<世界旅紀行>『北欧オーロラ鑑賞』その5 コペンハーゲン運河クルーズと人にやさしい街づくり

~目標は世界遺産・厳選52か所の制覇~
オーロラ観測の夢を叶えるなど、“北欧のパリ”ことノルウェーのトロムソをたっぷりと楽しんだ後は、デンマークのコペンハーゲンに移り、クリスチャン4世が愛したローゼンボー城の見学に真っ先に出かけました。この街は3kmの範囲にすべての観光スポットが集中しているのかなと思うほど、とにかくラクに歩いて周れます。続いては、コペンハーゲンおなじみの港町の光景として有名なニューハウン発の運河クルーズやストロイエ通りの様子をお伝えします。
<ニューハウン発運河クルーズ>
デンマーク語および英語による若いガイドさんのテンポのよい案内が楽しい、港町ニューハウン(Nyhavn)発の運河クルーズは世界中からやって来る観光客に大人気です。チケットを購入したら、船の出発までの時間は周辺にお土産屋さん、カフェやレストランがあるので、そちらで待つのが良いと思います。

真冬の2月でもちゃんと営業しています。人通りとしてはやや寂しげな感じですが、夏のこのあたりは観光客で実に混み合うとのこと。私もここでランチにしました。

それではクルーズ船へ。ガラス張りなので、どこに座っても左右の景色を同じように楽しめる上、高い建物や塔も全景が眺められるのが嬉しいです。天気にもよるのでしょうが、夏はこのガラスは取り払われます。

■オペラハウス

■人魚の像

「うわぁ~~、あのホットドッグ店さん、ほんと要らない、ジャマ!」 誰もがそう叫んでいました。
■フレデリクス教会(=大理石の教会とも)

■装甲艦「フリゲート」

■コペンハーゲン最古の橋

クリスチャンスボー城にかかる橋で、とても狭く低い中を船はギリギリの隙間で通り抜けます。
■救世主教会 (Vor Frelsers Kirke)」
らせん状の尖塔と大きな鐘が見どころの救世主教会は、一度は訪れるべき歴史の深いバロック様式の教会で、てっぺんからの眺めも最高だそうです。残念ですが、それはまた次の機会に…です。

ニューハウンで船を降りたら、コペンハーゲンの中心部となる目の前のスロッツホルメン島へ。運河に囲まれていますが、これを島と呼ぶのは違うかなという感じもします。仏パリのシテ島と同じように、島と言いながら重要な建物だらけで抜群の存在感です。
■クリスチャンスボー城・旧証券取引所

クリスチャンスボー宮殿は現在は迎賓館として使われており、とても便利な立地ゆえに国会議事堂、内閣府、最高裁判所なども併設されています。気の毒なことに2度も火災に見舞われているそうです。その隣に旧証券取引所がありました。こちらの方もかなりの歴史を感じさせる建物です。

<メインストリート/ストロイエ通り>
クリスチャンスボー宮殿前から数分ほど歩き、目抜き通りを意味するストロイエ(Stroget)を目指しました。この辺り一帯がコペンハーゲン1番の繁華街となります。有名ブランド店もたくさん軒を連ねていましたが、税金が高いせいかお客さんの入りはかなり「???」です。




ところで、この街を歩いていてやがて気づいたのは女性のファッションがとにかくワンパターンであることでした。

多くの女性が透明感のある白い素肌に青い瞳が美しいのですが、とにかく黒のコート、黒いブーツ、そして黒いショルダーバッグなのです。マフラーやスカーフで少しだけセンスを競っている感じはありましたが、個性を強調している女性にはまるで出会いませんでした。

夕食はデンマーク料理が食べたくて、ズラーッと国旗が並ぶ「Det Lille Apotek」に入りました。


これがまたなかなかの人気店で、トリップアドバイザーの評価も良いせいか混んでいました。1番人気だという伝統的なデンマーク料理が、こんな銀の大きなトレーで運ばれてくるのも感動的でした。

<コペンハーゲン散策で思ったこと>

歴史とモダンの融合、エコロジーと清潔感を大切にするデンマークの人々。この国の優れた福祉制度は世界に注目されており、出産も含め医療費は無料、幼稚園から大学まで教育費は無料だそうです。そのあたりは観光客にはよくわかりません。コペンハーゲンの大きな魅力として、筆者は人と自転車の安全がよく守られていることをとても感じました。
どの通りも歩道+自転車専用道路+車道と、白線とマークできっちりと分けられています。事故を防ぐためにもこの方法が一番だと思います。この幌付きチャリは「クリスチャニア」と呼ばれているもので、中に載るのは子供たち。雨や雪の中でもデイケアへの送り迎えに大活躍だそうです。

「環境先進国」と言われエコロジーの意識が特に高いデンマークは、自動車税がとても高いそうです。そのせいもあって自転車で通勤する人が大変多く、この通り電車にも自転車ごと載れる車両があります。

窓に貼られたシールが見えますか?ベビーカーだって車椅子だってそのまま乗れます。全然迷惑な顔などされません。こういうことも日常生活の中の大切な優しさではないでしょうか。鉄道といえば、ノルウェーではこんなのもユニークですよね。静かに過ごしたい人たちは、この車両を選んで乗るそうです。

オランダのGMG社によるYeppを付けてわが子を載せている自転車も多かったです。

決して自動車を優先させないコペンハーゲン。この通り交通の主役は自転車と歩行者です。
日本だとこれくらい幅があれば道路は必ず両側通行になり、歩行者や自転車がビクビクしながら歩くことになります。それじゃ危ないですよね。シアトルもサンフランシスコも中心部は一方通行だらけですし、車なんて慣れれば一方通行でもイイのです。自転車や歩行者の安全がしっかりと守られていれば、むしろ車だってもう少しスピードを出せるのではないでしょうか。
こんなカーブがくねくねしたところでも手抜きはありません。しっかりと歩道と自転車専用道路を設けています。こういう街はイコール暮らしやすい街、子供を育てやすい街でもあります。一方、我が国では歩道ですらベビーカーや車椅子の人が利用しやすいとは言えません。車が出入りするために傾斜している箇所もたくさんあるからです。車優先で作られてしまっている今の日本の道路、歩道の事情は先進国の中でおそらく最下位レベル、嘆かわしい限りです。

<LEGO本店>

子供からシニアまで世界中の人々に愛されてきたブロック玩具メーカーの「LEGO」はデンマークで生まれました。コペンハーゲンに本店があり、筆者もお土産用にあるキットを購入しました。レジのお兄さん、お姉さんが超美形揃いで、説明がものすごく親切なことにたまげました。この店で働くことに大変なプライドを感じている、そんな感じが伝わってくるのです。
たくさん歩き回った1日、旅の最後の夜とあってガッツリと疲れを取ろうとステーキなどを食べました。Grabrodretorvという地区の広場に面したお店ですが、現在はどうやらカフェに変わってしまった様子です。小海老がテンコ盛りというお料理ばかりが続いていたので、なんとなくお肉が食べたくなりました。

税金が高くても人々の暮らしの随所にそれがきちんと還元され、国民が感じる幸福度が世界屈指であるデンマーク。人々は「老人になるのが怖くない」、「子供を何人出産してもやっていける」という自信に満ちているそうです。日本も税金がどんどん高くなっています。本当に暮らしやすい国になるためにはどういうことが求められているのか、国も自治体も今一度よく考えて頂きたいものです。
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(朝比奈ゆかり/エトセトラ)
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