「どこの馬の骨かわからない男」発言で思い出す13年前の陳情 何者かが政府に「高松宮、秩父宮または三笠宮家に男系男子が養子入りを」と
Xでここ数日、『百田尚樹氏、「女性天皇」と「女系天皇」の違いを強調「世間の多くの人はこの違いをわかっていない」』という記事が話題になっていたので、ちょっと読んでみた。
作家で日本保守党の百田尚樹氏は、簡単に言えば女系天皇には反対で、引用されている弁護士・北村晴男氏の説もまたひどい。
記事にはこう書かれていた。
(一部抜粋)
百田氏はまず、弁護士の北村晴男氏による「女系天皇を画策する者は、1 天皇制廃止を画策する者 2 歴史の重みを理解しない者のどちらかと思われる。1であれば、彼らを皇統の議論に加えるのは間違いだ」との投稿をリポストした。
そのうえで百田氏は、「あらためて書いておく。『女性天皇』というのは、文字通り女性の天皇のことだ。一方、『女系天皇』というのは、わかりやすく言えば、『どこの馬の骨ともわからない男を父親に持つ天皇』ということ。
世間の多くの人はこの違いをわかっていない」と、私見をつづった。
するとSNSでは「男系の天皇だってそれは同じ」という声が噴出した。例えば、7代さかのぼるという宮内庁の身辺調査を拒んだまま秋篠宮さまと結婚された紀子さまは、それが影響してか、その後にいろいろと出自の怪しさが指摘されるようになった。
そういうご結婚は「皇族なのに、どこの馬の骨ともわからない女と結婚した」と言われてしまうだろう。すると、悠仁さまも『どこの馬の骨ともわからない女を母親に持つ天皇』となってしまうのだろうか。
◆2012年にある組織から養子案が
2012年(平成24年)、民主党の野田政権には内閣官房皇室典範改正準備室というものが存在し、女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持することを可能とする案や、女性皇族に皇籍離脱後も皇室のご活動を支援していただく「国家公務員」案を打ち出していた。
当時はまだ旧宮家養子案の発想はなく、結婚後も「内親王」や「女王」といった皇族時代の称号を保持という「尊称案」は困難と考えていたようだ。
ところが同年11月、男系男子による皇位継承の維持を謳う「皇室の伝統を守る国民の会」がそれに異論を唱えた。『政府が発表した「皇室制度に関する有識者ヒアリングを踏まえた論点整理」に関する私たちの見解』を発表し、養子案を最優先で検討するよう提唱したのだ。
◆「皇室の伝統を守る国民の会」とは
2006年2月、国会で秋篠宮妃紀子さまのご懐妊が発表されると、俄然勢いを増した日本会議は、自分達が事務局となり同年3月に「皇室の伝統を守る国民の会」を設立した。
Wikipediaによれば、総会に出席した故・安倍晋三氏までが、「民主党政権が小泉内閣の有識者会議(2005年)の結論にこだわる必要はまったくない」と述べ、GHQによって皇籍離脱させられた旧皇族の皇籍復帰を、女性宮家創設案より優先して検討する必要性を訴えたとある。
現在の「皇室の伝統を守る国民の会」会長は元参議院議員の山東昭子氏。呼びかけ人のリストはこうなっている。

◆「旧宮家の皇籍復帰」の陳情が延々と
2012年(平成24年)は、12月26日に政権が野田内閣から第2次安倍内閣へと移った年でもあった。
女性宮家創設を目指していた野田内閣では、内閣官房皇室典範改正準備室として同年10月から12月中旬まで、電話、メールやFAXで国民の声を募っていた。
寄せられた意見は26万件を超えたというが、『皇室制度に関する有識者ヒアリングを踏まえた論点整理」に係る意見募集の結果について 平 成 24年12 月18日』を読むと、同じ人物から何件もの意見が届いていることも書かれていた。
案の定、こんな感じで「旧宮家の皇籍復帰を」と異口同音に訴える陳情が延々と続く。

青い線を引いてみたが、実に興味深い一文である。(一部抜粋)
天皇が 125代も世襲によって維持されたのは、男系男子という大前提があったからこそ、いろいろ苦心されて世襲の天皇が維持されたのです。それが、どこの馬の骨か分からない一般国民の血が入ってしまうと、何故天皇は世襲なのかという異議が出てくることは必至です。
そのためにも、GHQによって廃止された旧宮家の中から、男系男子の血筋を有する宮家を復活させるか、高松宮家、秩父宮家または三笠宮家に男系男子を養子に入れることで、125 代も続いた天皇の世襲を維持可能であり、女性宮家制度を取り入れるなどという1~3代しか通用しない姑息な手段は取るべきでないと思います。
「高松宮家、秩父宮家または三笠宮家に男系男子を養子に入れる」とは、まさに麻生太郎氏が悲願としているであろう三笠宮家+竹田恒泰氏を想像させる。竹田氏はご自身が29歳のときに養子案の検討をと提案していたというので、彼とタッグを組もうと一大勢力が築かれていったのかもしれない。
明治天皇から見れば女系である竹田氏も、崇光天皇の子孫としては男系になる。もっとも在位1428-1464年の第102代では、DNA鑑定の術もなく、側室も「はらんだ者勝ち。“天皇のお子です” と言った者勝ち」だった。
つまり、百田氏が問題に感じている、「どこの馬の骨」の子を宿したか確かめようもない時代だったのである。現実問題として、私たちは全ての天皇の7割が側室の腹から生まれていることを忘れてはならない。
国民のほとんどは、今上陛下を “神武天皇の子孫” という理由で尊崇しているわけではなく、陛下の帝王学、精神性こそが敬愛、尊崇の対象であるはずだ。
◆「どこの馬の骨かわからない男」を小室さんで?
国民が切望する敬宮愛子さまの皇位継承は、当然ながら女系天皇の誕生につながる。英チャールズ国王は、世界で最も愛された女王と言われる故・エリザベス女王のご長男、つまり「女系の国王」だが、そのことで何か問題でも起きているだろうか。
一方、日本で「どこの馬の骨」結婚をしてしまったのは秋篠宮さまであり、長女・眞子さんも、訳アリを隠すことが難しくなってきたにもかかわらず、小室圭さんと結ばれた。
筆者が一番驚いたのは、宮内庁による身辺調査を秋篠宮夫妻が止めたという話である。
莫大な資産や名誉を誇るお家は、子供の結婚相手選びには特に注意するもの。金銭トラブルがある人々を必ず遠ざけようと努力するのが常識ではないだろうか。
朝見の儀もやらない、守谷さんご夫妻のような華やかな挙式や披露宴もなし。秋篠宮夫妻としては非常に悔しかっただろう。だが “暴走婚” などと呼ばれたあのご結婚は、少なくとも「小室夫妻のようなNG事例も起こりえる。女性皇族の結婚は夫選びに難がある」という不安な印象を国民にもたらした。
愛子さまはご結婚とともに、さっさと降嫁なさってくださいと国民も言い出すことを期待して、長女のああいった結婚を許したということはないだろうか。
◆冷静な学者さんは「陛下への不敬」と気づくはず
日本会議の会員数、実態はどうなのだろうか。
悠仁さまご誕生で “男系男子による皇位継承はこれで約束されたぞ、安心だ!” と沸き、勝共や愛国をスローガンとして一致団結していた頃は、全国に会員が5万人ほどいたとも言われている。
彼らが1人数本の「旧宮家の子孫に皇籍の復帰を。現宮家に養子に入れば皇位継承権さえも」などと書いて送れば、あっという間に20万通の陳情書になるだろう。
ところがその後、悠仁さまの評価はガクンと落ちた。学者揃いの多い組織では、秋篠宮家推しの熱も冷めてしまうだろう。「ダメだなあそこは。もっときちんとした男子がどこかの宮家にいないだろうか?」と。
現実問題、日本会議の会員数は35,000人ほどに減ったような報道があり、「もうそんなにもいないだろう」という人も。愛国、保守という言葉を信じて会員になったはいいが、今上陛下に対する不敬は嫌だと言って離れていく方が少なくないというのだ。
信じるという意味では、敬宮愛子さまのご結婚相手選びにその言葉を使う方が俄然増えている。
改めて百田氏の発言を引用させていただくが、敬宮さまがどこの馬の骨ともわからない男と恋に落ち、ご両親の両陛下がお喜びにならないようなご結婚をなさるのでは…と不安に思っている国民など、果たしているのだろうか。そんな心配はまったく無用だと筆者は思う。
(朝比奈ゆかり/エトセトラ)
画像および参考:
・『皇室の伝統を守る国民の会』政府が発表した「皇室制度に関する有識者ヒアリングを踏まえた論点整理」に関する私たちの見解(平成24年11月)
・『Wikipedia』皇室の伝統を守る国民の会
・『日本会議』皇室の伝統を守ろう!日本武道館・一万名大会