<世界旅紀行>『フランス』その6 一生に1度は訪れたいモンサンミッシェル(後半)

~目標は世界遺産・厳選52か所の制覇~
パリからちょっと足を延ばし、世界遺産のなかでも特に人気の高いモンサンミッシェルへ。ハードスケジュールではありますが日帰り旅行も可能です。また夜景を見たいなら1泊旅行がおすすめです。前半では交通手段やホテル選び、対岸の人気レストランについて触れました。後半は見学した内容を写真を中心にお伝えしていきたいと思います。
対岸とモンサンミッシェルの間はぶらぶら歩くと1時間という距離があり、無料かつ15分間隔でバス停に来てくれるため、大型のシャトルバスが大人気でそれなりに長い列をなしています。それを優雅に避けていくのが馬車。もちろん有料です。カツン、カツン、パカン、パカンと蹄の音を響かせながらゆっくりと歩く馬車は悠々とした座席指定で、乗っている皆さんはとっても幸せそうな表情をしています。

グランドリュ(参道)に入ると目に飛び込んでくるのは、有名なオムレツ店「ラ・メール・プラール」。こちらについては後でご紹介します。奥は同ホテルの入口となっており、右手に見えるのは衛兵が守っていた城門。不正な侵入者を防ぐために跳ね橋になっているそうです。

元は巡礼者たちが列をなして登った修道院までひたすら続く階段。そして細い坂道。メイン通りであるグランド・リュの両脇にはレストランやお土産屋さんがひしめいています。

サンテティエンヌ教会。この日は開いていたけれど赤い扉が目印だそうです。

「ラ・メルヴェイユ」は3層(3階)構造の居住空間。ゴシック様式の優雅な回廊と中庭が特徴です。

1524年に建造されたガブリエルの塔。要塞としての役目を終え、19世紀からは灯台としての機能を果たしてきたそうです。手前の大きな建物はファニの城壁。

この稀有の世界遺産は今後も長きにわたり保存され、観光客を楽しませることでしょう。地震がないからこそですね。羨ましい限りです。

「百年戦争」では攻めてくるイギリス軍から修道院を守っていた要塞でした。そのため、きわめて堅強な造りであることが島内の至るところに感じられます。
美しくそびえるモンサンミッシェル聖堂。ここに雷が落ちる様子は実に絵になるそうです。

聖堂を囲むのは葉状の装飾を伴った美しい尖塔。てっぺんには大天使ミカエルが輝いています。

ゴシック建築ならではの美しさ。聖堂の補強のために造られた控え壁も圧巻でした。

修道院付属教会の正面にあるファサード。

教会の内陣はフランボワイヤン様式。1523年に完成したそうです。

モンサンミッシェル修道院の「騎士の間」

そしてこちらが先人の知恵ともいうべき元祖エレベーター。とても大きな滑車と極太のロープを用いて主に荷物の運搬が行なわれ、6名がかりで動かしていたそうです。ただし、このチェーンでわかるように垂直かと思うほど傾斜が極めて急でした。そしてこのエレベーターの脇は遺体置き場としても使われていたといいますから、つまりは…人が亡くなり、腐敗臭がしてきたらすかさず下にポン…!?

また階段を下りてきます。幅の狭い坂道「グランド・リュ」に連なるお土産屋さんは、清水寺の参道をギュッと凝縮したかのような雰囲気です。

カフェやレストランは奥に進むとこのようになっていることが多く、眺めもよくて気分も爽快です。

グランド・リュの出口に近いところにある赤いオーニングで知られる有名なレストランは、どのガイドブックにも必ず掲載されている「ラ・メール・プラール(La Mère Poulard)」。元祖ふわふわオムレツ・レストランとして超有名です。観光客で“ごった返している”と書きたいところですが、とても値が張るせいか決して混んではいません。

観光客からも良く見えるオープンスペースに調理用の大きなテーブルがあり、銅製の大きなボウルを前に男性2人がカランカンカン、カランカンカンと同じリズムで卵を泡立てていました。

オムレツはスフレ状で大きいです。本当にふわっふわ。付け合わせは好きに選べます。これにシードルを注文するのが王道だそうです。

ただしお値段は高いです。

そして、いつまでも写真撮影に夢中になっていると…オムレツはどんどんしぼんでいきます。これはもう、損得抜きに「ラ・メール・プラールに行って有名なふわふわオムレツを食べてきた」と言いたい人のためのレストラン ― そう割り切って食事する方が賢明です。「モンサンミッシェルといえばオムレツ」という名物ですから、実は島の内外で多くのレストランが同じ作り方でオムレツを提供しており、お値段も半分以下で頂けます!
そしてモンサンミッシェルはムール貝の名産地でもあります。9月が旬だといい、だいたい7月から翌年2月まではムール貝がどっさり獲れて白ワイン蒸しとなって提供されます。ビールやワインにもよく合いますよ。この通りボウル状の器に山盛りで提供されるので、シェアでも十分。間違って1人ずつが注文しないように!

バラマキ用のお土産といえば、紙箱入りにせよ缶入りにせよ、とにかく容器にモンサンミッシェルの絵柄が描かれていることからレモンサブレが人気のようです。クッキー、サブレ、ガレットいずれもあり、チョコやキャラメルなどいろいろな味が揃っているようですが、やはり定番はレモンサブレだそうです。
また、日本の輸入食材店でフランス産のハーブソルトや岩塩を見かけることが増えていますよね。ゲランド塩をはじめ、フランスではお土産にお塩も人気です。

モンサンミッシェルの周囲は海で、まろやかなゲランド塩があれこれと加工されてお土産用に販売されていました。容器もきれいで誰からも喜ばれるお土産として人気だそうです。筆者はハーブソルトを6ユーロで買いました。ミル付きで中身の入れ替えが利きます。

ところで、モンサンミッシェルを擁するノルマンディー地方の特産品のひとつにリンゴがあります。ただし、フルーツとして愛されている日本の丸くて大きな甘いリンゴを想像したらダメだそうです。あくまでも調理加工して頂くものらしく、そうしたリンゴを原材料としたジャムやシードルがあちこちで売られています。アルコールの度数はシードルが低く、カルバドスは高め。フルーティーなワインが好き、ジュースのようなワインなら飲めるという人にシードルは喜ばれるでしょう。

6回にわたりお届けしましたパリ~モンサンミッシェルの旅紀行、いかがでしたでしょうか。次回は、オーストラリアにも少しだけ足を延ばしたドイツ旅行の思い出をご紹介してみたいと思います。
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(朝比奈ゆかり/エトセトラ)
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