<世界旅紀行>『フランス』その5 一生に1度は訪れたいモンサンミッシェル(前半)

~目標は世界遺産・厳選52か所の制覇~
パリから約400㎞も離れ、北の対岸はイギリスという仏ノルマンディー地方のサン・マロ湾に浮かぶ「モンサンミッシェル(Mont Saint-Michel)」。小島のてっぺんに修道院が立てられ、そのシルエットの美しさは『西洋の驚異』と称されています。そもそもカトリック教徒の巡礼地ですが、宗教に関係なく世界から観光客が押し寄せ、また幾度も増改築を繰り返しているので、ゴシック、ロマネスク、ルネッサンスと様々な建築様式が楽しめることでも有名です。個人手配でここを訪れた場合は、入口でオーディオガイド(日本円にして600円程度)を借りると見学内容をより楽しめると思います。
また、日本にもついに上陸した“あの”オムレツ屋さんがあることでも有名ですね。歩いてよし、登ってよし、眺めてよし、撮ってよしのモンサンミッシェルですが、島の内外には素敵なホテルが建ち並び、グルメもお土産選びも楽しめますから「すべてが揃っている最高の観光地」と言えるでしょう。モンサンミッシェルを2度訪れた筆者が、2018年7月の最新情報を含めながらご案内してみたいと思います。
■モンサンミッシェルが完成するまで
西暦708年のある日、夢の中で大天使ミカエルから「この岩山に聖堂を建てよ」というお告げを受けたとことにより、海に浮かぶ岩山に聖堂を建立することにしたアヴランシュ司教オベール。モンサンミッシェルのモンは山のMontですから、ここはつまり「聖ミカエルの山」となります。

こうしてベネディクト派の修道院が完成したのは966年。14世紀に入るといわゆる百年戦争の要塞として使用され、今の姿になったのは16世紀。18世紀には牢獄として使用されました。19世紀後半という1888年には有名なオムレツ店「ラ・メール・プラール」の母体となる宿屋が誕生するなど観光地としての色合いを強めていったのです。
■有名な「潮の満ち引き」について
島の周囲には遠浅の干潟がどこまでも続くモンサンミッシェル。昔は潮が引いた時にしか島側に渡れなかったのですが、逆に水位が13m超という大潮となり、孤島として浮かび上がる美しいモンサンミッシェルの姿も有名です。

ご参考にどうぞ:モンサンミッシェル・ツーリスト・オフィス
ご参考にどうぞ:2018年の大潮カレンダー(英語版)
■島と陸を結ぶ新たな橋

2014年7月、土砂が堆積して潮流が損なわれ、孤島としての美しい姿が見られないと評判が悪かったそれまでの道路(土堤)に代わり、島と陸を結ぶ立派な橋が開通しました。パセレル橋(Pont Passerelle)といい、対岸との距離は一番島に近いホテルからでも約2kmあります。

■宿泊はむしろ対岸のホテルがおススメ
理由は2つあります。1つめはなんといってもゆったりと食事を楽しめる美味しいレストランがあること。評判通りやっぱり美味しかったのは「ル・プレ・サレ(Le Pré Salé)」です。




そしてホテル「ル・ルレ・デュロワ (Le Relais Du Roy)」の同名のレストランも、本当に美味しくてお値段はリーズナブルでした。




夕暮れ時のモンサンミッシェルが見たい、絵葉書のような朝焼けのモンサンミッシェルを撮影したい、暗い夜空に浮かび、川面に幻想的な光を落とすモンサンミッシェルを堪能したい、という人に対岸のホテルは人気かもしれません。
そして島内のホテルに泊まった場合は、対岸および途中までを無料で往復してくれるシャトルバスが深夜0時まであるので、途中の停留所までバスで行き、美しい夜景のモンサンミッシェルを撮影することもできます。無料シャトルバスは結構大きいですが、観光シーズンはめっちゃ混みます。

ただし夏には要注意。日没の時刻が9時で、それよりかなり遅くならないと真っ暗にはなりません。島内のホテルやレストランの灯りが美しく映えるのはそれからですから、戻りのバスの時刻を確認しておく必要があります。でも頑張れるという人は徒歩でも。撮影を楽しみながら1時間もあれば渡れます。

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ちょっと真面目に【個人手配でパリからモンサンミッシェルに行く場合】
■長距離列車&バス

パリの「モンパルナス(Montparnasse)」駅 から30分~1時間ごとに出ている高速鉄道TGVで「レンヌ(Rennes)」駅へ。料金は日本の新幹線とほぼ同じくらいで、停車駅にもよりますが、最速で2時間15分ほど、遅くとも3時間弱で到着します。そしてレンヌ駅からモンサンミッシェル行きのバスに乗り、1時間10分ほどで陸側のホテル街を目指します。レンヌ駅でバスに乗り換える際には以下のことにご注意ください。

・駅もバスターミナルもしょっちゅう工事があり、レンヌ駅は「わかりづらい」という声が多い
・駅の北口側にあるバスターミナルは決して遠くないが、少し回り道をする必要がある
・列車を降りたらホームから先は「Bus/Cars(英語)」の標識に従う
・Carsは長距離/高速バスを意味し、Busは一般市民向けの路線バスを意味する
・モンサンミッシェル行きバスの乗り場は1~3番あるいは臨時バスターミナルから出発(チケット売り場で確認を)
・バスの往復乗車券は平日と土曜日はバスターミナルの窓口で販売。日曜祝日はバスの運転手さんに支払う
・1日にそうたくさんの本数は出ていない(※)
※ 例えば2018年夏のレンヌ駅発→モンサンミッシェル行のバスは、09:45発 11:45発 12:45発 16:45発の4本で、あまり頻繁には出ていないため、先にどのバスに乗りたいかを決めてからTGVの列車を決めるべきかと思います。
■長距離バス
驚くことに30ユーロ弱でパリからモンサンミッシェルに行く長距離バスが出ています。所要時間は約5時間で「OUIBUS」社のバスにはトイレやWiFiもついているそうです。ただし難点は1日の本数が少ないこと。出発がどこなのか、自分の滞在しているホテルやスケジュールと合うかどうかも考える必要がありそうです。
■パリ発着オプショナルツアー
パリは自由に見て回りたい、好きなレストランやカフェ、美術館でじっくりと時間を取りたいから個人手配で旅行したい。でも、モンサンミッシェルだけは多少お金がかかっても「公共交通機関よりパリ発着のバスツアーに参加するのがラク」とはよく聞く話です。日本語のガイド付きツアーを申し込むもよし、交通手段として往復のバス・サービスだけ申し込むもよし。前回は高速鉄道とバスを利用したのですが、今回「みゅう1泊2日(ホテル別)WiFi付バスで行くモンサンミッシェル フリープラン2日間」というツアーを利用しました。
そのバスツアーを利用した理由はこれ。途中、ノルマンディー地方の村を経由するというのにかなり魅かれたのです。

女性ひとりで参加している方もちらほらで、日帰りの方と1泊する方の割合はちょうど半々でした。
■ホテル選び
お土産がとても充実していて島よりちょっと安い、かつバケットサンドの専門店が入っていて休憩もしやすい、そんな大型ギフトショップの「Les Galeries Du Mont-Saint Michel」。ここにはツアーや路線バスの停留所もあるため、付近のホテルはやはり人気があるようです。

日本人の間ではモンサンミッシェルに最も近いことを売りにしている「ル・ルレ・サンミッシェル」が有名かと思いますが、お値段はとても高いです。そして、それをケチると部屋の窓からモンサンミッシェルが見えないのです。それでも裏技があります。個人手配でこのホテルの予約をHPから取ろうとしてもまったく取れない状態が続くと思いますが、出発まであと1週間を切ったら再度HPをのぞいてみる。すると意外にも取れることがあります。このホテルは日本の大手旅行代理店が団体ツアー向けに多くを確保しているのでしょう。1週間前にもなり予約が埋まらないとわかると、その時点で戻されて一般客にブッキングを解放するのかなと勝手ながら邪推しております。
次は『フランス』その5 一生に1度は訪れたいモンサンミッシェル(後半)となります。どうぞお楽しみに…。
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(朝比奈ゆかり/エトセトラ)
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