昨日あることが気になり、宮内庁が発表した令和7年度の皇室費概算要求額を見つめていた。するとその近くに「国際親善等経費」という項目があり、こちらもちょっと調べたくなってしまった。コロナ禍で要求額に何か変化はあったのか、そして来年の天皇御一家における外国ご訪問のための予算は…!?

かねてから国民に「皇室外交というより、ただの豪華な海外旅行だ」などとブーブー文句を言われながらも、外国を頻繁に訪問される秋篠宮夫妻。

ベトナムご訪問では、紀子さまのお姿が写真に収まらないようにして報じられるなど、現地メディアの塩対応にも驚いたが、来月3日からのトルコご訪問も、あちらが楽しみに待っていてくださるといった報道がないところが悲しい。

そういった状況を、筆者は「いわゆる予算消化のため、押しかけと言われようが、秋篠宮家にはどんどん海外に出かけていただかなければならないのでは？」とずっと疑っていた。

◆予算の推移

宮内庁が毎年8月までにまとめ、次年度の予算として財務省に提出する概算要求。そのうち重要な情報が満載なのが皇室費である。今回注目したのは、そのなかの「国際親善等経費」であった。 H31とあるのは平成30年（2018年）8月までに、そして最新のR7は今年8月までにまとめられた予算の額である。

まずは国際親善等経費全体の予算から。令和2年度から6年度まで予算は毎年3億円強で来ていたが、来年度はちょっと増えているようだ。（以下、金額の単位は千円）

H31 262,836
R2　306,100
R3　304,968
R4　305,146
R5　303,236
R6　304,111
R7　321,558

◆ほぼ変わらない「宮廷庁費」の雑役務費と通信運搬費

天皇皇后両陛下および皇嗣同妃両殿下において、外国御訪問費の「（宮廷）庁費／雑役務費」には意外にも多くの予算が組まれていた。だが年度ごとの推移は面白いほど変わらないこともわかった。

H31   両陛下 42,077 　両殿下 9,630
R2 　両陛下 42,433　 両殿下 9,664
R3 　両陛下 42,433 　両殿下 9,664
R4　 両陛下 42,433　 両殿下 9,664
R5 　両陛下 42,433 　両殿下 9,664
R6　 両陛下 42,433 　両殿下 9,664
R7　 両陛下 42,433 　両殿下 9,664

そして「（宮廷）庁費／通信運搬費」について。各方面への招待状やその郵送料に一番お金を使うのだろうが、次年度の外国訪問の情報がまだ得られない8月にまとめなければならないだけに「とりあえず多めに、これだけは確保しておこう」となるのだろう。

H31  両陛下 2,456　両殿下 1,194
R2　両陛下 2,456　両殿下 1,194
R3　両陛下 2,456　両殿下 1,194
R4　両陛下 2,456　両殿下 1,194
R5　両陛下 2,456　両殿下 1,194
R6　両陛下 2,456　両殿下 1,194
R7　両陛下 2,456　両殿下 1,194

ここで忘れてならないのは、新型コロナウイルスのパンデミックのため、3年間ほど海外との往来は困難であったこと。それが何ら概算要求額に影響を及ぼしていないなど、民間企業ならあり得ない。もらった予算は一体どこで消化していたのだろうか。

◆両陛下のための予算が減らされている！

続いては「報償費」について。

外国のご訪問にあたっては、情報を収集してもらい、スムーズで安全な滞在となるよう様々な配慮や融通をお願いし、イベントには要人や日本人会の皆さまをお招きしたりと、様々な経費がかかる。そういったことへのお礼が報償費だと考えた場合、天皇皇后両陛下の額ばかりR6からどんどん減らされているようだ。

H31  両陛下 42,303    両殿下 17,652
R2　両陛下 42,876　両殿下 17,915
R3    両陛下 42,876　両殿下 17,915
R4    両陛下 42,876　両殿下 17,915
R5　両陛下 42,876　両殿下 17,915
R6    両陛下 40,876   両殿下 17,915
R7    両陛下 30,876   両殿下 17,915

◆注目したい「庁費／借料及損料」

しかし、天皇皇后両陛下および皇嗣同妃両殿下において、外国御訪問費の借料及損料を見て驚いた。これは会議場、施設、車、バスなど何かを賃借した際に支払う費用のことで、なんとR7においては天皇皇后両陛下にこれまでの2倍以上の予算が組まれ、秋篠宮夫妻を初めて抜いたのだ。

H31   両陛下 26,451　 両殿下 10,460
R2 　両陛下 26,465 　両殿下 49,189
R3 　両陛下 26,465 　両殿下 49,189
R4 　両陛下 26,465 　両殿下 49,189
R5 　両陛下 26,465 　両殿下 49,189
R6 　両陛下 26,465 　両殿下 49,189
R7 　両陛下 57,845    両殿下 49,189

つまり、両陛下や敬宮愛子さまが次々と外国を公式訪問され、皇室外交をなさるために多くの予算が組まれているということではないだろうか。

◆両陛下はこれほどまでにお忙しい

令和の天皇皇后両陛下は、これほどまでにお忙しくていらっしゃる。たとえば宮内庁のホームページを見ると、先の10月はこのようなご日程をこなしておられたようだ。

さらに、天皇の果たすべき義務ともいわれる宮中での儀式、行事、行幸啓といった国事行為をこなしておられる。

お支えできる皇太子が空位ということもあり、両陛下は常に御多忙でいらっしゃる。その一方で、紀子さまや佳子さまは海外旅行が楽しみでならないご様子だ。

これでは天皇皇后両陛下に招待状がきたものでも「大変お忙しい両陛下に代わり、秋篠宮ご一家がどんどん海外にお出かけ下さい」となってしまうだろう。国際親善等経費全体の予算として、宮内庁は毎年かなりの額を押さえてしまっているのだ。

しかし国民は、両陛下や敬宮さまによる質の高い皇室外交を期待している。まずは両陛下のお忙しすぎるご公務を、1日も早く見直していただきたいものである。

（朝比奈ゆかり／エトセトラ）

画像および参考：
・『宮内庁』平成31年度歳出概算要求書（皇室費）

・『宮内庁』令和２年度歳出概算要求書（皇室費）

・『宮内庁』令和３年度歳出概算要求書（皇室費）

・『宮内庁』令和4年度歳出概算要求書（皇室費）

・『宮内庁』令和5年度歳出概算要求書（皇室費）

・『宮内庁』令和6年度歳出概算要求書（皇室費）

・『宮内庁』令和7年度歳出概算要求書（皇室費）

・『宮内庁』天皇ご一家のご日程