<世界旅紀行>『エジプト』その2 エジプト考古学博物館、ピラミッド、スフィンクスほか

~目標は世界遺産・厳選52か所の制覇~
Day1 午前中にカイロ到着
ツアー会社から案内されていた、カイロ空港まで迎えに来て下さる「日本語が堪能でエジプトではとても有名なガイドさん」とは一体どなたなのか…。会ってみてびっくりです。考古学者で早大名誉教授の吉村作治先生の通訳を行ない、日本のテレビ番組にも様々な形で協力してきた超ベテランガイドさんのタレック・サルハン(Tarek Sarhan)さんでした。こんな方にピラミッドやスフィンクス界隈をガイドして頂けるなんて、なんと勿体無い、ありがたい。あまりにもラッキーなことでした。
■エジプト考古学博物館

サーモンピンクの建物がそれは美しい「エジプト考古学博物館」。カイロの中心部にあります。100以上のブロック(部屋)で構成され、出土品を中心に25万点を超えるコレクションが収められています。ツタンカーメンの黄金のマスクはあまりにも有名ですね。ミイラもいっぱい見てしまいました!!! 館内は非常に混雑しており、ガイドのタレックさんは「私についてきて。見どころを効率よく回りましょう」とのこと。じっくりと見ているうちに先に行かれてしまい、何度もはぐれそうになりました。



そして博物館入口の目の前の芝生には…!?

2017年03月上旬、世界に向けて大きなニュースが飛び出しましたよね。ドイツの大学の考古学チームにより、紀元前13世紀のエジプトの有名なファラオであるラムセス二世の彫像の一部が、カイロ郊外アイン・シャムス地区のある古代寺院の中庭跡とみられる泥水から発見されたというのです。頭と胸部のみで胴体や脚の出土はまだですが、もし全身揃ったら高さが8メートルを超えるのではないかと伝えられました。それだったのです! タレックさんもその事業に携わった1名だそうです。
この日、宿泊したのはギザ地区の中でもピラミッドに大変近いと評判の「ル・メリディアン・ピラミッド・ホテル&スパ」です。部屋からもプールからもピラミッドがよく見えて、気持ちがグンと上がりました。

Day2 ピラミッド各種&スフィンクス観光
■ギザの三大ピラミッド
<クフ王のピラミッド>

ピラミッド内部の調査隊、あるいはその通訳としても活動してきたタレックさんは、こんな話をしてくれました。ある場所でハシゴの存在に気づき、人をわざと落とすように作られたとも知らずに上った彼は体のバランスを崩し、高いところから転落して骨折してしまったそうです。「なんとしてもこれより奥に人を入れさせまい」として、古代エジプト人たちも知恵を絞ったのでしょう。調査隊VS古人たちの知恵、これは来世紀まで延々と続くのでしょう。近づくとその巨大さに口あんぐり。迫力は想像以上でした。

いずれの写真にも下に方に人が写っています。石ひとつがどれほど大きいかお分かりいただけるのではないでしょうか。

クフ王のピラミッド入口は2つあり、現在利用できるのは少し下の盗掘者が開けたとされる小さな穴からのみ。坂になっている通路の高さは1メートルちょっとしかなく、手すりにつかまりながら大変な思いで上り下りします。太った方とすれ違うのも大変でした。閉所恐怖症の人にはちょっと難しいかもしれません。カメラの持ち込みも禁止で、「王の間」と何も入っていない風呂釜のような石棺があるだけでしたが、ピラミッド内部に入ったぞ! という大きな満足感はあります。

ここは、三大ピラミッドを一望するパノラマポイントです。
クフ王のピラミッドの頂点をつまみあげたり、なでたり、ハートを作ってみたり、皆さんそれぞれのやり方で“ピラミッドとのふれあい”を楽しんでいました(笑)。

ところで、ある時ガイドのタレックさんが「あ、ワセダのタカハシセンセイだ」と大きな声を上げました。早稲田大学考古学研究室の高橋龍三郎先生のことでしょうか。発掘調査チームの皆さんがたまたま休憩を取っておられ、タレックさんが「おお~~~い!」と声をかけると、揃って元気に手を振って下さいました。さぞかし暑いことでしょう。夢を追うとはいえ、熱中症や過度の日焼けに要注意の実にシンドイ作業なのだと思いました。(この写真は最大限のズームアップで撮影したもので、調査チームの皆さんは観光客からはかなり離れたところにいらしゃいます。)
ところで、エジプトの最も有名な人は誰かと尋ねられると、多くの人が「ツタンカーメンとか、クレオパトラとか…」などと答えてしまうものです。私もそうでした。ところが「それはね、ツタンカーメン王のものばかりが出土しているためなんですよ」とタレックさん。考古学の専門家たちが真に狙っているのは、実は地中あるいは海に眠っているに違いない、もっと偉大なファラオに関する出土品。それらの発掘こそが今の重要な課題だそうです。また今のエジプト考古学博物館はもう満タン、展示すらされないB級の出土品で溢れかえっているというのです。「え、そうなんですか?全然知りませんでした・・・」といちいち驚いてしまう私、ちょっと恥ずかしかったです。
■スフィンクス

■ダハシュール
ここにはクフ王の父スネフェルが建設した2つの有名なピラミッドがあります。屈折ピラミッドは下段のあたりがもうボロボロ。そもそも設計的な問題があったそうです。赤いピラミッドはとてもなだらかでした。



このように保存状態の良いピラミッドでは冠婚葬祭が執り行われたであろう催事場のようなスペースも残っています。赤のピラミッドからは彼方に屈折ピラミッドが見えました。
■メンフィス
ダハシュールとカイロのほぼ中間に位置するメンフィス遺跡。ここには体育館のような建物の床にラムセス二世の巨像が横たわっています。

エジプト観光で最も頻繁に出てくる最強のファラオであるラムセス二世。アブシンベル神殿、ルクソール神殿、カルナック神殿など有名な建築物はすべて彼の功績という才能豊かな建築王だった彼は、89歳の生涯で200人もの子をなしたそうです。

■サッカラ

メンフィスよりさらに10数km南下したサッカラに、エジプト最古のピラミッドといわれる“階段ピラミッド”ことジェセル王のピラミッドがあります。下の方に人が見えますか? こう見えて近づくと本当に大きいです。やっぱり延々と修復工事が必要なのですね。

夜にカイロ空港へ向かい、ここでタレックさんとはお別れ。本当に親切にしていただきました。タレックさんはツアー会社「SAHARA EGYPT」を運営しており、自慢の一つが超ラグジュアリーなダハビヤ(Dahabiya)船によるナイル川クルーズだそうです。エジプトで最高の思い出作りをとお考えの方は、是非ともタレックさんにご相談を。必ずや素晴らしい旅をご提案して下さると思います。
こうしてエジプト航空で一路ルクソールへ。到着はもう深夜で、寝るだけなら十分だろうと選んだのは「ロータス・ルクソール・ホテル」でした。次の朝からのナイル川クルーズ乗り場にとても近かったためです。シャワーの温度がまるで安定せず、ゲンナリしましたが、翌朝、部屋のバルコニーからの眺めは最高でした。

次のページはDay3~。ルクソールからナイル川クルーズで4泊しながらアスワンへ向かう旅です。お楽しみに!
(朝比奈ゆかり/エトセトラ)
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