ハートウォーミングな映画に涙したい 『ブレイブ(原題:The Brave)』前半

『ブレイブ(原題:The Brave)』 1998年日本公開
監督・主演:ジョニー・デップ
~ハートウォーミングな映画で涙してみたいアナタのために~
グレゴリー・マクドナルドの小説を映画化したこの作品。ジョニー・デップが監督・脚本・主演と思い切り力を注いだ理由は「自らがチェロキー族インディアンの血を引いているから」とのこと。「エンタメの世界はもっとネイティブ・アメリカンの人々に敬意を」と訴え続けてきたマーロン・ブランドがノーギャラで出演し、イギーポップが音楽を担当したことも大きな話題になった。
(あらすじ:ネタバレ度・高)
モーガンタウンと呼ばれる廃品投棄場の大山のふもとに汚く狭いトレーラーハウスを停め、妻リタ、息子フランキー、娘マルタと極貧の生活を送っているラファエル(ジョニー・デップ)。ネイティブ・アメリカンであること、貧しさから強盗事件を起こして何度も服役していたことを理由に世間から敬遠され、再利用できそうなゴミをあさるみじめな日々に優しかった妻リタ(エルピディア・カリーロ)の表情も険しい。そんな彼にふと飛び込んできた仕事は「これは拷問されながら死にいく人間を実際に撮影するスナッフ・フィルムの仕事だ。5万ドルの報酬で君の命を売らないか」という恐ろしいものであった。しかし1/3の前払いという言葉に魅かれ、彼はその話に飛びついてしまう。
家族と一緒に過ごせるのはあと1週間。ラファエルはひたすら子供たちと触れ合い、妻の体を求め、お祭りの移動遊園地さながらのやぐらと遊具を設置し、カラフルなライトを施し、家族ばかりかモーガンタウンの人々を驚かせた。家族を、弱い女性を守ることを息子のフランキーに徹底的に教え込むラファエル。妻リタが非常に評判の悪い村の男ルイスに襲われた際、フランキーが殴り掛かって撃退したことを知ると「それこそが男、勇敢さというものだよ」と褒めたたえ、自分のトレードマークであった茶色のバンダナをその頭に巻いてあげる。
自分の人生は間もなく終わるが、子供たちには明るい未来を信じ、堂々と生きて行って欲しい、あまりにも切ないその表情は若いころのジョニデならでは。この映画においてジョニデは95%以上無表情で光の当たり方からギョロッとした瞳ばかりが目立つ。しかし、だからこそ少ない表情、瞳の動きのなかに漂うジョニデの真の演技力が素晴らしいのだ。
動画:『YouTube』The Brave (1997), Johhny Depp – Original Trailer
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(朝比奈ゆかり/エトセトラ)
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