<世界旅紀行>『アフリカ』その8 アフリカ旅行の感染症予防対策と海外旅行保険、しかし…!

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■近くの関節がズキンと痛み、鼠径部のリンパ節が腫れる

帰国して数日が過ぎたころ、入浴時にふと気づいたのが左脚のスネに出てきた赤い発疹でした。

痛くもかゆくもないのに、なぜか腫れて存在感もタップリでした(Photo by 朝比奈)
痛くもかゆくもないのに、なぜか腫れて存在感もタップリでした(Photo by 朝比奈)

痛くもかゆくもないけれど、ふっくらと腫れて周囲の毛細血管にも赤くて細いイトミミズのような線が広がり始めました。そしてなぜか膝関節が時々強く痛むようになりました。ずっと痛いわけではなく、でも歩くと確実に辛く、痛みにも強弱があるのです。

「何だろう。何かがオカシイ」と思っていた数日後の朝、筆者は洗面でお辞儀のポーズをしたり、トイレで座ったり立ったりした時に、鼠径部がズキズキと痛いことに気づきました。筋肉痛とも異なるため触ってみると、太ももの付け根のリンパ節がうずらの卵ぐらいの大きさに腫れ、グリグリとして痛み、半日後には痛みのため歩きづらくなりました。その時の刺し口の状態がこちらです。

マダニの刺し口、大小2か所です(Photo by 朝比奈)
マダニの刺し口、大小2か所です(Photo by 朝比奈)

これはマズイ、相変わらず夕方から微熱が出ているし、きっと何かマズイことが脚に起きていると直感しました。そしてピンと来たのが、マダニに刺されて発症する感染症のリケッチアでした。日本を出る前にアフリカ旅行に出かけたらどういうことに気を付けるべきか、蚊やマダニの怖さをあらかじめ調べておいたため、休日にもかかわらず、すぐに大きな病院に向かいました。



■アフリカ・マダニ紅斑熱

病院では救急外来での診察や血液検査を経て、お休みの日にもかかわらず皮膚科、内科、外科などの先生方が次々と筆者が寝ている処置室に来てくださり、患部を見たり、写真を撮影したり、リンパ節をさわったりした後、廊下でミニ・カンファレンス(?)のようなものを繰り広げておられました。

アフリカ帰りということ、ジンバブエと南アでかなり原野を歩いたこと、そして刺し口がマダニにそっくりだということで、すぐにミノマイシン(テトラサイクリン系抗生物質)の服用が始まりました。

治療薬はミノサイクリン(テトラサイクリン系抗生物質)一択だそうです(Photo by 朝比奈)
治療薬はミノサイクリン(テトラサイクリン系抗生物質)一択だそうです(Photo by 朝比奈)

夜になると始まる白目の充血や微熱、そしてリンパ節の腫れや痛みもぐんぐん引き、5日もすると体調は完ぺきに戻りました。その後、外来で皮膚科に通うことになりましたが、受けていた血液検査の結果はそう悪いものではなく、「ツツガムシ」の抗体も陰性であることから、マダニ系では症状の軽い部類に入る「アフリカ・マダニ紅斑熱」であろうとの結論に至りました。

ただしこのリケッチアを媒介するキララマダニは、近年いわゆる肉アレルギーの原因として恐れられています。血液型がA型、次にO型だと肉アレルギーを発症する可能性が高く、B型とAB型は発症しないという特徴があります。筆者はA型なので、最後の受診ではそのアレルギー抗体検査をしてもらいました。幸いにも結果はOK。何を食べてもよいとわかりました。

■役に立たなかったJTBグループ・ジェイアイ傷害火災の海外旅行保険「たびほ」

ここまで医療費はとても痛い出費でしたが、筆者はJTBグループ・ジェイアイ傷害火災の海外旅行保険「たびほ」に加入していたため、それを請求できると信じていました。インターネットで連絡し、その旨を相談すると親切な雰囲気で良いお返事と保険金請求書のフォームが届いたのです。ところが、ああ保険に入っていてよかったと安心していたところ、保険金支払いの対象となる疾患についての案内があり、そこで「え???」となったのです。

日本の厚生省が定めている第4類感染症に相当すれば対象になるということなのですが、マダニ関連で対象になるのはツツガムシ病、ライム病、そしてマダニ媒介性脳炎のみ。日本で発症が確認されているマダニが絡むリケッチアばかりです。アフリカ由来のリケッチアには「地中海性紅斑熱」と「アフリカ・マダニ紅斑熱」があるのですが、両方ともそのリストには記載がありませんでした。



「地中海性紅斑熱」は日本のツツガムシ病並みに恐ろしい病気で、入院加療が必要となります。筆者は幸い軽い方の「アフリカ・マダニ紅斑熱」であったため、数万円の治療費で済みましたが、地中海性紅斑熱はそうはいかないと思います。筆者は「たびほ」のカスタマーサービス・センターに電話してみました。

「アフリカ、南米や東南アジアには日本にない病気がいろいろあります。ちゃんとアフリカに行くと告げ、欧米旅行よりも高い保険料を支払って出かけたのに、そんなことで『海外旅行保険』と言えるのでしょうか」と不満を伝えました。すると出ました。カスタマーサービス・センターのお決まりのセリフです。

「貴重なご意見をありがとうございます。今後のサービスの質の向上のため、参考にさせていただきます。」

このセリフが出た瞬間に「ダメだ、こりゃ~」とこちらもクレームの交渉を終わらせました。旅仲間に何ともいえないモヤモヤした気持ちを吐露したところ、誰もが「それじゃ国内旅行保険とカバー内容が同じじゃん。高い保険料払って納得できないよね」と慰めてくれました。

日本でアフリカ旅行は人気を増す一方です。アフリカの2つのリケッチア「アフリカ・マダニ紅斑熱」と「地中海性紅斑熱」についても、速やかに保険の対象として加えていただけるよう願ってやみません。「たびほ」さん、改善のご検討をよろしくお願いします。

その1と2では「ヴィクトリアの滝」について、その3では南ア・ケープタウンのテーブルマウンテンについて、その4ではケープタウン半島めぐりについて、その5でクルーガー国立公園内サビサンド私営動物保護区のタイドン・ブッシュ・キャンプについて、その6ではビッグファイブ以外に遭遇した四肢動物、美しい野鳥について、さらにその7では、夢を叶えたビッグファイブとの遭遇についてお伝えしています。是非ともあわせてお読みください!

次回からは、2019年ウィンブルドン選手権の決勝戦を観戦したロンドン&スコットランド周遊の旅についてとなります。ご期待ください。

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(朝比奈ゆかり/エトセトラ)

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