<世界旅紀行>『ドイツ』その1 ハンブルク~ブレーメン

~目標は世界遺産・厳選52か所の制覇~
フランスに負けず、ドイツも1度の旅行でたくさんの世界遺産を見ることができる、そんな素晴らしい国です。森、湖、お城、プレッツェル、美味しいソーセージとビール、アウトバーン、オクトーバーフェスト、ロマンティック街道、クリスマスマーケット、もう昔から「ドイツに行ったら見たい、食べたい、飲みたい、そして買いたいものがゴマンとありました。初めてのドイツは旅行期間を9月中旬からの12日間としてみましたが、オクトーバーフェストの混雑期に入っているにもかかわらず、帰国便には週末のミュンヘン発という“最も避けるべきフライト”を選んでしまうという愚かさでして…。そのせいで実は大変なことになってしまったのですが、結果的にはオーライということで本当に楽しい旅となりました。
旅程は北から南への移動となり、ハンブルク~ブレーメン~ケルン~フランクフルト~ライン川クルーズ~ロマンティック街道~ローテンブルク~ホーエンシュヴァンガウ~、そしてミュンヘンを経由してオーストリアのザルツブルクへ、という順です。さすがはドイツとオーストリア。本当に美しい写真をたくさん撮ることが出来ました。お楽しみいただければ幸いです。その1ではドイツ北部のハンブルクとブレーメンでの観光についてご紹介します。
<ハンブルク>
成田空港発ルフトハンザ航空LF711 便でフランフフルトに飛び、LH022 便に乗り継いでハンブルクへ。Sバーンで「ハンブルク中央駅」へ向かい、駅の目の前「オイロペイシャーホフ」というホテルに泊まりました。

ハンブルク中央駅の入口付近はアラブ系の人々でいっぱい。夜になればなるほど、街を歩いているのは若いアラブ人男性ばかりでした。まだ行く当てもないといったシリア難民も駅前にはたくさんいました。仕事を求めるも言語が全く通じていない人、やることがなくて寝ている人、ごっそりと固まって座っている親族など、もう大変な数でした。ホテルの人は「これでもずっと良くなったよ。駅前にたくさんテントが設置され、受け入れの長い列が出来ている様子を見せたかったね」と言っていました。
人々は皆平等で誰にも幸福を追い求める権利がある。それなのに、この世の中はあまりにも理不尽なことだらけ。シリアからの難民を見てつくづくそう思いました。正義感や人道支援の気持ちを前面に出したがゆえにドイツが抱え込んでしまった新たな問題。同じことが日本で起きたら、言語の問題もあるだろうし、暴動など起きないようきちんと対処できるのだろうかと不安を感じてしまいました。10~30代とおぼしき男性たちは、発散しようのないエネルギーを抱えている、そんな目をしていましたから。
■ミニチュアワンダーランド

エルベ川沿いに栄えたドイツ最大の港湾都市。ハンザ同盟、見本市、倉庫、遊覧船、シーフード料理、もうハンブルクに関するキーワードは数々ありますが、実は忘れてならないものに、「ミニチュアワンダーランド」があります。世界最大級のジオラマで、ハンブルク観光スポットとしても人気No.1だそうです。入場しているお客さんはオジサンから少年までとにかくボーイズが中心。男の人って古今東西を問わずプラモデル作りが好きですからね。たまらない世界なのでしょう。
歴史を感じさせるレンガ作りのビルに何気なく入口があり、どデカイ看板などがないため、筆者はたどり着くまでに少しだけ迷いました。男の子を連れた家族連れ、少年グループ、こういう人々にくっついて行くと良いということに気づきました。3フロアにまたがる館内はアメリカ、スカンジナビア、ハンブルク、中部ドイツ、クヌッフィンゲン空港、バイエルン、スイス、オーストリア、イタリアというエリアに別れています。
ハンブルガーSV(ハンブルガー・シュポルト=フェァアイン)のホームスタジアムである「フォルクスパルク・シュタディオン」です。

アメリカエリアの「ラスベガス」。ネオンをイメージしてあります。

同じくアメリカエリアはアリゾナ州やネバダ州の雰囲気がよく出ています。奥の白い巨岩は、左側が大統領の顔が彫られていることで有名な「マウント・ラシュモア」です。わかりますか?

イタリアのマイアミと呼ばれている美しいビーチリゾート「リミニ海岸」です。

展示されている列車は合計で1000両以上、使用されている人形は26万体以上、そして何より、このミニチュアワンダーランドの完成までに制作者たちが費やした時間は76万時間以上にも上るそうです。この魅力に圧倒され、こここそがドイツの観光スポットNo.1だと称える人もたくさんいます。
■遊覧船

ザンクト・パウリ桟橋を出てぐるりと港の周辺を巡る遊覧船。実は筆者はそんなに目新しいものを期待していなかったのです。ところが船が動き出してビックリ。ものすごく楽しいのです。アシメトリーで奇抜、あり得ない設計を可能にしてしまった、そんな形のビルがあったり、ハンブルクいちのお金持ちが暮らすマンションがあったり、巨大なフェリーの真横にぴったりと付いてみたり。はたまた、クレーンが多数飛び出ているコンテナ船のそれはダイナミックな搬入作業をコンテナバースの真下から眺めたりと、よそでは経験できない見学をたっぷりと堪能させてくれる遊覧船だったのです。
遊覧船がスタート。ガイドのおじさんはとてもジョークが上手で楽しいクルーズとなりました。英語でもしゃべってくれます。

ゴシック建築の教会が多いハンブルク。あちこちに尖塔が見えます。

停泊中の巨大フェリー「MSC SPLENDIDA」号に寄り添い、互いに大きく手を振ります。

この奇妙なビルはコンサートが開催される「エルプ・フィル・ハーモニー・ホール」。ハーフェンシティのランドマークとして2017年1月にオープンしました。2つのコンサートホールにホテル、レストラン、アパートメントまで入っています。

この奇妙なビルはDockland社のオフィスビル。台形がとてもユニークです。

白いダンボール箱が潰れたかのような右のビルはクルーズ・センター。左のオーバーハングのビルはホテルだそうです。


巨大コンテナ船「EVER LINKING」クレーンの動きも的確かつ豪快でした。

■グルメ
ハンブルクは北ドイツの港町ですから、どのレストランもやはりシーフード料理が自慢のようです。しかしその盛り付けの量がスゴイ。体の大きさが違うのに、容赦なく大きなプレートが運ばれてきます。

<ブレーメン>
誰もがその地名を聞くと、「あ、グリム童話の『ブレーメンの音楽隊』ね。知ってる!」と言うブレーメン。童話も有名で数々の世界遺産に指定された観光スポットがありながら、ブレーメンはとても静かで落ち着いた雰囲気の優しい、そして可愛らしい街でした。団体ツアーではなかなかブレーメンまでは行く機会がないかもしれませんが、個人手配でドイツに行かれる皆さんには、是非ともハンブルクやブレーメンの観光をスケジュールに組んでみて頂きたいと感じます。
■ブレーメン市庁舎
その美しさと歴史ゆえに世界遺産にも登録されています。観光客が最初に訪れるシンボルで、なんと15世紀初頭に建てられました。近づくと本当に古い香りがします。ブレーメンでとにかく目指すは「マルクト広場」。ここにほとんどの観光スポットが集まっており、界隈の見どころを全部歩いても1kmくらいで済むのではないかと思います。

補修工事のための足組みやシートは写真撮影という意味ではとても残念なものですが、世界遺産をあちこち巡るようになった今はもう慣れっこ。どこも皆こんなものなのです。むしろ「補修のための経費を組んでもらえてよかった、よかった」とすら思うようになってきました。
■有名レストラン「ブレーマー・ラーツケラー(Bremer Ratskeller)」
市庁舎の地下にある天井の高い広いレストラン。1405年創業で、メニューも豊富。ドイツの郷土料理を多数提供しています。アーチの柱をうまく利用することで、客席は良い感じで仕切られており、予約を取っておけばこの個室でゆったりとお食事を楽しむことも可能です。

魚料理も肉料理もどれもすべて美味しかったのですが、強く勧められたのがガリガリの煮込みハンバーグのようお料理。煮たリンゴと一緒に出てきました。これが独特の香り(臭み?)があって印象的でした。名前をメモせずにいたことが悔やまれます。

マルクト広場には市庁舎も聖ペトリ大聖堂もあります。
■聖ペトリ大聖堂


大聖堂の中にも入ってみました。

そして癒しの空間が中庭です。ここはとてもお勧めです。

■ローラント像
ローラント像は平和と権利のシンボルです。意外に大きかったので、人間(筆者)入りの写真にしました。

■教会近くの噴水にも動物たちが
さすがは『ブレーメンの音楽隊』で知られる街。いたるところで動物が観光客を歓迎してくれます。

■音楽隊の像
一番下のロバの足だけピカピカ、つるつる金色に光っているのがわかりますか? ここを触れると幸せになれるそうで、観光客が次々とそこを握り締めていきます。もっと大きなものを想像してしまうのか、「こんな場所に何気なくあるのね」「意外にもわかりづらい場所にある」などと囁く人が多いらしいです。

マルクト広場のドイツらしい建物。このあたりは間もなくクリスマスマーケットで大変な賑わいを見せるそうです。

■ブレーメン商工会議所

ショッピングも楽しい素敵なストリート、“ベトヒャー通り(ベットヒヤー通りとも)”も観光ルートとして外せません。そこでお出迎えしてくれるのが「黄金のオブジェ」です。この凹凸は「黄金のレリーフ」と呼ぶべきでしょうか。まるでドバイにいるかのような輝きです。この街にコレは果たして似合うのか似合わないのか…。

ベトヒャー通りはロゼリウスさんというコーヒー商人が1920年代に中世の街並みを意識して造った小さな商店街です。レンガ作りとはいえ細部にまで手が込んでいて、美しい看板、ディスプレイも含め、観光客の目をそれは楽しませてくれます。

コーヒー産業に関わり合いが深いブレーメンゆえ、カフェでは実に多くの種類のコーヒーを楽しめるそうです。ロゼリウスさんが住んでいた家もここにあります。その家の右隣りの家2軒の間の屋上に注目すると、そこにはマイセンの陶器で出来た鐘「グロッケンシュピール」が30個並んでいました(鐘の音を聞いてみたかった~)!

■「ブレーマー ボンボン マヌファクトゥア(Bremer Bonbon Manufaktur)」
ベトヒャー通りにある可愛らしいキャンディー・ショップです。

お店の外観も凝っていて、ガイドブックには必ず載っているため観光スポットのような存在です。

■シュノーア地区

曲がりくねった石畳のそれは細い路地がとても懐かしい香り。ヨーロッパらしい雰囲気の古い街並みを楽しめるところです。骨董品屋さんやお土産屋さんが多く、筆者はここでブレーメンの音楽隊が描かれたマグカップとハーブティーを買いました。

■“猫カフェ”ことKatzen Café
カフェやレストランもとても素敵な佇まい。そんな中で、ものすごく素敵な2階建てのカフェ・レストランを発見しました。「Katzen-Café」です。猫のカフェとして知られ、赤い花、赤いオーニングともう本当に美しいお店でした。

ドイツ旅紀行のうち、ハンブルクからブレーメンまでをご紹介しました。いかがでしたでしょうか。次回はケルン、ライン川クルーズ&リューデスハイムまでをお伝えできればと思っています。どうぞお楽しみに…!
■本記事の画像著作権はエトセトラ・ジャパンにあります。画像を使用されたい場合はお問い合わせください。
★インスタグラム始めました!@etcetera_japan
(朝比奈ゆかり/エトセトラ)
【こちらの記事もどうぞ】
・<世界旅紀行>Vol.2 『エジプト』その1
・<世界旅紀行>Vol.2 『エジプト』その2 エジプト考古学博物館、ピラミッド、スフィンクスほか
・<世界旅紀行>Vol.2 『エジプト』その3 ナイル川クルーズ4泊の旅
・<世界旅紀行>Vol.2 『エジプト』その4 アスワンから夢にまで見たアブシンベル神殿へ
・<世界旅紀行>Vol.3 大好きな『トルコ』その1