肥満の重篤患者が多いアメリカで新型コロナ治療に危険な『クロロキン』 専門家も「正気か」

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アメリカでは心臓病や糖尿病を抱えている肥満者が重篤化する傾向(画像はイメージです)
アメリカでは心臓病や糖尿病を抱えている肥満者が重篤化する傾向(画像はイメージです)

今年2月に中国の研究チームが新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の治療薬として臨床試験を開始し、「効果あり」と発表した抗マラリア薬の「クロロキン」。だが急性致死性についての指摘もあり、3月には心臓病がある者への投与は禁忌と示された。ところが米国では…。



米国ではトランプ大統領が「この薬を強く推す」と表明し、米国食品医薬品局(FDA)が3月中に「拡大使用」として承認した抗マラリア薬の「クロロキン」。世界中の専門家から、「こんな危険な薬を使用するなんて」「トランプもFDAも正気か」「副作用のデメリットを勝るメリットがあるというエビデンスは?」などと批判や慎重論が噴出した。

新型コロナの重症肺炎患者に対し、アメリカでは今、クロロキンあるいはヒドロキシクロロキンに15員環マクロライド系抗生物質のアジスロマイシンを組み合わせた合薬を中心に、さまざまな治験が進められている。クロロキンの効果については英国、スペイン、フランス、中国、バーレーン、モロッコ、アルジェリア、チュニジアなども高い関心とともに治験に乗り出していた。

そんななか、投与量が増えるにつれ重い不整脈が生じるようになり、その副作用が原因とみられる死者が増えたことで、ブラジルではクロロキンを用いた治験を中止に。またフランスからも副作用の報告が多数あがり、インドではすでに安全性の高いヒドロキシクロロキンにシフトしているという。

新型コロナ患者については、肥満の人々が重症・重篤化しやすいという傾向が最近になって明らかにされた。肥満者にはコロナ重症化のリスクとなる糖尿病や心血管に持病がある人も多いなか、医療費が高いアメリカでは「息切れしようと詳しい検査すら受けていない」という人がじつに多い。

夫の俳優トム・ハンクスとともに新型コロナを発症した女優リタ・ウィルソンも、実際にクロロキンを使用された1人だが、このほどCBSとのインタビューで副作用がひどすぎると批判。「筋肉に力が入らず歩けなかった」と告白していた。もしも彼女が心臓の持病を抱えていた場合、クロロキンがその心筋にどのような悪影響を及ぼしたか想像するだけで恐ろしいと話題になっている。

いずれにせよ、糖尿病と心血管の持病はコロナ重症化・重篤化のハイリスク群だ。そのような患者に心臓毒性(心筋障害~心不全を招く危険性)が認められる薬を盛るというのはいかがなものか、あらためて専門家の間からは禁忌論が飛び交っている。クロロキンはアフリカでは自殺目的で服用されていた歴史すら持つ、そんな強い薬だということを忘れてはならないという。



(朝比奈ゆかり/エトセトラ)

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