式ホームページはことごとく、自分たちにとって都合のよい産経新聞の記事ばかりを掲載してきたのだ。

皇族に関するニュースも当然産経新聞から抜粋(画像は『神道政治連盟』のスクリーンショット)
皇族に関するニュースも当然産経新聞から抜粋(画像は『神道政治連盟』のスクリーンショット)

上はそのHP内の「最近の動向」で案内された皇族に関する記事だが、記事の「一覧」にある複数のカテゴリーから記事を適当にクリックすると、すべて最後に「産経新聞より抜粋」とあった。

さらに2020年には、神道政治連盟と同連盟国会議員懇談会(会長は安倍氏)の結成50周年を祝う合同記念式典が予定されたが、新型コロナウイルスの影響で中止されることが8月に決まった。

このニュースを伝えたのは産経のみ ツーカーの仲というほかない(画像は『産経新聞』のスクリーンショット)
このニュースを伝えたのは産経のみ ツーカーの仲というほかない(画像は『産経新聞』のスクリーンショット)

 

連盟のHP以外でこのニュースを報じたのは、産経新聞のみだった。

 

今の時代に「万世一系の皇統」を持ち出すなら、DNA鑑定とセットでと求める声も増えている(画像は『神道政治連盟』のスクリーンショット)
今の時代に「万世一系の皇統」を持ち出す神政連に対しては、「DNA鑑定とセットで」と反論する人も(画像は『神道政治連盟』のスクリーンショット)

産経新聞の市販価格が安く、ライバル新聞社が有料で記事を提供するなか無料で全文を配信できるのも、こうした組織から高額の記事掲載料が入ってくるからか。それとも神政連がお金を払って自分たち寄りの記事を産経に書かせていたのか。つい、あれこれ勘繰ってしまう。

とはいえ、この組織は今後どれほどの勢力を維持できるのだろう。平成2年10月にホームページがリニューアルされ、「お知らせ」は3ヶ月くらいの間隔でアップされてきたが、2021年7月1日に神政連レポート『意-こころ-214号』を発行したという案内を最後に更新がストップしたのだ。

昨年9月29日、自民党総裁選の投票が行われ岸田氏が勝利したため、何か新しい動きでもあったのかと思ったが、さにあらず。性的マイノリティであるLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)をめぐり、その次の『意-こころ-215号』に問題のある記事が掲載されたため、サイト上から削除されるなど騒動が発覚している。



 

■政府に自浄能力がないからこそ

新聞社もそれぞれにカラーを出す時代で、民意に迎合しない記事を書くことも重要だ。だが国際的カルト集団が「票田」と化して日本の選挙に影響を与えていたことが発覚し、政府に自浄の能力も努力も期待できないとみた週刊誌は動いて当然だ。それを批判するのはいかがなものかと思う。

たとえば、ここまで叩かずにきたNHKも、とうとう萩生田政調会長と生稲晃子氏による旧・統一教会関連施設訪問について触れたが、世間からは「報道が遅すぎる。ここまでどんな圧力と闘ってきたのか」と批判されているではないか。

 

■選挙に存在しなかった「民主主義」

安倍氏銃撃事件について、岸田首相が放った「民主主義の根幹たる選挙中に起きた卑劣な蛮行」「民主主義を守り抜く」という強い発言。それに一緒にうなずき、同情の票を自民党に投じた世間の人々の気持ちは、果たして現在も同じだろうか。何しろ、その選挙に私たちが知るような民主主義は存在していなかったのだ。

産経新聞(紙ベース)は値段が安いため、若い世代、あるいは論調にこだわりがない人は購入しやすい新聞だ。だが野党、特に日本共産党による政府批判を敵視して書くことが多く、原発の再稼働・新増設をとあおるような記事も筆者にとっては鼻に付く。

個人的な考え方ではあるが、若い人たちには、産経新聞だけを読んで世の中を正しく理解できたような気にはなってほしくないと常に思っている。

画像および参考:
『産経新聞』花田紀凱の週刊誌ウォッチング
(886)情けない『文春』の統一教会叩き

『神道政治連盟』神政連が目指す国づくり

『産経新聞』神道政治連盟、結成50周年の式典中止

(朝比奈ゆかり/エトセトラ)