【パワハラ被害者の声】フリーランス女性が語るブラックな職場環境 パワハラと過重労働は当たり前

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「弁護士に相談しました」という女性。(画像はイメージです)
「弁護士に相談しました」という女性。(画像はイメージです)

日本でも多くのパワハラ被害者が声を上げるようになりました。それでも「法的措置や当局への相談などには尻込みしてしまう」「自分さえ我慢すればいいのではないか」「仕事を失うのが怖い」という人は相変わらず多いようです。皆さんはいかがでしょうか。



今回の【パワハラ被害者の声】は、前回インタビューに応じてくださったフリーランスライターのEさんのご紹介で、同じくフリーランスライターとして働くも「ハラスメントまみれ、しかも過剰な労働ばかり要求するトップに嫌気がさして辞めました」というライターのFさんにお話しを伺うことができました。

意外にも弁護士に相談した、様々な相談機関に話したという人が多いのか、Fさんもまたかなり多くの証拠を残し、様々な機関に全てを通報した上で、法律が整うのを待っている状態だといいます。

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朝比奈:Fさん、今回はインタビューに応じてくださりありがとうございます。

Fさん:いえいえ。このような被害は多くの人が知るべきだと思いますので、逆に経験につき発信できるチャンスがあるのは嬉しいくらいです。

朝比奈:ところでFさんは、どのような被害を受けたのですか?

Fさん:上司による陰での罵詈雑言、他社では考えられないような過重労働、嘘の数々…様々です。

朝比奈:まずは過重労働ですが、具体的にどのようなことがあったのですか?

Fさん:私が勤めていた会社はメディア関係で、外部発注のライターに過重労働を強いることを当たり前にしている会社でした。

あるとき海外の著名人が来日したのですが、「私が大手メディアの取材を受けて解説することになったから、朝からスカイプにはりついて情報を送って」と上司に命じられ、本業である執筆もそこそこに、それこそ朝から晩までリサーチと情報の提供に奔走しました。対外的に「海外在住スタッフがリアルタイムで情報を送っている」という形が欲しかったそうですが、私は地方都市からネット上の情報をかき集めて送り続けていただけです。

朝比奈:それは一体どういう目的でですか?

Fさん:これは、その会社に「海外の主要各国にバイリンガルな人材が揃っている」とメディアにアピールするための作戦でした。しかもライターが必死にかき集め日本語に訳しまとめた情報を、上司はさも自分がその道に詳しいかのように振る舞い話していたにすぎません。まさにこっちは、上司が業界で有名になるためにカンニングペーパーを用意していたようなもの。そんなことが何度も何度も。本業はライターなのに、何年もですよ? 眠っているところを起こされ調べものをすることもあり、電話の音が鳴るたびに吐き気がしたほどです。それでも仕事と割り切り時には無料で応じていたものの、最後には気力もなくなり体調まで崩し、病院に通い薬に頼りながら働く日々でした。

朝比奈:えっ、自分が取材を受けるのにリサーチを外部発注のライターに丸投げですか? それは無責任ですね。

Fさん:はい。局から舞い込む山のようなリサーチを、そんなことくらい自分で調べればいいっていう部分まで外部ライターに丸投げで任せた上、「いまから遊びに行く」などと言って出て行くんです。しかも、れっきとした就業時間であろうがお構いなしなのです。

朝比奈:ライターの皆さんはとても真面目で優秀ですよね、責任感もあって大変だったでしょう?

Fさん:はい。ライターたちはそれに誰も「は?」とも「ん?」とも言わずこき使われて…。ずっと関わりっきりで身動きが取れなくなり、体調を崩したり家族を「いい加減にしなよ」と怒らせたり、そんな日々が長いこと続きました。

朝比奈:自分はどこかに遊びに行っちゃって、でもテレビやラジオに出演すれば手柄は自分1人のもの…これ最低ですね。

Fさん:はい。そもそも、その上司は許されないことをいくつもしているのです。まったく尊敬できない上司でした。それに恥知らずです。既婚者でありながら、取材や営業先で遊ぶ不倫相手をスタッフたちに手配させる。そんな浮ついた人でした。

朝比奈:もう絶句するレベルですごいといいますか…上司の不倫相手探しをスタッフが協力させられるなんて…。あと、嘘といいますのは?

Fさん:ライター名がありますよね。それはライターにとっては大事なものなのです。実績をその名で積み上げてなんぼの世界ですから。ところがある時、「別のペンネームをつくれ」「今のままじゃ人数が少ないから、2つの名前を使い分けて記事を書け」と指示されたんです。国際結婚やハーフを想像させる海外在住のライターが複数いるように見せかけて、配信先の大手ポータルサイトから信用を得たいとのことでした。

朝比奈:そういう嘘は、Fさんに関してだけだったのですか?

Fさん:違います。他にもいます。「ハリウッドのエージェントに顔が利く、現地で記者をしていた」などというでっち上げの情報を大手ポータルサイトに流されたライターもいます。大手ポータルサイトにはそのライターのことを「正規の職員」「自身が持っている情報ソースから記事を起こしている」と連絡してあったんですから、あきれたものです。完全なる嘘です。

朝比奈:そちらの証拠は残っているのでしょうか?

Fさん:私も気になってそのライターに聞いてみたんです。残っているそうです、メールのカタチで。大手ポータルサイトに嘘だらけのメールを送ったあと、それを転送して見せたそうですよ。そちらもやはり被害に遭って辞職しているので、私と同じく膨大な証拠が残っているんです。

朝比奈:なんとそんな事まで…驚きました。ちなみに罵詈雑言とは、どういう内容ですか?

Fさん:親しい同僚が酷いパワハラ、モラハラに苦しんでいたのです。その同僚につき『精神的に不安定。絶対に相手にするな』と全員に注意を呼びかける連絡を入れ無視するよう指示し、その人を中傷する電話が私にまでかかってきたため彼女を擁護したところ、陰で悪口を言われ始めました。私の苗字を呼び捨てにして「あのバカ女」などと汚い言葉で罵っていたそうです。その内容については会社に残留した複数の同僚から続々とメッセージが届き、全て知って激怒していたのですが、そうと知らない上司は社長に「やっぱりFを会社に呼び戻したい」と話したそうです。

朝比奈:なんというご都合主義。最低ですね。その情報が耳に入ったとき、Fさんはどう思いましたか?

Fさん:正直、「ふざけんな」と思いました。すぐに書きかけの記事を全て削除してから、弁護士数名に連絡しましたよ。社長には、「あの人からただの一度でも私に直接連絡があれば、その時点で警察に通報する」と伝えています。そもそも私は、その上司が何も知らない、理解できていない重要な部分を山のように調べ上げ、教えてあげていたのであって、「バカ」と呼ばれる筋合いなどないのです。私がバカなら、その人は何なんでしょうか。

朝比奈:バカはバカでも「ガチ」のバカってことでしょうかね。通報という言葉が出てくるということは、それなりの理由があるのですね?

Fさん:はい。詳しいことは伏せますが、弁護士さんを雇ったのも通報したのも私だけじゃない。知っている限り、関係者のうち3人は雇った。そうしなくてはならない事情があったということで、お察しください。

朝比奈:もしよろしければ、弁護士さんの意見はどうであったか教えていただけますか?

Fさん:私、そして同時期に辞職に追い込まれた同僚が受けた被害については「労働法にこだわらなくてもいい」とのことです。フリーランスのため労働法を盾に闘うには限度があるものの、それ以外の点、例えば侮辱罪や名誉棄損に関しては労働法にこだわらなくても闘える、とのことです。またストレスで体調を著しく崩した人間も数名。診断書も残っているので…まあ、そういうことです。

朝比奈:訴訟を検討していらっしゃるのですか?

Fさん:現時点では、フリーランスを守る法律が整えば動く方向で考えています。そのため、今は各機関への通報と弁護士との協議でとどめています。

朝比奈:そうですか。ちなみに現在の労働法についてはどう思われますか?

Fさん:弁護士さんによると、労働法を盾にフリーランスが闘うにしても最後は「フリーだったんでしょ? 嫌ならもっと早く辞めたらよかったのでは?」という結論でまとまる可能性が高いというのです。ただフリーランスにも、フリーランスとして働く理由があるのです。親の介護、育児、なかには病気を抱えている人もいるかもしれません。簡単に辞めて次の職がすぐに見つかるわけではない。そう考えると「さっさと辞めれば良かったのに」という考えかたは短絡的だし乱暴です。ただ通報先は多いので、動ける人は自分で行動を起こしてみるといいと思います。いずれ法律は変わるでしょうね。

朝比奈:その通りですね。ちなみに今は、その上司に対しどのような思いですか? どんなことを言いたいですか? 謝罪は求めたいですか?

Fさん:茶番、嘘やでっち上げの情報提供、なりふりかまわぬ方法での大手ポータルサイトへの売り込みは見苦しい。ジャーナリズムはそんなものじゃない。そもそも人を泣かせるようなことをしていないか、後ろめたいことはしていないか。じっくり考えて反省してほしいと思います。でも、しないでしょうね。陰で文句を言いながらもヨイショしてる人たちがいるんですよ。だから本人が目を覚まさない。本当に情けないと思います。八方美人たちの罪も大きいと思います。

それから、謝罪はもう求めません。悪いなんて思っていないから、大変なトラブルが続いてライターたちを続々と失っても、一度も謝らなかったんでしょう。それにもう声を聞くのもごめんです。連絡してきたら通報すると社長を通して伝えてあるので、連絡してはこないはずです。通話はすべて、国内からのものも海外からのものも録音してあるんです。今後も録音と通話記録はやめないので、かけてきたら動きます。すべて知っていながら何もしなかった、それどころか一緒になって影で嫌がらせをした会社の人間全員です。

朝比奈:これだけのことをしておいて、会社やその上司は辞める外部ライターたちに「口止め」のようなものは働きかけてこなかったのですか?

F:まったく。そもそもライターによって契約書さえもあったりなかったりで、私には契約書もなく「記事の単価は〇円」の説明だけで執筆が始まったのです。それでよくあんなヒドイことを言ったり、トラブルを起こしたりできたものです。もちろん内部の正規職員に対してもああいう言動は問題でしょうが、すべてがずさんで人の扱いがひどかった。多くの人が泣かされたという点は、組織としても重くとらえるべきだと思います。

朝比奈:Fさんは辞職してしばらく経つと伺いましたが、今はどうしていらっしゃるのですか?

Fさん:今は、別の会社で働いているんです。報酬も時給にすると前の2倍です。上司に私生活につき詮索されることもなければ、ムチャな過重労働を要求されることもありません。それが普通なのでしょうが、毎日がとても新鮮です。今の上司はとても立派で博識ですし、365日働き、24時間対応してくださる。「異性を手配しろ」なんておっしゃいません。以前とはまるで逆なのです。

朝比奈:それは良かったです。Fさんが新たなライター人生を楽しんでいらっしゃるご様子、何よりです。今日はお話を聞かせていただき、どうもありがとうございました。

【※Fさんが訴訟などを検討中ということで、一部内容は伏せて記事化してあります。ご了承ください。】

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(Kayla星谷/エトセトラ)

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