「なぜ女性ではダメなのか?」に50秒も沈黙した木原官房長官 実は政権内部でも納得、確信している人が少ないのでは?

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「皇室典範等の一部を改正する法律案」に関して開かれた7月10日の衆議院・議院運営委員会。終わってみると、共産党の塩川鉄也議員だけが、皇室を大切に思う国民が抱いている疑問を代弁、質問しておられた。

どうせ「成立」という結論ありきで始まったもの。木原内閣官房長官を50秒もあたふたとさせてしまった場面こそが、この日のハイライトだった。



 

◆塩川議員、ごもっとも!

日本共産党は早くから女性天皇、女系天皇の容認についても議論するべきだと主張。高山聡史議員(チームみらい)に続き、塩川議員は最後の発言を担当した。

 

主権者である国民の総意に基づく日本国民統合の象徴の地位にある天皇を、男性に限定しているという現状を正すことは、国民の中での両性の平等、ジェンダー平等を発展させる上でも意義ある改革になると思うからであります。

 

憲法第1条は天皇を日本国民の統合の象徴としております。多様な性を持つ人々によって構成されている日本国民の統合の象徴である天皇を、男性に限定する合理的な理由はどこにもありません。

 

女性天皇を認めることは日本国憲法の条項と精神に照らして、合理性を持つと考えます。官房長官にお尋ねいたします。なぜ女性ではだめなのか、なぜ男系男子にこだわるのか。

 

塩川議員の質問に、スッと回答することができず答弁書のページをめぐりながら、50秒ほどあたふたしてしまった木原官房長官。これほどの1丁目1番地の質問が出るとは思っていなかったため、準備ができていなかったのか。

それらと併せて筆者が想像するに、「こう答えたら、塩川氏はこう返してくるだろう」ばかりか、「こう答えたら有権者を激怒させるだろう」「こう答えたら専門家の猛反撃が待っているだろう」と各種の危機感が働き、迂闊な言葉を発することだけは絶対に避けなければと、しばらく答弁に躊躇したのだと感じる。

結局、官房長官は聞き飽きた文言を並べることでその場を濁した。

まず安定的な行為の継承を維持するということはこれは国家の基本に関わる極めて重要な事柄でございます。現行の個室転範第1条においても継承が例外なく維持されてきたことの重みなどを踏まえ、皇位は皇統に属する男系の男子がこれを継承すると規定されているものと考えているところであります。

 



 

◆もしも、こう答えていたら…?

女性ではなぜダメなのかの問いに、木原官房長官がもしもストレートに勝負し、こんな風に答えていたら、どう反撃をくらうかをいくつか仮定で考えてみた。

 

●「それが天皇家の伝統だからです」

【反論】2600年もの歴史が、伝統がと誤解している国民もいるようだが、男系男子限定と定めたのは、たった百数十年前のこと。皇族も軍事に関わる以上、天皇に統帥権を持たせる必要があると考えた明治の法務官僚・井上毅が、伊藤博文を説き伏せて皇位継承者を「男系男子限定」としてしまった。そもそも天皇家の家系が絶えそうだという話題ならご親族で話し合えば良いのに、なぜ政治家が干渉し、「養親になれるのは誰」とまで決めるのだろう。
●「2600年余り天皇家は万世一系の男系でやってきた」

【反論】女神である天照大御神の来孫(孫の孫の子)が神武天皇。つまり神武天皇は女系である。とはいえ、いずれも『古事記』『日本書紀』がそう書いている、という神話のレベルである。ちゃんと歴史や皇室の専門家へのヒアリングを行い、パブリックコメントも募るべきである。

 

●「女性の月経は穢れ(けがれ)とみなされ、宮中祭祀への参加に支障が…」

【反論】日本の人口の半分は女性、有権者も半分が女性である。官房長官がいまだにこういった考え方を良しとするのであれば、とんでもない数の敵を作るはずだ。官房長官は御母堂から生まれ、お子様は奥様から生まれた。女性に月経がなければ「命の誕生」もない。

 

●「女性は妊娠・出産があり天皇の激務は務まらない」

【反論】こういった発言は、社会ではマタニティハラスメント(マタハラ)、性差別による違法・不利益な取扱いとみなされる。また、今なお英国民の最高の支持を得ている故・エリザベス女王(エリザベス2世)は、4人の子を出産された。

 

他にも色々とあるだろうが、人口の半分を占める女性の権利や能力を否定するような法案では、何をどう語っても反発を買うだろう。結局、官房長官は批判覚悟で論点ずらしをし、直球勝負を逃げた。そうするより他なかったのだ。



 

◆木原官房長官の本音は?

自民党のなかからも皇室典範改悪案や高市首相への反感が出始めているようだが、「なぜ女性ではだめなのか」という、シンプルながら非常に重要な質問に即答できなかった木原官房長官の様子を見て、筆者は「この方も相当悩んでおられるのでは…?」と感じてしまった。

その沈黙や言葉の詰まりに、ご自分の答えで国民を納得させる自信がないからだ、と見る向きは多い。党としての方針はともかく、官房長官ご自身に、もしも愛子天皇を断固拒否するほどの強い信念がないのであれば、余計にそうなってしまうだろう。

10日のその議院運営委員会の後、高市首相から「なんでスパッと答えられなかったのよ!」などとお叱りを受けたとき、官房長官は何を思うか…である。

官房長官は4月の「昭和100年記念式典」で、今上陛下におことばをいただこうとせず、一人ノリノリだった高市首相を、どうも苦々しい表情で見ておられるようにお見受けした。あくまでも筆者の目には…、であるが。

 

実際の様子は、日テレNEWS LIVEの【リプレイ】皇室典範改正案の審議 衆議院・議院運営委員会 ──政治ニュースライブ【2026年7月10日午前】でご覧いただきたい。

(スタートは合わせてあります)

(朝比奈ゆかり/エトセトラ)

 

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